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山と海に囲まれた自然豊かな町、静岡・河津町。河津桜で知られるこの町には、江戸時代から「かっぱのお寺」として親しまれる古刹があります。そこには、かっぱが持ってきたという不思議なつぼが今も残されているのです。
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへ川沿いで発見した「かっぱ寺」の看板
右手に河津川を見ながら散策していると、興味深い看板を発見しました。「かっぱ寺」と書かれ、かっぱの絵も描かれています。

かっぱが祭られているのか? 一体どんなお寺なのでしょうか。看板の矢印に従って進むと、立派な寺院の入口が見えてきました。
河津川のすぐ近くにあるお寺「栖足寺(せいそくじ)」。通称「かっぱのお寺」と呼ばれています。

鎌倉時代から続く古刹
お寺を訪れると、優しそうな住職が迎えてくれました。かっぱ寺の謎を教えてもらいましょう。
栖足寺・千葉兼如 住職:
とても古いお寺で700年以上の歴史があります。鎌倉時代から歴史があるんです

鎌倉時代から続く由緒あるお寺ですが、かっぱのお寺として親しまれるようになったのは江戸時代からだといいます。
栖足寺・千葉兼如 住職:
江戸時代からかっぱのお寺という名称で親しまれています。かっぱの昔話の舞台になったお寺なんです

圧巻の天井画に目を奪われる
本堂に案内してもらうと、まず目に飛び込んできたのは見事な天井画です。建物自体も140年以上の歴史を持つ趣のある造りです。

栖足寺・千葉兼如 住職:
目を見張るのが天井画です。99枚ありますが、家紋の原型になった植物画なのです。この青色の色彩が、江戸時代に浮世絵で流行った青だそうです
確かに、現代の青色とは少し異なる独特の雰囲気があります。

この天井画は日本でも貴重な作品で、江戸時代の浮世絵に使われた青の色彩から、専門家は年代を推測できるのだそうです。
かっぱと不思議なつぼの物語
しかし、この美しい天井画を見ても河童の気配は感じられません。なぜ「かっぱ寺」と呼ばれるのでしょうか。
栖足寺・千葉兼如 住職:
河津川沿いを歩いてきましたか。 その河津川には、その昔かっぱが住んでたという言い伝えが残ってるんです

河津川に伝わるかっぱの昔話はこうです。
むかしむかし、河津川にいたずら好きなかっぱが住んでいました。ある日のこと、村人が河津川でウマを洗っていると、かっぱがひょいっとウマのしっぽに飛びつきました。

驚いた村人がかっぱを懲らしめようと追いかけると、かっぱは大慌てで逃げ出し、近くの井戸に飛び込みました。
騒ぎを聞きつけた栖足寺の和尚さんは、井戸の底で震えるかっぱを助け、「もういたずらをしてはいかんよ」と優しく諭し、逃がしてやりました。

するとその夜、和尚さんのもとにかっぱが戻ってきたのです。手には大きな“つぼ”を抱えていました。
「助けていただいたお礼です。このつぼに河津川のせせらぎを封じ込めました。水の音が聞こえたら、私がどこかで元気に生きていると思ってください」
そう言い残し、夜の闇へと消えていったそうです。

今も残るかっぱの“つぼ” せせらぎ聞こえた?
なんとそのつぼは、現在も寺宝として祭られ寺に残っていると言います。
栖足寺・千葉兼如 住職:
今でも聞くと、川の音がブチャブチャブチャブチャ、サラサラサラサラと聞こえるんです
そのせせらぎを一般の人も聴くことができるとのこと。体験をさせてもらいました。

千葉住職が大切そうに両手で抱えてきたのは、茶色の大きなつぼです。形状としてはお茶を保存するための茶壺だといいます。
栖足寺・千葉兼如 住職:
ぼーっという風の流れる音は、どんなつぼでも聞こえるんです。その音の奥の方からサラサラサラサラ、ピチャピチャピチャピチャ、いかにも川のせせらぎが聞こえます

恐る恐るつぼの口に耳を当ててみると、確かに聞こえてきました。ぼーっという風のような音の奥に、本当にチョロチョロという川の流れる音が聞こえるのです。これは不思議な体験です。
栖足寺・千葉兼如 住職:
これは全員が全員聞こえるわけではないんです。聞こえない方もいらっしゃるんです。聞こえない方は禅寺ですから座禅をお勧めしてるんです

実は千葉住職は以前、録音できないか試してみたことがあるそうです。しかしマイクを向けても録れませんでした。「やはり人間の耳じゃないと聞こえない音」だと話します。なんとも不思議な話ですね。
事前に予約をすれば、かっぱのつぼを聞く体験ができます。あなたの耳に川のせせらぎは聞こえてくるでしょうか。
■スポット名 栖足寺
■住所 静岡県河津町谷津256
■開門時間 9:30~16:00
■定休 なし※不在の場合あり
■問合せ 0558-32-0896
■駐車場 あり
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