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現場の声から生まれた“車いすのクッション” 座り心地を快適に【静岡】

介護現場の声に応えて生まれた車いすのためのクッション。人間工学に基づき、使う人の心にも寄り添った逸品を作るメーカーが静岡市にありました。

全国各地の隠れた魅力的な商品を集めたというAmazonの「日本ストア」で、静岡県のイイモノを検索。実際に現地を訪れじっくり検証してきました。

車いすの姿勢を助ける

静岡市清水区で寝具製造加工メーカーを営む丸井商事。介護現場に向けて製造している商品が「ハバック 腕置きクッション」です。

テレビ静岡・小松建太アナウンサー:
特徴的な形をしたクッションですね。お尻の下に敷いて座るんですか

丸井商事 代表取締役・井木英之さん:
敷くのではなく車いすのとき膝の上に置くクッションなんです。腕は結構重たいので、年齢を重ねるとどうしても体が傾いたり前に行ってしまったりしてしまいます。それを少しでも支えるためのものです

ひじ掛けから手が滑ってしまうことを防ぐことができ、このクッションがあるだけで楽になるそうです。

クッションの真ん中、色の違う部分は、伸縮性のある素材で作っています。

丸井商事井木さん:
長い時間使用するものなので体にフィットするようにしています

実際に座ってみると、クッションを持つことで座る位置が安定しました。また、丸みのあるものを抱え込む安心感があり、落ち着いて座ることができました。

介護現場の声をかたちに

以前は主に他社ブランドの製品を製造するOEMを行っていた丸井商事が、介護分野への取り組みを始めたのは約15年前。

静岡市にある特別養護老人ホームの依頼がきっかけでした。実際の介護現場を見て感じた思いが、ものづくりに生かされています。

丸井商事井木さん:
実際に施設に行ったときに、ほとんどの方が車いすに座っていて姿勢も崩れていて、何かできることはないかと思いました

静岡県工業技術研究所と手を取り合い、2年以上かけ完成したクッション。介護現場の声を聞きながら、落下防止ベルトやファスナーカバーを付けるなど、細かい要望に応えました。

背中が丸くなる「円背」向けのクッション

さらに2011年には自社ブランド「ラクデス」を立ち上げ、商品アイテムも充実していきました。

背中が丸くなってしまう「円背(えんぱい)」を患った人向けのクッションもその一つです。

丸井商事井木さん:
体の左右の形が違ったり、やせていたりすると姿勢がとりにくいんです。でも、この枕を使えばフィットして安定します

小松アナ:
寝る姿勢がとりやすいですね

頭の周りとそれ以外の部分の生地を変え、頭が転がり落ちない設計にしています。

こうした商品は全て自社工場で、常に使う人のことを考えながら製造しています。

丸井商事井木さん:
心掛けていることは「本当に今のニーズにあっているのか」。まだ改良すべき点はないか確認して、より市場にマッチした商品作りを心掛けています。少しでも楽になったり笑顔になったり、そういったことを積み重ねて、役に立てばいいと思います

クッションは中身まで全て家庭で洗濯することができます。使うだけでなく普段のお手入れの面も考えられていました。介護する側・される側、両方を思う優しさがクッションに詰まっていました。

テレビ静岡アナウンサー。スポーツを主に、静岡県内の取材を幅広く担当。TVer配信番組『おかずクラブのただいま日和』ナレーション担当。愛猫は9歳のハチワレ"だいず"と3歳キジトラ"でで"。