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まだまだ夏は終わりません。猛暑の中、少しでも涼しい場所を求めてJR静岡駅から地下道へ。そこには単なる日陰以上の「冷え冷えスポット」が! 地下水を利用した環境に優しい冷却システムがありました。
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへ地上VS地下道 涼しさを数値で検証

8月のある日、JR静岡駅前。にむらあつとリポーターの手元の温度計は37.7℃を示しています。
炎天下の駅周辺に、驚きの“冷え冷えスポット”があると聞いて、向かったのは地下道です。
まずは地上と地下の気温差から調べていきましょう。

地上の気温は最大で38.8℃を記録。この猛暑からどれだけ逃れられるのか、温度計を片手に地下道へエスカレーターを降りていきます。
にむらあつとリポーター:
もうこのエスカレーター中段で涼しいのがわかりますよ。おそらくここに噴水があるので気温を下げてくれる一因かと思います

次に静岡駅北口地下広場に向かいます。
付近にあるお茶カフェからの空調が漏れてくる効果もあるのか、温度計は34.8℃。地上と比べると約4℃も気温が下がっています。

ただ34℃はまだまだ暑い。もっと涼しい場所を求めて地下通路を進み、松坂屋静岡店方面へ向かいました。
にむらリポーター:
いまものすごく涼しくなっています。松坂屋からの冷気がこの地下道に流れ込んでいます。近づけば近づくほど気温が下がってきました

松坂屋から漏れ出る冷気と地下道を吹き抜ける風の影響で、さらに気温が下がります。
なんと温度計は29.8℃になりました。冷え冷えです。

紺屋町地下街で発見 謎の白パネルの正体
地下道をさらに進み、紺屋町方面へと向かいます。
地上へ吹き抜けになっている部分では外気が入りやすく、一時的に気温が上がりましたが、静岡パルコに着く頃には、扉から出てくる冷気も感じられます。
地下街「紺屋町Be-one」に入ると、他の場所と比べて圧倒的に涼しくなりました。

にむらリポーター:
水が流れる音がずっと下の方からしているし、気温もまた下がってきました。涼しい、避暑地です
温度計は29.4℃を指しました。

休憩スペースで“仕事をサボっていた”と話す男性4人組に尋ねると、「地下水がジャバジャバ出ているからでは」と、涼しさの理由を推測。
ここは涼しいので、ついついサボって長居したくなってしまうのも納得です。

この場所が涼しい理由はなんなのか?
さらに地下街を探索していると、突き当りの柱の裏に隠れるように設置された謎の白いパネルを発見しました。
にむらリポーター:
これ涼しい。エアコンみたいにガンガン風が来るというより、プレートからふわっと冷気が流れてきているような感じ

触ってみると、白いパネル自体がひんやりとした感触です。
そばには説明パネルがありました。
「地下水熱交換システム。地下水から熱をくみ上げ冷暖房に利用します」。

これが紺屋町の地下街が特に涼しい理由だったのです。説明パネルによると、地下水は1年を通して15℃前後に保たれているそうです。
環境に優しい「地下水熱交換システム」の秘密を探る
この謎のパネルについて詳しく知るため、地下水熱交換システムの運営管理をしている静岡県環境衛生科学研究所を訪問しました。
対応してくれたのは環境科学部の川井理仁さんです。

川井さんによると、このシステムは2018年12月に設置され、すでに7年目を迎えています。
県環境衛生科学研究所・川井理仁さん:
熱交換システムとは温度の高いものから低いものへ効率的に熱を移動させ、加熱や冷却を行う機械です

仕組みとしては、エアコンや冷蔵庫に近いのですが、地下水を使って冷やすエコなシステムです。
県環境衛生科学研究所・川井理仁さん:
従来のエアコンよりも電力消費量が約半分に抑えられますので、CO2排出量の削減に貢献します
また、地下水の熱だけを汲み取っているため、地下水量など周辺の環境に大きな影響は与えないそうです。

このシステムは地下水があるところであればどこでも利用可能で、東京スカイツリーにも導入されているそうです。
暑い夏は地下道の「冷え冷えスポット」で涼もう

静岡市の地下街に地下水が豊富に流れているからこそできる、地下水熱交換システム。
通常の空調設備と違い、外気に熱を放出しないため、ヒートアイランド現象の緩和にも役立っています。
暑さをしのぎながら、エコな冷却システムを見学できる一石二鳥のスポットでした。
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