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静岡市清水区の八木間町(やぎまちょう)は、秋の味覚「ぎんなん」の産地。収穫最盛期を迎えているということで生産者を訪ね、とっておきの食べ方を教えてもらいました。
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへ清水区は早熟なぎんなんの産地だった
八木間町があるのは清水区の東、JR興津駅から北に向かった所にあります。

にむらあつとリポーターが訪れたのは、立派なイチョウの木が立ち並ぶ広大な畑です。木々が生い茂る林に見えますが、これがぎんなん畑なのです。
生産者の青木亮太さんに言われて見上げると、緑色から黄色に色づいたものまで、まん丸な実がなっていました。

比較的温暖で日当たりがいいこの地域は、ぎんなんの栽培にうってつけ。他の地域に比べて実の成長が早く、全国に先駆けて出荷が始まるのが特徴です。
40年前始まった「しみずのぎんなん」の歴史
あまり聞いたことがありませんでしたが、清水区はぎんなんが有名なのでしょうか。
その初まりは40年ほど前。青木さんの祖父が、ぎんなんの栽培を地域の人たちと一緒に始めました。
ぎんなん生産者・青木亮太さん:
うちの祖父の代にミカン栽培がダメになった時があり、ミカンの代わりにと、いろんなものを試した結果、地元の人たちを巻き込んでぎんなん栽培が始まりました

まるで宝石のような、美しいエメラルドグリーンと独特のもっちり食感が、食通たちをうならせ、「しみずのぎんなん」として全国にその名を広めてきました。
拾ったぎんなん いつも見ている形と違うのはなぜ?
青木さんのぎんなん畑は、東京ドーム約2.5個分にもなる、広大な土地です。この時期は連日収穫作業で大忙しとなります。
ぎんなん生産者・青木さん:
本来はブルーシートを敷いて木を叩いたり、揺らしたりして収穫しますが、ここ数日の雨とか台風の影響で落ちたものがダメにならないように、先に拾って収穫します

にむらリポーターも、ぎんなんを拾わせてもらいました。
にむらあつとリポーター:
改めて見ると、つるがついたままの黄色いぎんなんの実は、まるでサクランボのようです。普段食べているのはこの形じゃないですよね?

これが私たちが普段食べている形になるまでには、さまざまな工程が必要です。
ぎんなん生産者・青木さん:
皮をむいていくと、殻付きの実があって、殻を割るとやっと食べられるんです。ちょっと手間の掛かる作物になります

そう、ぎんなんの実は2層構造になっているのです。
青木さんの父“手作り機械”が活躍
それでは出荷までの工程を見ていきましょう。
まずは、葉っぱを取り除く作業から。扇風機で風を当てて葉っぱを吹き飛ばす機械に投入します。

年間の収穫量は30t以上。葉っぱを1枚1枚、手作業で取り除くのはかなりの重労働なので、こうした専用の機械が活躍します。
ちなみにこの機械は、青木さんのお父さんの手作りなのだそうです。

ぎんなん生産者・青木さん:
(カゴ部分が)斜めになってるので実が転がっていき、手前の扇風機で風を送って、葉っぱはどんどん外に出ていきます
続いて、同じくお父さん手作りの機械を使って、皮や外側の実を取り除いてタネの状態へ。

最後に天日干しをすると、よく見かける殻付きのぎんなんになります。ただ、これで食べられるわけではありません。
ペンチのような道具を使って殻を割ります。ようやく中から茶碗蒸しで見かける形のぎんなんが表れました。

ぎんなん農家のおすすめ調理法2選
ぎんなんの素揚げ
素揚げをして約30秒。調理前は白っぽい色をしている実が、熱を加えることで色鮮やかなエメラルドグリーンに変わります。
素揚げして塩をかけただけのシンプルな調理法ですが、ぎんなんの味を堪能するには最適です。

口に入れるとコクッと実が割れる感覚があり、かんだ後はねっとり感が絶品です。
青木家特製の炊き込みごはん
2つ目は同じく秋の味覚シイタケと一緒に炊いた、青木家特製の炊き込みごはん。青木さんのお宅では、収穫の始まりを告げる、秋の風物詩にもなっているんだとか。

ぎんなん生産者・青木さん:
味が濃いのでおかずなしで、炊き込みご飯だけで仕事に行けます
ぎんなんの香りや味わいはしっかりと残りつつ、しょうゆごはんの風味と、シイタケやニンジン、だしが絶妙にマッチする完璧な一杯でした。
12月下旬まで楽しめる旬の味覚
「しみずのぎんなん」の出荷は12月20日、クリスマスぐらいまで続きます。「まだスタートしたばかり。ぜひみなさんに味わってもらいたい」と青木さんは話していました。

粒の大きさで変わりますが、1袋600円程度で販売されています。多くは東京、神奈川など関東圏に出荷されるそうですが、出会ったら“静岡印”の秋の味覚を存分に楽しんでみてはいかがでしょうか。
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