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J2第11節、清水エスパルスはアウェイで大宮アルティージャと対戦し、3対0で完勝した。秋葉監督に代わり、リーグ4戦で3勝1分けと負けなし。第7節までで積み上げた勝ち点5に、わずか4試合で10を加え、勝ち点を15まで伸ばした。
◆取り戻したい「強者のメンタリティー」
4月22日のアウェイ・大宮戦、ここで秋葉体制のいま目指しているサッカーがぼんやりとだが形として見えてきた。直前の練習で強調していたのは「強者のメンタリティー」だった。「負けるのは嫌い」「殴りかかる準備をする」「相手が戦意喪失するまで緩めない」「優しさや温情は一切いらない」と勝つことにこだわって戦うことの重要性を説いている。
清水が秋葉体制で勝てるようになり、選手たちは「チームに集まった選手の格」ではなく、「格に見合った働きをすること」によって勝敗が決まるという本質に気づかされたのではないか。もともとJ2で圧倒的な戦力を誇るクラブだ。気がつけば後は実践するだけ。
大宮戦でスイッチを入れたのは、乾と岸本だ。ポジションは異なるが、大事な局面で前線でのチェックと、縦パスのインターセプトの役割を担う。これに応じるようFWが相手DFに素早いプレッシャーをかけ、中盤で積極的にボールを奪うように動く。その連動がチームに浸透し、高い位置での速攻や広いスペースが空いた状態での展開を可能にしている。大宮戦での得点は、プレーの連続性を物語っていた。1点目はサイドチェンジをした乾が岸本のクロスを頭で合わせたゴール。2点目は岸本のクロスをサンタナがヘディングであわせ、そのこぼれ球をカルリーニョスが。3点目は神谷からパスを受けた北川がシュートし、相手GKがはじいたボールを神谷が。いずれもゴール前には複数の選手が走り込んでいた。
◆伝統の重みと変革と
秋葉監督は、オリジナル10のプライド、地域に密着したチームの出自、ファン・サポーターの存在、そのどれもが大事だと強調する。その上でダーウィンの言葉も引用し「変化することができる者だけが生き残る」と変化も進めている。
ユースとの交流増、トップチームの練習全公開、さらには練習前後の出入りをこれまでの裏口からではなく、強化部や総務部のフロアを通るよう選手たちに求めた。それは、サポーターへの情報公開や、クラブの新しいビジネスのつながり、そして選手自身のブランディングやプロ意識の向上を期待してのことだという。
今の陣容のまま常勝軍団にチームを変革することができるのか。秋葉体制は直近の課題を解決しつつ、クラブやサポーターが望む目標に一歩ずつ歩みを進めているのではないだろうか。
(テレビ静岡報道部スポーツ班 外岡哲)