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地球温暖化が進む中、日本の四季にも変化が生じています。「2月の桜」「モミジのクリスマスツリー」。温暖化防止の努力が実るには、まだ数十年かかると気象予報士の天達武史さんは語ります。
10月8日にテレビ静岡で放送されたテレビ寺子屋では、“あまたつ”の愛称で親しまれる気象予報士の天達武史さんが、日本の二十四節気の素晴らしさとともに、温暖化による四季の変化について語りました。
農作業の目安だった「二十四節気」
気象予報士・天達武史さん:
「二十四節気」は、「春夏秋冬」4つの季節をさらに24個に分けたものです。2500年以上前に中国で生まれ、日本には6世紀ごろに伝わったと言われています。
昔は天気予報がなく、生活するうえで「いつ種をまいたらよいのか、いつ農作業を進めたらよいのか」というのがわからなかったため、四季をさらに24等分して目安を作ったのです。
いまは1年が1月1日から始まりますが、昔は「立春」が1年のスタートでした。「二百十日(にひゃくとおか)」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、それは立春から数えて210日。「処暑・白露・秋分」のあたりで台風が来やすい、農作業も気をつけないと、という目安なのです。
いまでも、立秋を過ぎると「暑中見舞い」が「残暑見舞い」になったり、小寒からは寒の入りで、「年賀状」が「寒中見舞い」に変わったりと、生活の中で使われています。
温暖化で夏が長くなる?
「春夏秋冬」は日本以外にもありますが、中でも日本の「四季」はすごくはっきりしています。その「四季」が昔に比べてだいぶ変わってきたと言われていますが、どうなのでしょう。
このまま温暖化が進むと季節感も変わり、夏が長くなり、今世紀末の2080年ごろからは最高気温45度くらいが当たり前になると言われています。
秋は、短いというよりは少し後ろにずれます。冬が短くなり、そして春の訪れが早くなる。2月に桜が開花するかもしれません。
このまま行くと、秋にホワイトクリスマスならぬオレンジクリスマスを迎えるかもしれないです。クリスマスツリーがモミジになってしまうかもしれない。それはちょっとイヤですね。実際に50年前と比べると、全国的に紅葉がいますでに15日遅くなっています。
努力が実るのは20~30年後
温暖化が進まないようにできるかはみなさんの頑張りしだいで、二酸化炭素の削減が大きな力になります。いま一生懸命やっていることが、だいたい20~30年後に実を結びます。すぐには結果が出ませんが、いま頑張ることがとても大切です。
人によっては、「季節が夏と冬しかなくなってきた」とか、「四季がない」と言いますが、そんなことはありません。温暖化が進むと、いろんなものが少しずつ新しいものに代わっていき、時季も見られる場所も変わってくるかもしれませんが、日本の美しい景色は受け継がれていきます。
景色、体感、挨拶、言葉といった日本ならではの素晴らしい「四季」「二十四節気」を、ぜひみなさんも感じてみてください。
天達武史:1975年、神奈川県生まれ。27歳で気象予報士試験に合格。「あまたつ」の愛称で親しまれる。2005年からフジテレビの朝の情報番組に出演。現在は「めざまし8」の気象防災キャスターを担当。
※この記事は10月8日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。
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