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鬼滅の刃さながら! いまに伝わる「鬼を倒した村」の伝説を調査 最後は鬼を“爆破”して退治【富士宮】

静岡・富士宮市の白糸の滝から北へ約5分のところにある内野(うつの)地区。のどかな山あいの景色が広がるこの地域には、大人気アニメ「鬼滅の刃」さながらの「鬼を退治した」という驚きの伝説が残されていました。実はここ、「鬼のいない村」と呼ばれ、節分に豆まきをしないという特異な風習まであるというのです。

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「鬼橋」から始まる伝説の痕跡探し

富士宮市の白糸の滝を北上し、田貫湖方面へ向かう途中に内野地区があります。

富士宮市内野を歩くにむらあつとリポーター

まず目に飛び込んでくるのが芝川にかかる「内野大橋」。川沿いを歩いていると大岩があり、その上に石碑がいくつも建っていて雰囲気があります。

芝川の中にある大岩と石碑

さらに歩いていくと、「新鬼橋」の標識を見つけました。これは“鬼のにおいがする!”。

橋には「平成12年9月完成」と書かれていました。

左が新鬼橋 右が鬼橋

さらに新鬼橋のすぐ隣には、昭和39年に竣工された「鬼橋」も存在しています。新旧2つの橋が並び立つ光景は不思議な雰囲気を醸し出しています。

この2つの橋のたもとには「足形(あしがた)」という変わった名称のバス停も。このバス停の名前の由来も、この地に伝わる鬼の伝説と密接に関わっているようです。

富士急行バスの停留所「足形」

「鬼のいない村」の謎を解き明かす看板

さらに内野地区を散策していると、「富士宮市 歩く博物館 Kコース3」という看板を発見。この看板には驚くべき伝説が記されていました。

伝説のタイトルは「鬼のいない村」です。こう書かれていました。

富士宮市 歩く博物館 Kコース3の看板

「昔、富士山の麓に鬼が住んでいて、この辺りの村に出てきては悪さをし、村人に恐れられていました。ある夜遅く猟師の次兵衛さんが橋のところで鬼と出会い、火縄銃で鬼を打ってしまいました。鬼は打たれたお腹を抑え、お寺に寄りお坊さんに薬(火薬)をもらい、教えられた通り傷口に詰め、火で温めようとしたので爆発してしまいました。」

芝川

鬼を爆破して退治した!? これは衝撃的な内容です。

そして看板によれば、鬼と出会った橋を鬼橋、鬼が足跡を残したところを足形と言うそうです。地名の由来まで説明されていました。これで橋とバス停がつながりました!

今も残る「鬼退治の証拠」

伝説についてさらに詳しく知るため、地元の歴史に詳しい富士宮市役所の白糸・上井出地域学習センターの大浦教雄さんに電話で話を聞きました。

白糸・上井出地域学習センター・大浦教雄さん:
この話は有名です。次兵衛さんが使ったと言われる鉄砲は、彼の子孫によって今も大切に保存されているようです

電話で大浦教雄さんに取材をするにむらリポーター

実際に鬼を打った鉄砲が現存しているというのは驚きです。

さらに大浦さんは「この爆発させたというところがポイント」と語り、地区内にある観光牧場「まかいの牧場」では、この伝説を題材にした紙芝居が上映されていると教えてくれました。

紙芝居で語り継がれる「爆発」の場面

まかいの牧場で上演されている紙芝居は、まさに伝説をそのまま描いています。

紙芝居を披露するまかいの牧場・新海貴志さん

まかいの牧場の新海貴志さんが紙芝居を披露してくれました。銃で撃たれた鬼がお寺を訪れ、爆破されてしまうシーンです。

まかいの牧場・新海貴志さん:
ズドーンと撃たれた鬼。「薬をよこさないと食ってしまうぞ」と恐ろしい声で吠えています

紙芝居 寺の扉をたたく鬼

銃で撃たれた鬼がお坊さんから薬(火薬)をもらい、傷口に詰めて火をつけたところ大爆発。ドカーン!

まかいの牧場・新海貴志さん:
こうして悪い鬼が退治されたこの村では、鬼がいなくなったので豆まきをする必要がなくなり「鬼のいない村」として平和に暮らしました

黒煙が立ち上る様子まで描かれた紙芝居は、この地区に古くから伝わる伝説の証しとなっています。

紙芝居 平和に暮らす村人たちと爆発した鬼からあがる黒煙

まかいの牧場・新海貴志さん:
本物を掘り起こして、伝わってきたものを伝えていくというのはすごく意義あることだと思います

ところで興味深いのは「まかいの牧場」という名前。「まかい」という言葉が「魔界」、そして鬼をイメージさせます。

しかし実は社長の名字「馬飼野(まかいの)」がその由来。鬼退治の伝説とは関係ないということも判明しました。

「まかいの」の名前について説明する新海さん

炭治郎もびっくり! 伝説が今も生きる村

富士宮市内野地区に伝わる「鬼退治の伝説」。猟師とお坊さんが力を合わせて鬼を倒したというストーリーは、現代の人気アニメ「鬼滅の刃」にありそうな内容です。

地名や橋の名前、そしてバス停の名前にまで残る伝説の痕跡。そして節分に豆まきをしない風習にまで影響を与えていて、おもしろいではないですか。

紙芝居 猟師が鬼と出くわす

清流が流れ富士山が見える平和なこの集落を象徴するかのような伝説でした。

■スポット名 鬼橋・新鬼橋
■住所 静岡県富士宮市内野

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