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モラハラが招く熟年離婚 相手を想う気持ちを言葉にして示すことが大事【テレビ寺子屋】

弁護士の菊地幸夫さんは、熟年離婚の相談を受けることが非常に多いと語ります。離婚を考えるきっかけの多くは、夫によるモラルハラスメントです。夫婦は互いに伝わる態度や言葉で感謝を示すことが大切だと指摘しました。

テレビ静岡で11月17日に放送されたテレビ寺子屋では、弁護士の菊地幸夫さんが、熟年離婚のよくある原因と、「こうしたら良かったのに」と感じることについて話しました。

3組に1組は離婚する時代

弁護士・菊地幸夫さん:
今の日本では、おおよそ3組が結婚すると一方で1組は離婚する、そんな状況です。若い人だけでなく、熟年になってからの離婚も相談は非常に多いです。

夫から、妻から、いろんな相談がありますが、統計上の数字ではなく相談を受けている私の感想ですと、熟年の人が離婚を希望する理由として、「モラルハラスメント」的なことが多いような気がします。

言葉が非常にきついとか、例えば「夫が上、妻が下」などと完全に固定化してしまい、平等な関係を築けない、そういった原因が多いように思います。

自立している妻と依存していく夫

ケースバイケースでもちろんすべてというわけではないですが、意識調査などを見ると、夫婦の年齢が上がっていくにつれて、夫と妻との関係は夫がどんどん妻に対して依存していく。

「妻なしではもう生きていけない」「妻だけいてくれればいい」と、こんな感じです。

一方、妻は意外とマイペースで、ご近所や幼馴染のお友達もいて、夫ともまあうまくやっている。

夫は、妻のそばにいると非常に居心地がいい。なんでも「おい」と言えばやってくれる。何かと頼りにしてしまう。でも、妻は必ずしもそういう気持ちではない。

モラハラ的態度が離婚のきっかけに

こんな状況があるにもかかわらず、夫から妻には「お前は別に意見言わなくていいんだ。俺の言う通りやってれば」とか、何かうまくいかないことがあると「お前のせいだろ」という、こんな感じの会話が行われている。

気持ちでは妻に依存し頼りにしているにもかかわらず、表面的に出る言葉や態度は「俺様がこの家で一番だ」といったギャップがあるのです。

それに妻はちょっと耐えかねてしまい、「離婚したい」という形で出てきているのではないのか、という感じがします。

熟年離婚というと夫は私と同じぐらいの年の方が多く、その年で妻から「もう嫌だ」と宣言されたらしんどいだろうなと、つい感情移入してしまいます。

散々夫からのモラルハラスメント的なことがあったと、妻から離婚の相談を受けたケースでは、調停で離婚が成立した後、最後に一言絞り出すように「お母さん、今までありがとう」と伝えた夫を見て、なんでもっと早く言ってあげなかったのだろうかと思いました。

素直な言葉や態度を伝えることが大事

私は「離婚すればいい」とは思っていません。もちろん仕事ですけれども、うまくいくのだったらそれに越したことはないと思っています。

だから「そんなに妻のことを思っているのだったら、もっと早く優しい言葉をかけてあげたらこんな風にならなかったのに」と残念で仕方ありませんでした。

夫と妻、それぞれストロングポイントとウィークポイントがあり、お互いに補っていくのが夫婦です。

「いろいろ言葉に出さなくても分かり合っていればいい」とか、「本当の夫婦の愛というのは、深いシワの奥に住む」とか、いろんな言葉がありますけれども、ある程度自立し適度な距離感を保ち、はっきり分かるような態度や言葉で感謝の姿勢を相手に示していくことが、大切なのだと思います。

菊地幸夫:中央大学法学部卒業。元司法研修所刑事弁護教官。テレビでの法律相談やコメンテーターとしても活躍。弁護士業務の傍ら体力作りにも勤しみ、地元小学生のバレーボールチームの監督も務める。

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