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未来の料理人である専門学校の生徒たちが、シカの食害が深刻な浜松市天竜区春野町で、シカの解体を見学し、食の面から解決策を探りました。今後3年かけて、地域の魅力を生かしたコミュニティ作りや商品開発に挑みます。
大迫力! シカ解体を目の前で見学
2月、第1回となる「春野のまち勉強会」が「春野いきいき天狗村・くまの親子」で開かれました。
調理師や製菓衛生師などを育てる浜松調理菓子専門学校と全日本司厨士協会静岡県静岡支部は、生徒の若い力と地域の魅力を合わせて、地域コミュニティを作り商品開発を行う、3カ年計画をスタートさせました。
参加したのは浜松調理菓子専門学校の生徒のほか、東海調理製菓専門学校、常葉大学、県立農林環境専門職大学、静岡県立大学から合わせて60人以上です。
動物の命と引き換えに私たちの生活や社会が成り立っていることに感謝しながら、シカが解体されていく様子を目の前で見学しました。
参加した学生:
狩猟によって命を落とした野生の鳥獣を、ただ処分するのではなく、いただいた命を大切にして肉や皮を余さず有効活用することを知りました
参加者全員で命の恵みをいただく野外BBQ
シカの解体が終わったあとは、食肉処理加工施設「ジビエ工房ジミート」の高林麻里代表や、フランス料理店「LA SALIVE」の鈴木孝治オーナーシェフが講師となって、野外BBQを行いました。
ジビエと一緒に調理するのは、浜名湖畔にある浜名ファームの野菜です。一年を通して温暖な気候に恵まれた立地を生かし、旬のフルーツや野菜を生産している農園です。
地元の養豚業者が育てた「はるのポーク」も使用しました。
参加した学生:
BBQをおいしくいただきながら、このジビエを地域資源と考えて地元飲食店などで提供することで、町おこしにつながることをシェフから教わり、とても有意義でした
街 × 学校 から広がる地域に還元する未来
今後は新たなジビエ料理や特産品を考案したり、ジビエを使用したカレーコンテストなどを予定しています。
また、廃校となった旧熊切小学校のキャンプ場を利用してマルシェの開催を計画しています。
浜松調理菓子専門学校・鈴木雄介先生:
鳥獣被害は天竜地区全体で拡大していますし、日本の里山が抱える問題の一つです。ジビエの消費拡大が対策につながることを知ってもらえたらと願っています。将来的に地域の食を担っていく学生たちが、鳥獣被害というマイナスをプラスに捉え、「食を通して何ができるのか」を、若い新たな視点で考えてもらえることを期待しています
浜松調理菓子専門学校は地域の他の学校をさらに巻き込んで、2回目以降の「春野のまち勉強会」を計画しています。より多くの学生が参加することで、里山が抱える問題の解決につながっていくことが期待されます。
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