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歌手やユニセフの活動を続けてきたアグネス・チャンさん。我が子には「100点を取っても愛情は増えない」と伝えたそうですが、それは「人と比べない」ことを大切にしてるからでした。

テレビ静岡で3月2日に放送されたテレビ寺子屋では、歌手で教育学博士のアグネス・チャンさんが、多くの体験を通して受け取ってきた「大切にしている言葉」を紹介してくれました。
あなたはあなた「人と比べない」
歌手・教育学博士・アグネス・チャンさん:
私の人生の貴重な体験の中で出会った、大切にしている言葉を紹介します。

自分や我が子を人と比べない。
人を見てうらやましいと思ったり「私はダメだ」と自信をなくしたり、いろんなことを気にしすぎると大事な「自分の力を伸ばすこと」を忘れてしまいます。
今の社会では点数がどうとか、誰が走るのが速いとか、私たちは毎日子供を何かしら比べていて、子供は実はすごく厳しい状況に置かれています。

ですから家庭に帰ってきた時は、ぜひ限りなく条件なしで愛してほしい。受け止めてほしい。
私もよく我が子に「100点取ってもあなたに対する愛情が増えることはないです。でも、0点とっても減ることはないから安心してね」と伝えました。
すると「いい子じゃなければ母親は失望するのかな、愛情が減るのかな」と思わずに済みます。ぜひ子供と接するときに思い出してください。
見えない支えに感謝「おかげさまで」
私は14歳でデビューしてすぐにヒット曲にも恵まれ、周りが何でもしてくれて「かわいいかわいい」と言われ、「自分に実力がある」「私はかわいいんだ」と思っていたと思います。

でも、そんなアイドル時代に仕事を休みカナダに留学すると、誰も私のことは知らず、かわいいともまったく言われなくなりました。
ある日、膝までの大雪の中、本を両手にいっぱい抱えて一人暮らしのアパートに戻ったら、裏口の前でごみを回収していた男性がドアを開けてくれ、お礼を伝えると「喜んで。かわいいレディーのためなら」と言ってくれました。とってもうれしく、どこかで自分が感謝の気持ちを忘れていたことに気づきました。

多くの人の支えや助けがあってこうやって学べていることに思いが至った時、思い浮かんだ言葉が「おかげさまで」です。
私たちがこうやって日常生活を送れているのは、陰ながら支えてくれている無数の人たちがいるからです。「おかげさまで」の気持ちは絶対に忘れてはいけないと、その時から大切にしている大好きな言葉です。
他者あってこそ「幸せの花の種」

いつも自分の子供に「誰もがたくさん幸せの種を抱えて生まれてきているけれど、その種は自分の心の中では花咲かない。誰かのところにまいて初めて美しい花が咲くんですよ」と伝えていました。
自分一人で幸せになるのは、ほぼ不可能です。自分が誰かに何かしらしてあげて、その人が幸せになった時点で、自分が一番幸せということを子供たちに教えたかったのです。よく「幸せ」は「待っている」とか、「誰かがくれるものだ」と言いますよね。違います。

一番長く続く真の幸せの気持ちというのは、誰かのために何かをやって、その人が何か一つでも嬉しくなった、幸せになった、助かった、そしてあなたも自分でそれを感じた時に一番幸せなんです。人間ってそういうふうにできているんです。
人生はずっと学び続けるものだと思います。多くの体験や出会いの中ですてきな言葉を受け取り、自分の一部にして、感謝の気持ちを持って過ごしてください。

アグネス・チャン:香港生まれ。1972年「ひなげしの花」で日本デビュー。上智大学、トロント大学を経て米国スタンフォード大学へ。現在、歌手活動のほかユニセフアジア親善大使、日本対がん協会「ほほえみ大使」などとして活躍。
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