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人工衛星の部品にも施されるチタンコーティング。その宇宙開発技術と職人の手仕事で、オーロラのような美しいジュエリーグラスを生み出す企業が静岡・島田市にあります。「テクノロジーをアートに」。その技術とは。
全国各地の隠れた魅力的な商品を集めたというAmazonの「日本ストア」で、静岡県のイイモノを検索。実際に現地を訪れじっくり検証してきました。
グラスの中に“小さな虹”を作り出す技術
まずは実物を見るために静岡市葵区本通にある「プログレス・リミテッド静岡本店」へ足を運びました。
テレビ静岡アナウンサー・小松建太:
ずっと見ていたくなるくらいキレイな輝きですよね
PROGRESS・小長井克久ゼネラルマネージャー:
ガラスの内側だけにチタンを施しています。チタンは希少な金属と言われていますが、その中でもさらに純度の高いピュアチタンを使ってこのグラスを作っています
小松アナ:
この色合いはチタンに何か塗料を混ぜているんですか
PROGRESS・小長井さん:
実はチタンの厚みを変えて光の屈折率を利用して色合いを出しています。自然界にあるオーロラや虹などと同じ現象を小さなグラスの中で起こしています
PROGRESS・小長井さん:
またアルミやステンレスなどの金属のカップだと金属イオンが発生してしまい、水を飲むと鉄くさいと感じてしまうことがありますが、チタンにはそれがありません。さらにチタンの効能で、雑味を分解して味がまろやかになるので、飲んだ時に美味しいなと感じてもらえるグラスになっています
小松アナ:
見て良し、使っても良しですね
宇宙開発技術にも採用 テクノロジーをアートに
グラスにも用いられている、チタンのような金属を立体のものに薄くコーティングする装置を開発したのは島田市で町工場を営む小長井さんの父・博夫さん。その高い技術は宇宙開発分野でも認められ、人工衛星のパーツにも採用されました。そこに息子である小長井さんが注目したことによって、ジュエリーグラスが誕生しました。
PROGRESS・小長井さん:
僕が父親の技術に1番恋をしてしまい、この美しさきれいさをどうにかして届けられないかと始めました。最初は「ただきれいなだけでは売れないんじゃないか」と言われました。しかし、チタンは人に最もやさしい金属と言われていて人工関節などにも使われています。衛生面でも非常に優れている金属です
ひとつのグラスに8~10時間
実際にガラスをコーティングしている様子を見学。機械の内部は企業秘密で撮影は出来ませんでしたが、特別にのぞかせてもらいました。
PROGRESS・小長井さん:
少し難しい話になってしまうんですが、この中では高電圧をかけて高真空の中でプラズマを発生させてチタンの分子を音より速いスピードで飛ばしています
小松アナ:
何をやっているかわからないですけど、すごいなという感じです。これでコーティングにどれくらい時間がかかるんですか
PROGRESS・小長井さん:
グラス1つを作るのに8時間~10時間ぐらいかかります。時間をかけただけ緻密な膜になるので。だからこそグラデーションのカラーリングが出ます
最後は職人の手仕事で
コーティングをした後は、傷やくもりがないかを人の目でチェック。そして人の手で磨き上げられて完成します。まさに最新技術と職人の手仕事の融合です。
PROGRESS・小長井さん:
私たちはテクノロジーが核になっているので、テクノロジーをアートとつなげていく、そして世界が静岡から発信しているもので豊かになっていけばと強く願っています
幻想的な色合いをしていて眺めているだけで心落ち着く不思議なグラスでした。また何より父・博夫さんの仕事を尊敬し、世の中に広く知ってもらいたいという小長井さんの願いを強く感じました。
※この記事は2023年2月22日にテレビ静岡のただいまテレビ内で放送された『いろいろイイモノしずおか』をもとにしています。