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2023年の流行語のベスト10に入った「アーバンベア」。温暖な静岡県は12月もほとんど雪は降らず、クマの冬眠もまだ先のようだ。猟師たちもクマと出くわすことが増え、恐ろしい体験をしているという。そして、とうとう小学校の近くでも親子3頭のクマが出没した。
有害駆除のワナにかかるクマ
「猟銃、実包、火薬類の適正な管理」
銃を使った狩猟の安全6原則を口にする富士宮市の猟友会のメンバーたちだ。
2023年11月に入りイノシシとニホンジカの狩猟が解禁され、この日は 猟犬で獲物を追い出し銃で撃つ「巻き狩り」を行っていた。
狩猟を行う中で注意しているのが、全国で出没が相次ぐクマだ。
富士宮猟友会の渡邊勝正さんは有害駆除のワナに掛かったクマを見つけた時の様子を振り返る。
富士宮猟友会・渡邊勝正さん:
木は全部ガリガリに噛んでしまっていて、そばに寄れない。ワナにかかっていると本当に恐怖を感じて、麻酔を打つ前はそばに寄れない
2023年は山に仕掛けたシカやイノシシのワナに クマがかかることが多く、猟師たちもクマが近くに来ていることを実感している。
ワナにかかったシカをクマが…
猟をしていてクマと鉢合わせするケースも増えているそうだ。
西富士山麓猟友会の櫻井司さんは、ワナにかかったシカがクマに食べられた直後にその場所を訪れたそうだ。
櫻井さんは、その時の様子を「登り口にワナをしかけてシカを獲ったが、クマに食われてしまった。食べられて湯気が立っている状態だった」と写真を見せてくれた。
その時、そばにクマがいた。
車を入口に停めてあるため、ワナを外してシカを引きずって戻ろうとした時にクマがいることに気が付いたそうだ。
西富士山麓猟友会・櫻井司さん:
自分が食べているエサを持って行ってしまうという感覚で見ていたと思う。逃げもせず動きもせず、ずっと見ていたので「やばいな」と思って、シカを置いて車に戻って1回その場を離れた
櫻井さんは「クマが頻繁に出すぎている、下に下がってきている。2023年は暑かったから、エサがないんですね、ドングリとかがないのかなと思う」と話してくれた。
その場所は田貫湖に通じる遊歩道が近くにある山林でハイキングを楽しむ人もいる。
県内では2023年はクマによるケガ人は出ていないものの、山の中での行動はクマと遭遇する危険と隣り合わせであることを忘れてはいけない。
小学校の近くに親子のクマが
こうした異変は山の中だけではない。
富士宮市の小学校の近くでもクマの目撃情報が寄せられた。
11月20日、内房小学校の向いにある山林で親子3頭のクマが目撃された。目撃したのは、この学校に通う子供たちだ。
富士宮市環境部 花と緑と水の課
阿部修平 主事:
子供たちが外で遊んでいたところ、果実がなっている木の近くでクマ3頭、親クマが1頭と子クマが2頭がいたという。これだけ近くて、それも目撃したのが小学5年生ということで非常に危険な状況
富士宮市は2023年に入り28件のクマの目撃情報があり、小学校も警戒を強めている。
内房小学校の望月泰司 校長は「子供たちが安全、安心で過ごせるような学校を作るためにいろいろ考えて行動したい。保護者に車の送迎を依頼した際にクマ鈴の着用も勧めた」と言う。
そのため子供たちの多くがランドセルに鈴をつけて登下校している。
クマ鈴をつけた子供たちに聞くと「クマの対策になるので安心感はある」「できるだけ集団で帰るように、1人で帰らないようにしている」「音が少しでも鳴っていれば寄ってこないと聞いたので安心」と答えたが、クマ鈴と集団登下校だけで十分なのだろうか。
生活圏にクマを近づけないために
富士宮市環境部 花と緑と水の課・阿部修平 主事は「クマは雑食ということもあり、家の裏などに生ごみを放置しないことや、育てなくなった果実を切ってもらうのが一番の対策だと思う」と話す。
私たちの生活圏に出没し始めたクマ。
県によると静岡県は暖かく、12月はまだクマは冬眠しておらず、活動している恐れがある。
クマの姿が見えなくても身近にいると考え、鈴をつけるなどの対策が必要であり、できるだけ生活圏に近づいて来ないように、餌となりそうなものを放置しないことを心掛けたい。
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