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【駿河区・ケントストア】天井までイスだらけの部屋! その正体は日本最大級のお店でした

静岡市駿河区の裏通りで見つけた工場のようなお店に潜入。中に入ると古めかしいイスが天井まで積まれていました。まるで“イスの博物館”。その正体は静岡だからこそ実現した、日本最大級の英国アンティーク家具ショップでした。

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ケントストア(静岡市駿河区中原)

いつも通る道でも1本裏へ入ればそこはまるで別世界、静岡県民必見の裏スポットを巡ります。今回は静岡市の「南中央通り」を小鹿地区から安倍川方面へ向かってお散歩します。

静岡の裏通りに英国旗たなびく

南中央通りから、とても細い道に入っていきます。この先お店はあるのか不安になるほどの裏道を抜けて、たどり着いたのはイギリス国旗がなびくお店「ケントストア」です。

煙突もあるまるで工場のような建物ですが、近寄ってみるとおしゃれな看板や、アンティーク調の赤いポストが見えてきました。何の店なのか気になります。

木の扉を開けて入ってみると、映画の世界に迷い込んだかのようです。思わず「すごい!」と声が出てしまう異世界でした。

アンティーク家具と雑貨が並ぶ店内

全国最大級の英アンティーク家具店

そこは、イギリスのアンティーク家具が所狭しと並んだ広い空間でした。

ケントストア スタッフ・斎藤貢一さん:
イギリスからの直輸入の家具と雑貨を扱っている店です

約8000点の品ぞろえは全国トップクラス。

1点もののアンティーク家具との出会いを楽しむ事ができます。

イギリスの家庭をイメージした部屋には100年前のダイニングテーブルがありました。

そのテーブルには、時代を反映させた面白い仕掛けが備わっています。お店のスタッフの斎藤貢一さんが、特徴的なダイニングテーブルを見せてくれました。

正方形のコンパクトなテーブルの一辺を引っ張ると、収納されていた部分が引き出され、長方形の大きなテーブルに早変わり。

上)コンパクトに畳んだテーブル
下)赤丸部分を引き出して大きなテーブルに

100年前のイギリスはあまり広い家がなかったので、こういう仕組みの家具が使われていたそうです。日本の住宅にもぴったりですね。

さらに、奥に進むと「ショップアンティーク」と呼ばれる昔のお店で使われていたもの、遊びに使われていたものが置かれた部屋でした。

ビリヤード台「スヌーカーテーブル」は132万円です。

ショップアンティークが置かれた部屋

“関ケ原の戦い”の時代の家具

「当店で一番古い家具」として紹介してくれたのは、彫刻が施された腰ぐらいの高さの木の箱です。いったいなんの家具でしょう?

ライティングビューロー(440万円)

彫刻部分を手前に開けてみると、書き物机になりました。

この家具の名前は「ライティングビューロー」、値段は440万円です。

ライティングビューロー 書き物机になる

ケントストア・斎藤さん:
1600年代のものです。日本だと関ケ原の戦いの頃です。販売用と言うより観賞用で、歴史を感じてもらうために展示しています

当時は手紙が一番の伝達方法だったので、テーブルと手紙を入れておく棚がセットになっていました。

手紙を収納する棚付き

まるで“イスの博物館”

さらに2階エリアに向かうと、思わずのけぞってしまう光景が待っていました。

「こちらが当店の一番の自慢の売り場です」と案内された部屋には、天井まで積まれたアンティークチェアがびっしり。ケントストアの一番人気は、このイスの展示スペースです。

2階 イスの展示スペース

15世紀から20世紀に至るイスの歴史を見ることができます。常時200脚以上が見やすいように吊るされていて、来た人はみんな驚くそうです。

ケントストア・斎藤さん:
ベントウッドと言いまして、曲げ木家具という名前で日本では知られています。背もたれの部分が1本の木でできていて、ここにあるものは90年から100年たっています

ケントストアではイギリスからイスを直輸入しており、中には座面がないもの、壊れているものもあります。それを直営工場で一度分解して、もう一度組み直しています。

その際には、100年前のイギリスで使われていた同じ成分の塗料などで塗り上げるこだわりです。

座面を張り替えるなど修理もする

100年ほど前の家具が、これだけそろっているのは併設の工場で修理をしているからでした。そして、こうした修理ができるのも、静岡の家具文化と深い関わりがありました。

静岡だからできる職人技

店舗の隣にある修理工場を見せてもらいました。

煙突がある左手の建物が修理工場 右手が店舗

古い家具なので、どうしても「ねじれ」や「ひずみ」が出てきます。家具の扉は隙間を全て調整して開け閉めしやすいようにします。割れたガラスは新しいものに替えます。

約10人の熟練した家具職人の手によって、アンティーク家具の風合いを生かしつつ、日本人が使っても満足する品質に修理されるんです。

ケントストア・斎藤さん:
静岡市には清水港があり、輸入した家具を直接ここに持ってくることができます。また徳川家康が全国から職人を集めて塗装や木工を発展させたまちです。その時から職人の技術が脈々と伝わってきています

家具を安全に運ぶために、イギリスからの輸送は船が主流。清水港がある静岡に目を付けたのは今から20年前でした。

実はそのころ、家具業界は工場の海外移転が進み職人たちは大打撃を受けていました。そこに人材を求めていたケントストアが奇跡的にマッチング。日本の確かな技術を受け継いだイギリス家具店が静岡に誕生したというわけなんです。

土地も人材もそろっていた静岡。最初は異世界かと驚いた英国アンティーク家具店でしたが、話を聞いてみれば、ここにあるのは必然でした。

■店名 ケントストア 静岡本店
■住所 静岡市駿河区中原453-3
■営業時間 9:00~17:00
■定休 なし

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