まこさんとみくりや染織の商品
ひと

【御殿場・小原屋】脱サラ女性が藍染の継承者へ 「みくりや染織」に新しい風

静岡・御殿場市にある「正藍染 小原屋」。江戸時代から続く藍染工房で、電気技術職から転身した若き女性職人が、みくりや染織を広めようと日々修行に励んでいます。

【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへ

江戸時代から続く藍染工房

静岡・御殿場市に、江戸時代から脈々と受け継がれてきた伝統工芸品があります。

正藍染 小原屋(御殿場市萩原)

やってきたのは、御殿場駅から車で約5分の工房「正藍染 小原屋(しょうあいぞめ こはらや)」。御殿場市に唯一残る藍染工房です。

工房に入るとさっそく数台の機織り機がありました。床には丸形の開口部があり、ふたを開けるとなみなみと藍液が入っています。

藍染の釜

江戸時代に創業した趣深い工房です。

電気技術職から弟子入り

会いに行ったのは若き職人として働いている、26歳のまこさん。

小原屋の4代目・小原博康さんの元で、伝統技術を受け継ぐため修業を積んでいます。

左)正藍染 小原屋 4代目 小原博康さん 右)新人職人・まこさん

まこさんは元々、電気技術職の会社員として働いていました。小原屋へ弟子入りして2026年で約2年。職人への道を歩んでいます。

師匠である小原さんが、弟子入りの経緯を振り返ります。

会社員時代のまこさん

小原屋 4代目・小原博康さん:
いきなり職人になりたいと、ましてやこんな若い女性でびっくりしました。でも熱意を感じたし、こちらとしては非常にうれしかったですよ。見込みあるかなと最近思うようになってきましたね

思いがけない師匠の評価を聞いたまこさん。「続けていてよかった」と笑顔になりました。

若い女性職人ならではの「みくりや染織」

まこさんが、どんな染め物を作っているのか、早速見せてもらうことにしました。

右)テレビ静岡・大森万梨乃アナウンサー

見せてもらったのは藍色と白のグラデーションが粋な「トートバッグ」。

小原屋で作られる藍染製品は「みくりや染織」と呼ばれ、静岡県の郷土工芸品に指定されています。

藍染めのトートバッグ

トートバッグの他にもショールや衣類、足袋など、さまざまな作品が並んでいます。

小原屋 職人・まこさん:
染め重ねる色でだんだん濃くなったり薄くなったりするので、毎回違う顔を見せられるのがおもしろいところだと思います

みくりや染織

26歳のまこさんらしい商品もあります。

小原屋 職人・まこさん:
藍染はどうしても値段が高くなってしまうので、もっと気軽に日常やファッションに取り入れてもらいたいと思って、アクセサリーを作っています

みくりや染織のアクセサリー

テレビ静岡・大森アナウンサー:
かわいい! こういうのがあると藍染を知らない人でも手に取りやすい

まこさんの作品をきっかけに、みくりや染織を購入するようになる人もいたそうです。

貴重な原料「阿波藍」を使用

美しく深みのある自然な藍色が魅力の「みくりや染織」。その製造工程を特別に見せてもらいました。

まずは原料となる藍の葉です。

藍の葉

藍の葉を乾燥させ発酵させると、「蒅(すくも)」と呼ばれる染料になります。みくりや染織では、徳島県産の貴重な蒅である「阿波藍(あわあい)」のみを原料として使用しています。

阿波藍で染めることで、防虫・殺菌・消臭・保温・紫外線防止など、さまざまな効果を持つ生地に仕上がるそうです。

貴重なすくも「阿波藍」

過酷な作業「地獄建て」

蒅に、灰汁(あく)・石灰・麩(ふすま)・日本酒を加え発酵させる工程を、「灰汁(あく)発酵建て」と言います。

朝と夜、1日2回かき混ぜます。これを1週間から1カ月ほど続けて作る伝統技法です。

藍液をかき混ぜるまこさん
藍染の液「灰汁(あく)発酵建て」

小原屋 職人・まこさん:
発酵菌が中で生きてるので、常に温度やアルカリ度数を測って調整します。その難しさから「地獄建て」と言われています

藍液をかき混ぜると、表面に紫がかった泡が集まってきます。これは「藍の華」と呼ばれるもの。

藍の華

小原屋 職人・まこさん:
藍液の健康バロメーターです。染めることができる段階になったという印になります

「藍の華」が茶色い時は染めることはできませんが、きれいな紫になってくると染色に使えるようになった印なのだそうです。

魔法のような染めの瞬間

いよいよ染めの作業です。糸を藍液に漬けていきます。

糸を染めていく

テレビ静岡・大森アナウンサー:
藍液の色と、糸が染まっている色は少し違いますね。緑っぽいですよね

小原屋 職人・まこさん:
灰汁が茶色っぽいので、緑っぽく見えます

糸を藍液に5分つけた後、絞っていきます。

漬けた直後は緑色に近い

液の中では緑がかって見えていたものが、空気に触れた瞬間に鮮やかな藍色へと変化していきます。

テレビ静岡・大森アナウンサー:
まるで魔法をかけたかのように。こんな色に変わるんですね

多い時には数十回染めを繰り返し、深みのある藍色を作っていきます。

回数を重ねて深みのある色も

藍染体験で自分だけの一枚を

小原屋では、予約をすれば誰でも「藍染体験(5500円)※7日前までに要予約」ができます。

布を藍液に入れ、じっと5分待ちます。白く残したい部分は液に漬けずにおきます。

布を藍液に入れて5分待つ

染まり方によっては、布の中央をつまむと富士山の形を描くこともできます。

染め上がった布には藍染め独特の香りもあり、それも藍染め体験の面白さの一つだそうです。

富士山のような染め上がり

大きな夢を持つ若き職人

弟子入りして約2年、職人の道に飛び込んだまこさんに今後の夢を聞いてみました。

小原屋 職人・まこさん:
こちらの工房をのれん分けして、自分の手でみくりや染織を広められたらなと思います

まこさんの今後の夢

伝統の技を受け継ぎながら、藍染めアクセサリーという新たな表現にも挑むまこさんは、藍染めの魅力に染まった大きな夢を持つ若き職人でした。

■店名 正藍染 小原屋(しょうあいぞめ こはらや)
■住所 静岡県御殿場市萩原676
■営業時間 9:00~18:00
■定休 不定休
■問合せ 0550-82-0511

【もっと見る! 伝統工芸の体験記事】

アバター画像
静岡のみなさん、おかえりなさい。月~金、夕方4時50分から放送中!静岡県内のニュースや話題のスポット、気になる明日の天気まで、余すところなくお伝えしています。
  • BLOG