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「本番前あえてネガティブ」スポーツで培ったメンタルを社会で生かす方法【テレビ寺子屋】

スポーツは社会に出てからも生かせる様々な「心のスキル」を育みます。難しい目標を達成するために実践したことを、銅メダリストの田中ウルヴェ京さんに教えてもらいました。

テレビ静岡で4月14日に放送された「テレビ寺子屋」では、スポーツ心理学者の田中ウルヴェ京さんが、スポーツを通して身に付けたスキルについて語りました。

仕事にも使える心のスキル

スポーツ心理学者・田中ウルヴェ京さん:
スポーツからは心・技・体いろいろなことを学べますが、その学んだことが引退後も企業や社会で役立ち、求められるスキルなのはなぜかということが盛んに研究されています。近年、イギリスの学生スポーツをやっていた約2万人を対象に量的調査をした結果、スポーツで学び仕事でも使える「心のスキル」がいくつか挙げられています。

いつもより頑張ってみる力

そのうちのひとつが、「難しい目標でも達成しようとする意欲」です。

達成しようとするためには「コンフォートゾーン(快適な空間)から出る能力」が必要です。身近な例えでは、トレーニングでいつも30回やる腹筋を、そこからさらに35回までやろうとしたとき。30回まではコンフォートゾーンですが「最後の5回はそこから出る」と決める力です。

こういった「心のスキル」はスポーツをすれば簡単に身につくわけではなく、体を作ったり技を学んだりするのに時間がかかるのと一緒で、一つ一つゆっくり身につけていくことだと思います。

人によってやり方は違いますが、具体例として、難しい目標でも達成しようとするために実際に私自身がやったことを紹介します。

本番前はネガティブでいる

まず、必ず唱えていたのは、「自信はもたないようにする」です。

達成できそうな目標なら自分を信じられプロセスもイメージができますが、難しい目標に向かうとき、自信はないです。私はオリンピック選手になり選手村に入った時ですら、「自信なんてもたなくていい」と思うようにしていました。それはなぜか?「本番前日までネガティブな自分でいつづける」ことを大切にしていたからです。

私の性分かもしれませんが、「もう大丈夫」「この自分でいけるかも」と思ってしまうとコンフォートゾーンにも入りかねません。すると、うっかりミスが増えケガをします。自信をもちすぎると正しい緊張ができなくなってしまうので、前日までは「最悪を常に想定する」という意味でのネガティブでいるようにしました。

本番は頑張りすぎない

そして迎えた本番当日、難しい目標でも達成するために何をしたか。「自分に期待しない」です。

完璧にやろうと思うと過緊張をします。自分に期待をすると頑張り過ぎてしまいます。選手時代に日記によく書いていて、今でも大切にしているのが「本番は7割しか出せない」という言葉です。7割で良いと言っているのではなく、7割ですらまあまあな自分でいるためには緻密に戦略を練り、準備することが必要というのが私の具体例です。

広く学ぼうとする意欲をもつ

最後に、学んだことを使っていくときに必要なこととして、「スポーツ以外の社会のことも知ろうとする能力」を付け加えたいと思います。

いろいろな社会の人と話をしてコミュニケーションを取ることで、「自分がスポーツで学んだことはこの分野でも使えるのか」「もしかするとこの分野には使えないのかもしれない」などと気づき生かすことができます。

ぜひいろいろなご自身の経験を当てはめてみて、社会の中で生かしていってください。

田中ウルヴェ京:1967年生まれ。ソウル五輪シンクロ・デュエットで銅メダルを獲得。米国の大学院で心理学を学ぶ。日本代表チームやトップアスリートに加え、広く一般にメンタルトレーニングや研修を行う。

※この記事は4月14日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。

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