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狭すぎで地元の人も知らない地名「藤兵衛新田」 郷土誌に残る藤兵衛さんの“あだ名”が微妙 【葵区】

地名の裏に歴史あり。野球場やプール、清掃工場などがある静岡市・西ヶ谷。その中に存在する狭い狭いエリア「藤兵衛新田」がどんな場所なのか、謎の地名を調査します。

行ってみたら温泉があった

西ヶ谷清掃工場も一部がこの藤兵衛新田のようですが、人の名前のような変わった地名で、歴史がありそうです。

清掃工場の入口から にむらあつとリポーター

にむらあつとリポーター:
このあたりが藤兵衛新田です。すごく狭い地域ですね。「しずもーる西ヶ谷」と書かれた看板があります。行ってみましょうか

しずもーる西ヶ谷の駐車場がどうやら住所でいうと藤兵衛新田のようです。何かヒントがないか訪ねてみました。

しずもーる西ヶ谷・曽根忍 館長:
静岡市の資源循環体験プラザと言いまして、リサイクルやリユースを体験して実際の生活に生かしてもらう施設です

吹きガラス体験やアクセサリー作りもできますが、清掃工場の焼却熱を利用し加熱しているという天然温泉もあるんです。

しずもーる西ヶ谷の温泉

公衆浴場の利用料は大人410円、子供200円でたっぷり一日入ることができます。

さらに外の足湯は無料とのこと。足湯に来ていた人に藤兵衛新田の情報を聞いてみることにしました。

足湯で聞き込み

ところが、「70年この地域に住んでいるけれど知らない」「初めて聞いた」と、なんと地元の人さえも藤兵衛新田の地名に耳なじみがないというのです。

温泉が湧出している土地こそ、まさに藤兵衛新田なのですが、もちろんその歴史も全くわからないそうです。

実は曽根館長も藤兵衛新田に関して何も知らないということで資料を求め、館長が教えてくれた図書館へ向かいました。

困ったときは図書館だ

中央図書館の美和分館「アカデ美和」へ。図書館の方に教えてもらったのは「美和郷土誌」、静岡市美和地区周辺の歴史が記された本です。

アカデ美和で美和郷土誌を見せてもらう

この本に藤兵衛新田に関する情報が載っているということで、その箇所を読んでみました。

「藤兵衛新田は羽鳥村の名主、石上藤兵衛が開いた『名主請負新田』である。(中略)藤兵衛の名を冠して藤兵衛新田としたのである」

石上藤兵衛さんの肖像(美和郷土誌より)

やはり藤兵衛は人の名前でした。

藤兵衛新田の名前の由来は、かつてこの地に存在した巨大新田を開発した名主「石上藤兵衛」から取ったものだったんです。

美和郷土誌によれば1772年、 西ヶ谷にあった池を埋め立て、新田の開発に着手。最終的には静岡市を代表する大新田にまでなったそうです。

藤兵衛さんのあだ名は「アマ鯛」

さらに藤兵衛さんについて書いてあるので、読み込んでみました。

「石上藤兵衛が新田の開発に着手したのは51歳。前額部(おでこ)が広く出ているので駿府代官の柴村藤三郎が『アマ鯛藤兵衛』とあだ名を付けた」

美和郷土誌

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にむらリポーター:
嫌なことを書いてありますね。あだ名って書いてあるけど、悪口じゃ?!

藤兵衛さんは、いじられキャラだったのか。ともかく、藤兵衛新田の由来は「石上藤兵衛という名主が開墾した場所だから藤兵衛新田と名付けられた」ということで、解決です。

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