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今回登るのは、静岡市の藁科川中流域にあるダイラボウです。伝説の巨人「大(だい)らぼう」の足跡が残るという山頂からは、市街地と富士山を一望できます。ゴールデンウィークにお出かけしてみてはいかがでしょうか。
ダイラボウってどんな山?
ダイラボウは、藁科川中流域にある標高561mの山です。何とも不思議な名前ですが、地元小学校郷土研究クラブが設置した看板によると、「大らぼう」という巨人伝説に由来するのだとか。
その昔、このあたりには「大らぼう」という大男がいました。大らぼうは「富士山をつくる」といい、びわ湖の土を大きなもっこに入れて運びました。そして、富厚里(ふこうり)の山の上から水見色(みずみいろ)の高山(たかやま)をひとまたぎに歩きました。
そのときの大らぼうの足跡が残ることから、山は「ダイラボウ」と呼ばれるようになったそうです。
なお、大らぼうとよく似た伝承は、関東、中部を中心に全国各地に伝わっており、地域によって「だいだらぼっち」「だだ坊」「でいらぼう」「大太法師」などと呼ばれます。
さて、ダイラボウは南側から登る西又峠ルートと、北西から登る富厚里峠ルート、富厚里公民館方面からアクセスするルートがあります。今回は、富厚里公民館方面から登るルートを選びました。
●今回の低山登山DATA
登った山:ダイラボウ
標高:561m
タイム:約3時間
距離:約6.2km
茶畑を見ながら坂道を上る
静岡市葵区富厚里(ふこうり)にある、富厚里公民館近くにある「ダイラボウ入口」の案内板をスタート地点としました。
公民館前の道を南に進むと茶畑がありました。茶どころ静岡ならではの風景です。
道は舗装されているので歩きやすさは申し分なし。ところどころ開けた場所もあり、眺望も楽しめます。
ただ、ゆるやかな傾斜がずっと続くため、運動不足の筆者にとってはそれなりにしんどい道のりです。
いよいよ登山道に突入 山頂まで30分
ときおり休憩しながら坂道を上り続けること約40分。道がとぎれました。ここから登山道です。
突き当たりの小屋(茶畑の作業小屋かもしれません)の左側を進みます。
ようやく登山感が出てきました。傾斜もこれまでの道に比べるとぐっと急になりました。
道中は見晴らしのよい場所がほとんどありません。よって、山頂を目指して黙々と進むのみ。
あっという間に息が上がり、足取りも重くなります。けれど鳥のさえずりや葉ずれの音、土や緑の香りに心だけは軽くなります。
分岐に設置されている手作りの案内板にも励まされます。
大らぼうの足跡から富士山を眺める
登山道を登りはじめてから約30分、ついに山頂に到着。やりました!
ところで、どこに大らぼうの足跡があるのでしょうか。
山頂は大きな広場になっており、上から見ると、大らぼうの左足の形をしているそうです。
山頂広場からは、天気がよければ富士山が見えます。また、パラグライダーの発着点になっているので、大空を滑空するパラグライダーが見られることもあります。
バイオトイレもあるので安心。
なお、山頂のすぐ下まで林道(ダイラボウ線)が通っています。体力に自信がない方や小さなお子さんと一緒の場合は車で来て、山頂広場でお弁当などを食べてはいかがでしょうか。
春を告げるショウジョウバカマの群生地も
富士山を見ながら持参したおにぎりを食べ、疲れがとれたところで下山開始。来た道を戻ります。
雨の翌日などは登山道がぬかるんでいてすべりやすくなっているので、転倒にはくれぐれも注意してください。
舗装した道路に出てしまえば、あとはずっと下り坂。ラクチンです!
ちなみに、富厚里峠ルートを行くと、ショウジョウバカマの群生地があります。3月下旬から4月上旬にかけては、小さな紫色の花が楽しめるそうです。
適度な“登山感”を楽しめる!
前回紹介した谷津山に比べると、標高561mのダイラボウはほどよい“登山感”がありました。とはいえ、道のりの半分近くは舗装された道路なので、登山初心者でもチャレンジしやすいはずです。
ゴールデンウィークはダイラボウに登って、低山登山デビューしてみてはいかがでしょうか。
!CAUTION!
◎各所に案内看板がありますが、道迷いの可能性がまったくないわけではありません。特に分岐では、地図や登山アプリなどでルートを確認するのを忘れないようにしてください。
◎低山とはいえ、山は山です。適切な服装と装備で楽しんでください。
◎時期や天候によってコースの状況が変わっている可能性があります。ネットなどでできるだけ最新の状況を確認するようにしてください。