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「自分だけのこんな空間が欲しかった!」趣味にハマる女性のニーズに応える新タイプの家具を、新人女性社員が開発。自分のスペースが台所しかないと話す女性の声もヒントとなりました。
自宅に簡単設置!
女性の身長より少し低いぐらいの長方形の箱。開いてみると、一人用の趣味のスペースに!
こちらはホビークラフトベース(=趣味の創作基地)という名前の家具です。椅子に座ると、模型キットにプラカラー、スプレーから雑誌まで、あらゆるツールに手が届く空間になっています。
そして一日の作業の終わりには、メインテーブルを跳ね上げて2つに折りに。リビングなどを占拠して、家族に迷惑をかけることもありません。
模型ファンの声を忠実に再現
ホビークラフトベースは静岡・袋井市にある家具メーカー「バルバーニ」が、模型の街らしい家具をコンセプトに発表しました。
企画を持ち込んだのは、模型ファンで木工メーカーの技術者、星礼治さん。
「こんな家具があったらいい」とバルバーニに提案し、4カ月間にわたって商品開発会議にも参加して、材料やデザイン面で提案を行いました。
この時、静岡ホビーショーまで半年足らず。
「静岡ホビーショー」は毎年5月に静岡市のツインメッセ静岡で開催される、ホビー業界の見本市であり、ファンの交流イベントです。
国内外から7万人以上が来場するこのイベントで、新商品を発表したい。
浜松市在住のプロモデラーの山田卓司さんや、ミリタリージオラマ製作で有名な金子辰也さんにも意見を求めました。
開発に大抜てき 女性新人社員
開発チームには春に入社したばかりの女性新入社員2人も抜てきされました。「固定概念にとらわれないよう、新入社員が開発を」と、バルバーニの林俊哉会長の指名でした。
ベテランの企画開発部・山﨑成樹マネージャーがチーム長となって3人でスタート。
趣味のための収納家具だけではなく、裁縫や植物の栽培にも用途を広げてみようということになります。
わずか1カ月後の12月に開催された「クリスマスフェスタ2022」には試作品を出品して、一般来場者の意見も聞きました。
すると女性の来場者から、背中を押されるご意見が寄せられます。
「裁縫の趣味があるんだけど、家の中には自分だけがゆっくり使えるスペースがない」
「お父さんには、書斎や居場所があるけれど、主婦が活動するスペースは台所になってしまう」
「欲しいからすぐに売って欲しい」という声もありました。
こうして開発チームは、模型製作者向けのホビークラフトベース「モデーロ」に続いて、ミシンや裁縫道具を置けるようにした「ソーイングベース」の商品化に向けても動き出しました。
こだわりポイントが満載!
バルバーニ企画開発部・小林彩香さん:
プロのモデラ―の意見として、メインのテーブルは「とにかく真っ平に」。蝶番や固定ねじも突起にならないように設計し直しました。細かい部品を数多く扱うので、溝に部品が落ちたりしないようにしています
バルバーニ企画開発部・松浦美波さん:
安全面も重視しました。広げた時に180度まで広がってしまうと、指を挟んでケガをしてしまうため、90度以上に広がらないように特殊な金具を付けました。またこの安全設計によって、家具自体が転倒しにくくなっています
熱帯魚スペースや学習机にも
各所にケーブルを通す穴もあり、電気配線も簡単にできそうです。
例えば熱帯魚を飼うための水槽や照明、飼育キットをまとめた「アクアマリン・ベース」も実現可能です。
商品をディスプレイした状態でイベント会場に運び、さっと広げるだけでPRブースのできあがり、というビジネスシーンでの使い方も。
バルバーニ企画開発部・山﨑成樹マネージャー:
プラモデルだけでなく、裁縫をする工房として。また多肉植物を展示する場所だったり、鉄道模型やフィギュアをディスプレイする展示棚としても使えます。背板を透明にカスタマイズすれば、閉じた状態でも自分の宝物を眺めることができます
子供の学習机として使って、成長したらお父さんやお母さんの趣味のベースにカスタマイズすることも。使い方はユーザー次第で無限に広がります。
10日から始まる静岡ホビーショーでは、模型製作者向けシリーズ「MODELLO(モデーロ)」が公開されます。値段は14万3000円。ぜひ実物を実際にチェックしてみてください。