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山頂を目指さない“富士下山”とは? 富士山の新たな楽しみ方を提案 ツアーに密着 歴史や自然を満喫

夏山シーズンも残すところ2週間余りとなりました。こうしたなか、いま富士山の山頂を目指すのではなく、下っていくツアーが行われています。いったいどんなツアーなのか。そしてその魅力とは。

富士山ネイチャーツアーズ・岩崎仁 代表:
富士山というと、登山というイメージがすごく強いが、5合目周辺の森を歩く機会は地元に住んでいても少ない。すごくうっそうとした豊かな森が実は広がっている

7月27日。

行われたのは富士山5合目周辺から麓へと下っていくトレッキングツアーです。

ツアー参加者:
ここ(下山道)は森の中でとても歩きやすく、自然もあってすごく感動した

富士山ネイチャーツアーズ・岩崎仁 代表:
富士山の山頂方面の利用過多やそういったものに対し、私が楽しんでいる富士山を下っていくというスタイルが、一助になるのではないかと

富士山の新たな楽しみ方を提案する「富士下山」。

富士山ネイチャーツアーズ・岩崎仁 代表(7月27日・トレッキングツアー):
これが富士山最古の登山道

その魅力とは?ツアーに密着しました。

青木不二彦カメラマン(7月1日):
雲海の中から山頂が見えています

夏山シーズンを迎えた富士山。

麓のまち静岡県富士市の書店では、関連する書籍やグッズによるコーナーが設置されていました。

書店のイチオシは「富士下山ガイド」。

富士山を登らずに下る「富士下山」とはどんなものなのでしょうか。

池田孝 記者(8月4日・富士宮口5合目周辺):
私はいま富士下山の魅力を知ろうと、5合目から下山しています

案内してくれたのは、岩崎仁さん。「富士下山ガイド」の著者です。

この日は富士宮口5合目付近から下っていき、しばらく進むとたくさんの木々が倒れている場所に行き当たりました。

富士山ネイチャーツアーズ・岩崎仁 代表:
ここは1996年に大きな台風が来たのですが、その時に一気に木が倒れた場所です。木が倒れたことによって、空が開けるわけですね。光が差し込むので、向こうを見てもらうと、たくさんの花が咲くようになったわけです。自然が変わることによって、また新しい自然が生まれてくるという。すごくわかりやすい構図がここにある 

台風が生みだした新たな自然。

この日は見られませんでしたが、例年この時期にはアサギマダラが飛来するそうです。

さらに歩みを進めると・・・

富士山ネイチャーツアーズ・岩崎仁 代表:
ここ石仏群がある。よく見てもらうと、不動明王ですが、首のところに亀裂が走っているのがわかります。これは明治時代に廃仏毀釈が行われた時に首が落とされた、その跡ですね

仏教を廃止し、仏像や寺院などを破壊した廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)。

富士山でも、1874年・明治7年に行われました。

富士下山ではそうした富士山信仰の歴史も垣間見ることができます。

岩崎さんは、山頂を目指す登山では体験することのできない自然や文化との出会いが富士下山の魅力だと強調します。

富士山ネイチャーツアーズ・岩崎仁 代表:
富士山は5合目から上は環境的に厳しくなってくるので、自然はどんどん乏しくなるが、5合目から下に目を向けていくと自然がどんどん変化していく。その変化を目の当たりにできるところ。そこに自然の多様性を感じる。文化の多様性も感じる

富士山ネイチャーツアーズ・岩崎仁 代表(7月27日・トレッキングツアー):
シカがいますね。せっかくだから見ましょう

7月のツアーでは宝永火口や5合目周辺の植物、そして出くわしたシカの生態などを紹介しました。

参加者はどう感じたのでしょうか?

参加者:
(富士山は)3776mを目指す。私にとってはその一点でしたが、下山はそうではなくて登山では絶対味わえない自然ですね。富士山の。本当に富士山の一番すばらしいところがぎゅっと凝縮されている

岩崎さんはツアーを通じて自然の大切さを伝え「富士下山」が広がっていくことが、ひいては、山頂を目指す登山道の混雑緩和や自然環境の保全にもつながると考えています。

富士山ネイチャーツアーズ・岩崎仁 代表:
(富士下山が広まれば)上にしか目がいかない状態から、広い裾野に目が向くようになると思う。自然を知ることにつながることで、自然を慈しむ思いをもって、中に入る人たちが増えていく。そういうことにつながると思う

“山頂を目指す”登山から“富士山の自然や文化を楽しむ”という
新たな価値の創造へ。

富士山を愛する岩崎さんの活動はこれからも続きます。

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