舗装されていない山々を駆け抜けるトレイルランニング。「なっちゃん」の愛称で親しまれている静岡県島田市の女性トレイルランナーが、国内のシリーズ戦に挑みました。走る楽しさや山を走る注意点も発信し、魅力を広めようとしています。
お茶の字で知られる粟ヶ岳(静岡県掛川市)。
標高差418mのこの山を・・・
トレイルランナー・山内菜摘さん:
私のホームマウンテンは粟ヶ岳なので、粟ヶ岳を3本登ります
普通の人が1回登って降りてくる間に3往復。
合計1254mの標高差は、富士山の富士宮ルートとほとんど変わりません。
これを毎週!
トレイルランナー・山内菜摘さん:
富士山が見えます
静岡県島田市金谷で生まれ育った、トレイルランナーの山内菜摘さん(34)。
愛称は「なっちゃん」。
トレイルランニングの魅力を広めながら、シリーズ戦上位を目指すなっちゃんに密着しました。
トレーニング後は、麓の茶屋に顔を出します。
茶屋の店員:
なんでこんな苦しい時にこんな笑顔で走れるのって。すごい
2024年、初めての100kmレースで優勝。
2025年、富士登山競走5合目コース準優勝。
国内女子トップ選手に名を連ねます。
意外にも小学生から長く打ち込んで来た競技は、トランポリンです。
全日本にも出場しましたが・・・
トレイルランナー・山内菜摘さん:
トランポリンでレベルアップするかと考えてしまうと、ちょっと壁があって。友達に山を走るスポーツがあると言われた。ちょっと山を走ってみたら楽しくて。(Q.なぜそんな苦しいことをやるのか?)よく「なんで走るの」とは言われますね。走るのが楽しいから。私は走るのが好きだからです
トレイルランナー・山内菜摘さん(体験会):
トレイルランニングは景色を楽しむのも一つなので、ぜひ自然の中を思い切り走ってほしいと思います
トレイルランニングの魅力も広めています。
この日は普段、ロードを走っている人向けの体験会です。
途中で足をとめて景色を楽しむ人も。
参加者:
あっちの方にあるでしょ。空港
追い込みたい人は、思い切り追い込む。
参加者:
だんだん登っていくうちに、高いところにいく感じが気持ちがよかった
トレイルランナー・山内菜摘さん(体験会):
山にくると笑顔がいっぱい出る。またタイミングがあったら来てほしい
そんなトレイルランニング、「やってみたい!」という人は、ちょっと待った!
基礎知識がないと、ケガや遭難、登山者との事故につながりかねません。
【初めてのトレラン注意点1 コントロールできるスピードで】
トレイルランナー・山内菜摘さん:
ダメな走り方。ドン、ドンみたいな。スピードがコントロールできない走りをするとケガにつながります
下るときは小股でテンポ良く。
動きをコントロールできるスピードで。
また、登山者との衝突を避けるために・・・
【初めてのトレラン注意点2 すれ違いは走らない。できれば止まる】
トレイルランナー・山内菜摘さん:
周りを見ながら、人が近づいていると分かったらウォーキングに切り替えて。余裕があったら止まってあげる方がいいかと思います
【初めてのトレラン注意点3 水分・携帯電話・食べ物などを持って走る】
トレイルランナー・山内菜摘さん:
暑いので水分を持つこと。携帯電話で自分の位置を把握できること。ジェルやお菓子などいろんなカロリーを持っておくこと
【初めてのトレラン注意点4 走るなら早朝から】
トレイルランナー・山内菜摘さん:
朝の時間。やはり午後になると天気も悪くなってきちゃうので。朝の時間帯がいいかと思います
【初めてのトレラン注意点5 トレイルを外れない】
また、タイムを縮めようとトレイルを外れショートカットするのはNG。
植物も踏まないようにしましょう。
9月13日、長野県にやってきました。
2026年から始まった日本トレイルランニング・グランプリシリーズは、賞金総額1000万円。
1、2戦目を終え、なっちゃんは賞金圏内の6位。
これが最終戦です。
コースは29kmと短く、高速レースが予想されます。
なかでも見どころは、スキー場の急傾斜です。
トレイルランナー・山内菜摘さん:
ラストが標高1000mぐらい上がるゲレンデを直登。しっかりと体重を前にかけてガシガシと登っていきたい
6位から1つでも上の順位へ。
最初の岩岳山 山頂を8位で通過。
表彰台を狙える位置につけます。
異変があったのは、この後でした。
トレイルランナー・山内菜摘さん:
捻挫しちゃった。でも完走します
下りで、右足首を捻挫。
痛みをこらえながら最大の難関、スキー場の直登へ。
トレイルランナー・山内菜摘さん:
でもゴールします
痛みは、棄権してもおかしくないほどでした。
その頃、女子のトップが3時間6分でフィニッシュ。
後続も続々とレースを終えます。
なっちゃんは、足首に負荷がかかるゲレンデの下りと格闘していました。
想定タイムを30分以上越え、4時間台に・・・
記録は4時間14分45秒、15位でした。
3戦の順位をポイント化して、合計ポイントで競うグランプリシリーズ。
最終戦では、ポイントを十分稼ぐことができませんでした。
トレイルランナー・山内菜摘さん:
もう無理だと思っても(自分で)「ゴールする」と言っちゃうから、気持ちも前に前にという感じで、もう言ってがんばった。こんなにレベルの高い女性アスリートが集まる大会はそんなにない。私ももっとがんばりたい。上を見られた。いつでもあきらめない強い選手。心も体も強い選手になっていきたい
と、その時・・・
賞金圏内の6位にとどまったという連絡でした。
わずか17ポイント差で、7位の選手から逃げ切りました。
トレイルランニングの面白さを体をはって見せてくれた、なっちゃん。
笑顔の下には、泥まみれになって這い上がるアスリート魂が隠れていました。
