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「私の後ろを歩かないで」 DV女性シェルターで見た言葉の意味【テレビ寺子屋】

人間関係の理想の距離の取り方は。あなたは大切な友達の「後ろを歩く」「前を歩く」、それとも「隣」を歩きますか。作家で子供の本の専門店クレヨンハウスを展開する落合恵子さんは、アメリカの女性シェルターである言葉を目にしました。

2月5日にテレビ静岡で放送されたテレビ寺子屋では、小説「わたしたち」を出版した落合さんが、女性たちの生き方について語りました。

今度集まるのはお葬式・・・月日を経て再会した4人

作家・落合恵子さん:
ひとつの時代、ひとつの文化には共通するものがあります。一人一人が違う人生を生きているけれど、その人たちを囲む文化歴史というのは共通します。その中で必死に自分であろうとします。 小説「わたしたち」は4人の女性に共通する社会を描いた全員の物語です。(「わたしたち」は落合恵子さんの著書。4⼈の⼥の⼦が1958年から、人生の最終ステージを迎える2021年までを描いた物語。)

13歳で出会った4人が長い月日を経て再会した時、誰かがふざけて言います。「今度集まるのは4人のうちのひとりのお葬式かもね」と。「そうね。樹木葬がいい?それとも海に散骨?」。

思い出すのは13歳の出会った頃、みんなで行った臨海学校。その海の青さであり、その夜話した大人には聞かせられない秘密の会話です。物語はそこから始まり、70代まで続く「友情」をテーマにしています。

友情はともに生きていく証

「友情」とは何でしょうか。家族の愛情とも違います。友情は淡いものでありながら、ともに生きていく証のようなものかもしれません。小説「わたしたち」の大きなテーマのひとつであり、次の言葉が的確に表現しています。これはアメリカでDVなどから女性を守るシェルターで見た言葉です。

Don’t walk behind me;
I may not lead.
(わたしの後ろを歩かないでください。わたしはあなたを、リードすることはできないでしょうから)

Don’t walk in front of me;
I may not follow.
(わたしの前を歩かないでください。わたしはあなたに、従うことはできないでしょうから)

Just walk beside me and be my friend.
(わたしのすぐ隣りを歩いてください。そして友だちでいてください)

人間関係の理想的な距離の取り方がこの言葉の中にあるのかもしれません。そして「わたしたち」という4人組を支えていたのもこの言葉です。

人生は「短編小説」だと気付く

「人生は一冊の本である」と書いた詩人がいました。確かに一冊の本かもしれません。気が遠くなるほど「長編」だと思えた人生。それが実は「短編小説」だったと気づく時がいつか来ます。

わたしたちが今生きている時間は、生きたいと願いながら生きられなかった人たちが遺していってくれた時間なのです。だからこそ今という時間、そして人生という小説の1ページ1ページ、その1行1行がかけがえのないものだと言えるのではないでしょうか。

落合恵子:作家・クレヨンハウス主宰。1945年栃木県生まれ。執筆活動と並行して、子供の本の専門店クレヨンハウスなどを展開。総合育児・保育雑誌「月刊クーヨン」や、オーガニックマガジン「いいね」の発行人。

※この記事はテレビ静岡で2023年2月5日に放送された「テレビ寺子屋」をもとに作成しています。

フジテレビ系列で放送中の番組。「子育てってなんだろう」。その答えは1つではありません。テレビ寺子屋では子育てや家庭のあり方について様々なテーマを元に毎回第一線で活躍する講師を招いてお話を聞きます。