見つけた

静岡県“いちばん南”に行ってみた→サメ数百匹が集まる無人島でした

たくましく巣立て! ヒナ鳥を見守る人々

灯台の石垣周辺を歩いていると、不自然に石が積まれた場所がありました。

石だけではなく、コンクリートのU字溝も混ざっています。

 

土地の所有者である下田市に聞くと、日本野鳥の会がカンムリウミスズメの繁殖を助けるために設置した人工巣の痕跡でした。

このプロジェクトに参加している日本野鳥の会の手嶋洋子さんは、カンムリウミスズメが日本近海にしかいない絶滅危惧種だと教えてくれました。

日本野鳥の会 自然保護室・手嶋洋子 室長代理:
大きさは500mlのペットボトルサイズで、船から探すのが難しいぐらい小さい海鳥です。日本近海の無人島で繁殖していますが、漁業の網にかかったり、人が島に持ち込んでしまったネズミに襲われたりして数を減らしてしまいました

画像提供:(公財)日本野鳥の会
神子元島には1月~5月中旬頃に訪れるカンムリウミスズメ 画像提供:(公財)日本野鳥の会

そこで2010年に人工巣の設置をスタート。島で見かけたU字溝もその一部でした。

繁殖に成功したのは6年後。断崖絶壁に作られる自然の巣を真似して、素材を変えたり構造を変えたり試行錯誤の成果でした。

オレンジで囲んだ黒いチューブが巣の入口(画像提供:日本野鳥の会)
オレンジで囲んだ黒いチューブが巣の入口 画像提供:(公財)日本野鳥の会

日本野鳥の会・手嶋さん:
天敵のカラスが卵やヒナだけでなく親鳥も食べてしまうので、カラスが巣に首を突っ込んでも中が見えないように、入口から巣の奥に向かう廊下にカーブを付けました。近年増えている猛烈な台風の影響などで、灯台の下まで高波が襲って巣が流されてしまったこともあります

手嶋さんによると、ヒナは生まれた翌日の夜にはフワフワの産毛を生やしたまま、親鳥に促され海に向かいます。数十メートルある断崖を小さな体でよちよち歩き、親鳥の声を頼りに真っ暗な海へ。野生の力強さを感じずにはいられません。

画像提供:(公財)日本野鳥の会
画像提供:(公財)日本野鳥の会

日本野鳥の会・手嶋さん:
昔を知っている人に聞くと、夜釣りをしていると昔はもっとカンムリウミスズメがいて賑やかだったそうです。自分が通えるうちにあの賑やかな夜が戻ればと話してくれました。カンムリウミスズメは同じつがいが繰り返し戻ってきて繁殖する習性があります。まだわからないことだらけですが、私も賑やかな夜を見てみたいと思いました

静岡県のいちばん南は、荒々しい海があり、生き物がたくましく生きている島でした。そして、その自然と共に生きようと努力する人たちの姿をみました。

カンムリウミスズメを傷つけないための注意点
・弁当の残飯、まき餌など、天敵のカラスを呼ぶようなものは持ち帰る
(島に来るカラスは食べ物につられて伊豆半島から通ってきます)
・繁殖期に巣を踏んでしまわないように注意
・船などでネズミを島に持ち込まないよう注意

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