目次
静岡・三島市の三島広小路駅近くの路地裏に8月、薬草やハーブを使ったユニークなデザート専門店がオープンしました。都内や海外でも腕をふるったパティシエが手がける、見た目も美しい新感覚デザートとは?
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへ理想のデザートを求めて
以前はフレンチレストランでパティシエとして働き、独立してからも洋菓子を作り続けてきた成澤亜紀さん。
野草や漢方、ハーブの魅力に目覚めてオープンしたのが、「楽薬スイーツ(RAKUYAKUsweets)」です。
店内には、瓶につめられた薬草酒やオリジナルのお茶などが並び、好奇心をくすぐります。
楽薬スイーツ・成澤亜紀さん:
28年間、洋菓子を作り続けてきたのですが、次第に食の安全性などを意識するようになりました。漢方や野草、種の保全のことなどを勉強しつつ、SNSでその魅力を発信してきました
そんな成澤さんは、友人のカフェが閉店したのをきっかけに、その空き店舗で店を開くことになりました。
楽薬スイーツ・成澤亜紀さん:
自分でお店を持つ予定はなかったので、思い切った決断でしたが、他の仕事と両立させながら、週2日の営業からスタートしました。この店も野草の魅力を伝えるための、私なりの「発信」の形なんです
デザートのコース料理! 完全予約制
メニューは完全予約制のコース料理(2400円 ※秋コースよりドリンク付き3000円)のみです。デザートのコースというのも珍しいですね。
夏のメニューは「無農薬レモンとレモングラスのレモネード」に始まり、「スイカのソルベ露草塩ミントを添えて」と続きます。メインは「桃パフェ」で、最後に焼かないブラウニー「rawブラウニー」というラインナップです。
メニューは季節や仕入れによっても変わるので、その時々の出会いもお楽しみのひとつです。
まずは「無農薬レモンとレモングラスのレモネード」から。
暑い中、来店したお客様に、まずはひんやりさっぱりと潤って、これからコースを楽しむコンディションを整えてもらいたいとの思いから、甘さは控えめ。
続いては「スイカのグラニテ」です。
スイカをそのまま凍らせてクラッシュしているので、スイカ本来のフレッシュな甘みを楽しめます。アクセントに「露草塩」と「ミント」を添えてあります。
露草塩とは、店主が自ら朝摘みした露草(漢方名「オウセキソウ」)と塩をブレンドしたもので、鮮やかな青い色が印象的です。
そしてメインは特別に、秋メニューの「和梨とぶどうのパフェ」を試食させてもらいました。
グラスの中に和梨のコンポートのワイン煮、赤ワインとスパイスのゼリー、キクラゲのワイン煮などがたっぷり入って、それぞれに異なる食感を楽しむことができます。
香りもハーブのエッセンシャルオイルでフレッシュさを演出。
キクラゲをデザートに使う発想は、中国での仕事経験もある成澤さんならではです。
楽薬スイーツ・成澤亜紀さん:
ほかにもブドウも入れようかな、 オクタリス(カタバミの葉)を乗せようかななどと考えていて、まだまだ試作の段階です
そして最後は「rawブラウニー」です。
「raw」は「生」という意味です。ロースイーツは、加熱しない(48度以下)、焼かないスイーツで、生きたビタミンやミネラル、食物酵素をそのまま体に取り込めるというのが魅力です。
使用するカカオさえも高温ローストしていないものを使うなど、細部にまでこだわります。また、砂糖を使用せずにデーツ(ナツメヤシの実)の甘みを生かし、クコの実やナッツでなめらかさを出しています。
そして、ドリンクの一部は「おかわり自由」!
カウンターに用意されたドリンクを、お好きなグラスで、自分で自由におかわりできます。
成澤さんが1人でオペレーションする都合から生まれたアイディアですが、忙しいお店の人に声をかけなくても自由にしてよいというのは気が楽で、実は客側にとってもメリットですね。
ほかに温かいコーヒーも別料金であります。
店内インテリアも楽しんで
店内は25平方メートルほど、こじんまりしています。
店主のお気に入りの小物類や、前のカフェ時代の名残など、どこを見ても楽しい気分にさせてくれる個性満載の空間です。
グループやお友だち同士なら、小上がりや個室もオススメです。
小上がりの照明は以前のカフェ時代のもの。飾り棚には、成澤さん作のアート作品も飾られています。
個室の壁には、成澤さんの娘が幼稚園の頃に描いたという作品が飾られています。
窓のすぐ外を走る電車を眺めるのも、楽しそうです。
そして、壁に大きく貼られている絵は、実はこの店の原点とも言えるものだそうです。
楽薬スイーツ・成澤亜紀さん:
この絵のタイトルは「空想のハーブ薬局」(作:田中麻記子)と言って、私が実現したいテーマが全部入ってるんです。この絵を見た時に、この世界を現実のものにしたいと強く思いました
来店客には堅苦しくなく、押しつけがましくせず、「こういう楽しみ方があるんだ」と新しい発見を気楽に楽しんでもらいたいと思っているそうです。
なるほど。だから店名も「楽薬」なんですね。
毎日のように新しいアイディアが浮かんで試作が間に合わないというほど、創作意欲にあふれる成澤さんが、今後、どのような斬新なデザートを生み出してくれるのか、目が離せません。
■店名 楽薬スイーツ RAKUYAKUsweets
■住所 静岡県三島市広小路町3-16
■営業時間 土日のみ14:00~(完全予約制 前々日13:00までに)
■問合わせ インスタグラムのDMから
■駐車場 なし
取材/髙良綾乃
【もっと見る! ロースイーツの記事】