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かつて静岡市の駿府城公園内に存在した「駿府会館」。驚くべきことに、この会場では世界的スターが伝説のコンサートを開催していたそうです。今はなき、伝説的な歴史をもつ駿府会館を調査しました。
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テレビ静岡の映像ライブラリーで痕跡を探す
昭和になくなってしまった伝説の施設「駿府会館」を、テレビ静岡の室伏真璃アナウンサーが調査しました。
かつて世界的なアーティストがコンサートを行っていたという「駿府会館」の調査は、テレビ静岡の映像ライブラリーから始まりました。

「駿府会館」を検索すると、148件もの映像がヒット。
白黒映像の時代もあり、見た目は、三角形の屋根が特徴的なオシャレな建物でした。

内容を詳しく見てみると、「市政80周年記念式典」、「終戦記念日 静岡県式典」など、さまざまな公式行事が行われていた様子が確認できました。
さらに、テレビ静岡の公開収録や成人式、見本市なども行われていたようです。
1968年のテレビ静岡開局記念の番組では、「山本リンダ、美川憲一、水前寺清子」といった、そうそうたるメンバーが出演していました。

実際に当時の映像を見てみると、駿府会館は駿府城公園の北西側にあったことが分かりました。
映像からもわかるように、三角形でとても特徴的な形をしています。

正面から見た形も印象的でした。
約70年前に建てられたとは思えないほどオシャレな建物です。
実は設計はフジテレビ本社も造った著名な建築家の丹下健三さんでした。

駿府会館の中の様子もしっかりと残っていました。
テレビ静岡・室伏真璃アナウンサー:
結構広い。正面には舞台のようなところがありますね

テレビ静岡・室伏真璃アナウンサー:
面白いですね、舞台もやっぱり広いんですね。オーケストラがいるようなコンサートも行われていたようです
さまざまなジャンルのイベントや式典などが行われていた、大規模な建物だったということが分かりました。

駿府会館が存在した期間は1957年から1979年、今(2025年)から46年前になくなってしまったようです。
その痕跡は今も残っているのでしょうか。
幻の建物を現地で探してみた

実際に、「駿府会館」があった駿府城公園へ。
テレビ静岡・室伏真璃アナウンサー:
今、天守台跡の発掘調査をしている場所あたりが、もともと駿府会館があった場所でしょうか

そこにはブルーシートがかかった発掘現場、草が生い茂る広場があるのみ。残念ながら、当時の駿府会館の痕跡は見当たりませんでした。
テレビ静岡・室伏真璃アナウンサー:
今は何もないですね

情報を求めて駿府城公園内のおでん店へ
情報を求めて、駿府城公園内のおでん店を訪ねてみることにしました。
「おでんやおばちゃん 駿府城公園店」、ネーミングセンスが抜群です。

さっそくお店の方に駿府会館について聞いてみました。
おでんやおばちゃんの店員:
駿府会館が昔あったのは知ってます。ザ・タイガースとか、ザ・テンプターズが来ていました。学校もすぐそこだったので、学校帰りにすぐ着替えてコンサートに行っていました

なんと、ジュリーこと沢田研二がボーカルを務めたザ・タイガースや、名俳優としても活躍した萩原健一がボーカルのザ・テンプターズなど、当時のスターがコンサートを行い、黄色い歓声が起こっていたそうです。
駿府会館に大勢の観客が詰めかける映像も残っていました。

“世界的スター”を駿府会館で目撃
しかし、リサーチしているのは世界的スターです。どうにか情報を入手しなくてはいけません。
テレビ静岡のベテランの番組スタッフから情報をたどり、その世界的スターのコンサートを実際に見た人にたどり着きました。

静岡で昭和から撮影や映像制作を行っている会社「クラフト」の会長・山田三郎さんです。
山田さんは当時、仕事でもプライベートでも駿府会館を訪れていたそうです。
山田さんが実際に見たという世界的アーティストは、なんとエリック・クラプトン。

1975年10月29日に日本ツアーの一環として駿府会館でコンサートを行ったそうです。
エリック・クラプトンは史上最高ギタリストの1人とも言われ、2025年で80歳となった今も精力的に活動しています。

クラフト・山田三郎 会長:
本当に珍しいですよね。1曲目が「いとしのレイラ」という大ヒット曲、その曲からスタートしたので、もう全員総立ちでした。非常にリラックスした感じで「東京のコンサートより良かったよ」という話が聞けたんですよ
演奏はもちろん、会場の盛り上がりもあり、ファンの間では伝説のコンサートとも呼ばれています。

山田さんによると、エリック・クラプトン以外にも、カーペンターズが1974年6月1日と1976年3月17日に駿府会館でコンサートを開催したといいます。
そのコンサートも観に行ったという山田さんは、「自分たちの持ち歌以外もメドレーが入って、素晴らしかった」と当時の様子を思い出します。
クラフト・山田三郎 会長:
終わった後、両替町へ繰り出して盛り上がりましたね。そこへ行ってレコードをかけろとか言って、「今聴いてきたやつだから」とか言いながらね。それで一杯飲みながら、結構楽しい思い出もありましたね

静岡の音楽文化を育てた幻の会館
駿府会館は音楽の中心という側面もあったようです。
クラフト・山田三郎 会長:
静岡の音楽シーンにプラスになったんじゃないでしょうか。60歳以上の方たちは、皆さんがやっぱり体験あると思いますよ
テレビ静岡・室伏真璃アナウンサー:
その時代を見てみたかったです

「駿府会館」を調査をしてみると、世界的に有名なアーティストたちが東京だけでなく静岡にも足を運び、地方の音楽ファンに生の演奏を届けていた時代があったことが分かりました。
建物は失われても駿府会館での体験は、多くの人の青春の思い出として、そして静岡の音楽文化の歴史として、確かに生き続けていました。
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