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浜松市中央区富塚町に「高齢者が暮らしやすい未来的な地域社会づくり」を考えた賃貸マンションがオープンしました。見学会に参加してみたところ、ユニークな取り組みが満載でした。
「自治会活動はもう十分」シニアのリアルな声
「リライフ富塚」を建設したのは、脱炭素や未来の地域社会作りに取り組んでいる須山建設で、グループの不動産会社「アライブ」が管理しています。
2月に内覧を開始して以降、約300人が見学に訪れています。市内から娘と2人で見学に来ていた70代の女性は、引っ越しを考えている理由を教えてくれました。
浜松市中区の70代女性:
3階建ての一軒家に2世帯で住んでいますが、自治会の当番がそろそろ大変なんです。凧揚げ祭りの時に、朝3時に起床しておにぎりをにぎる作業も、もう十分やりました。街中から離れて一人暮らしができて、近くに食品スーパーがあればいいと思います。一軒家では3階まで階段で昇るのがそろそろ大変になってきたけど、このマンションならエレベーターで行けます
また父親の住まいを探している40代の男性は、離れて暮らしているからこそ、安心できる場所を探しているそうです。
東京から見学に来た40代男性:
自分は勤務先の都合で東京にいます。息子としては何かあった時にすぐに駆けつけられないので、サポート体制が付いている賃貸マンションは魅力的です。父はまだ元気なので介護施設に入れるわけにもいかず、シニア向け賃貸マンションへなら罪悪感を感じなくて済むのがいいんです
見守りサービスや地域とつながる仕掛け
自立した高齢者が暮らす場ではありますが、「リライフ富塚」はただの賃貸マンションではありません。
24時間の見守りサポートは、電気使用量メーターなどで異常を検知します。近くの施設にいるサポートスタッフも個別に訪問してくれます。
1階共用スペースでは、週1回、地域の人と一緒に参加する絵手紙教室などのワークショップが行われていて、地域とつながりを持つことができます。
高齢を意識させない部屋
部屋は、白を基調とした明るくシンプルなデザイン。施設っぽさがない「いたって普通」を大切にしています。
にもかかわらず、高齢者が助かる手すりはちゃんと設置されていて、目立たないのは白い部屋に白い手すりだから。
自分が高齢者であることを意識させない、来客にも気づかれにくい、ちょっとした工夫です。
シニア向け賃貸マンションながら、「高齢者である」ことを意識させない。そんな設計者のさりげない配慮が施されているのです。
リライフ富塚を支える地域の企業
リライフ富塚の見学会に訪れた高齢者は、普段自分の足で旅行や買い物にもどんどん出かける、いわゆるアクティブシニア層です。
急速に高齢化の進む日本社会で、アクティブシニアが楽しく暮らせる社会をどう作るか。
リライフ富塚から約150mの場所にある連携施設「おおるり富塚」の塚本絢也マネージャーは、新たな協力体制でアクティブシニアの暮らしを支える仕組みを考えました。
塚本絢也マネージャー:
これまで要介護認定を受けた方は、アパート側や不動産店が断ることがほとんどでした。それを受け入れられる、かつ自分らしい生活ができるのがこの施設です。入居者が暮らしやすい環境として、地域住民とのつながりは必要です
正面玄関アプローチには、コミュニティベンチを設置しました。入居者と地域の人が腰かけて、ちょっとした会話ができるスペースです。
塚本絢也マネージャー:
入居者がマンションの周りをお掃除したときに「ありがとう」と地域の方々から認めてもらえるような取り組みも考えています
ワークショップ開催で協力を申し出たのは、新聞配達やシニア向けサービスを提供する「アウンズ・ヤナギハラ」の柳原一貴社長です。
これまでに、絵手紙教室や水引き作り教室を実施しました。
アウンズ・ヤナギハラ・柳原一貴社長:
新聞配達だけではなくお弁当のデリバリーなど、地域のお役に立てることを広げてきました。すでに自分たち行っている仕事が地域のために役立つので、リライフ富塚の運営にも無理なく協力できるんです
リライフ富塚は須山建設グループが地域の企業や住民と一緒になって手掛ける「大きな社会実験」です。入居は既に始まっています。リライフ富塚の挑戦から、高齢化社会のあり方を考えるヒントが得られるかもしれません。
■施設名 リライフ富塚
■住所 浜松市中央区富塚町1222-145
■問合せ 053-475-5222(賃貸管理会社・アライブ)
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