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「レッサーパンダには肉球がない」。そんな書き込みを動物園の飼育員が書いたブログで見つけました。本当に肉球がないのか、それはなぜか、他の動物の肉球は。動物の足裏事情を調査してきました。
まずはレッサーパンダの肉球を探してみた
気になる書き込みがあったのは、静岡市駿河区の日本平動物園の飼育員ブログです。
レッサーパンダの肉球について
日本平動物園のブログ
レッサーパンダの和(カズ)が足裏(あしうら)をゆっくり観察させてくれました。
めずらしいことです。
見えるのは全て毛です。
イヌネコのようなプニプニとした肉球はありません。
愛らしいレッサーパンダには、さぞかし愛らしい肉球があると思いきや、肉球がない?!
日本平動物園は8頭のレッサーパンダを飼育していて、国内での繁殖計画を束ねる責任者もいる“レッサーパンダの聖地 ”です。
教えてくれたのはブログを書いた飼育員の中村あゆみさんです。
飼育員・中村あゆみさん:
最初に手のひらを探したときは、肉球を見つけられなかったんです
中村さんが撮影した動画を見てみると、かなり長い時間、手のひらの毛をかき分けて肉球を探していますが、全然見つかりません。
飼育員・中村あゆみさん:
2分くらいかけてようやく見つかりました。感触はぶよぶよしていて、水ぶくれのような感じです
ようやく見つかった肉球は黒い豆粒大の盛り上がり。中村さんによるとレッサーパンダの足の裏は毛で覆われていて、肉球はほとんど退化してしまっているそうです。
私たちも実際に足の裏を確認させてもらうことに。協力してくれたのはレッサーパンダのかずのこくん。
中村さんが持って来たリンゴにつられて二本足で立ち上がり、前足の裏をばっちり見せてくれました。
確かに毛がびっしり、肉球は見当たりません。
肉球はなぜいらなくなった?
レッサーパンダが属する食肉目の動物は、本来は肉球を持っています。しかし寒い地域に住むレッサーパンダは寒さに耐えるため毛が発達し、肉球と同じクッションの役割を毛が果たすようになりました。そのため肉球は必要なくなり、退化したと考えられているそうです。
しかし同じように寒冷地に住むホッキョクグマにはしっかりと肉球があります。理由はレッサーパンダより寒さに強く、毛がなくても寒さに耐えられるためではないかと言われています。
氷の上を歩くため、他のクマと違って肉球に突起があり、滑らないようになっているそうです。ガラス越しに肉球がはっきり見えました。
肉球の見えない動物は他にも
飼育員・中村あゆみさん:
実はレッサーパンダのように肉球の見えない動物が他にもいます。同じく日本平動物園にいるフェネックギツネは、熱い地面の上を歩くので、熱さに耐えるため足の裏が毛で覆われています
他にも肉球といえばイヌやネコのようなペットをイメージしますが、同じくペットとして親しまれるウサギには肉球がありません。
ウサギの飼育員・中川輝美さん:
ウサギもレッサーパンダと同様に毛が肉球の代わりとなっています。床の上でウサギを放すとツルツル滑って上手に歩けなくなってしまいます。室内で飼うときは、カーペットなどを敷いてあげてください
ハート型の肉球を持つのはだれ?
さらに肉球について調査を進めると、なんとハートの肉球があるという噂をインターネットで発見!
そのラブリーな肉球の持ち主とは・・・お風呂好きのおっとり動物、カピバラです。カピバラは普段足を隠すように座っているため、なかなか肉球を見ることができません。
撮影に協力してくれたのは、かなりマイペースだという“ちゃんこ”(雄・4歳)。
チャンスはリラックスして横になり、足を伸ばしたときだけ。カピバラはおしりをなでるとリラックスするそうで、中川さんがおしりを一生懸命なでなでしてくれました。
しばらくするとうとうとしてきた、ちゃんこくん。眠そうに脚を伸ばして足裏を見せてくれました。
気になる肉球を観察してみると、ハートに見えるような、見えないような・・・
貴重な肉球を見せてくれた、ちゃんこくんに感謝です。
動物の個性を感じる足の裏
今回は普段あまり意識しない、動物の足の裏について調査してみました。動物によって肉球があるかどうかや形は様々で、環境に合わせて進化していることを実感できました。
なかなか見ることができない足の裏ですが、次回動物園に行くときに注目してみてはいかがでしょうか。