さて、静岡県熱海市で起きた土石流災害は7月3日で発生から5年を迎えます。そこで、シリーズで復興の進み具合や今後の課題を考えます。1回目は熱海市の齊藤市長に復興について聴きました。本編では土石流発生時の映像が流れます。ご了承ください。
熱海市の齊藤栄 市長。
この5年間を、こう振り返ります。
熱海市・齊藤栄 市長:
困難の連続であり、容易な道ではなかった
その上で…。
熱海市・齊藤栄 市長:
復旧復興のための様々な事業。私は着実に進めてきたと考えています
加藤洋司 解説委員:
土砂が流れ下ってから5年が経とうとしています。逢初川の護岸の整備や、いま建設が進む道路など、復興の進みを感じられるところがあります。一方で、向こうの建物のように当時の姿をそのままに残すところもあります
梅雨前線にともない、6月30日から降り始めた雨。
4日目、2021年7月3日に熱海市伊豆山で発生したのが土石流災害です。
市の北部にある岩戸山。
中腹で崩れた土砂は谷筋を下って住宅地を襲いました。
静岡県のまとめでは関連死を含め、死者は28人。
住宅98棟が被害を受けました。
学校、そしてホテルへ避難した住民は最大582人に上りました。
土砂が流れた地域は警戒区域に指定され、住民も立ち入り禁止とされました。
地域の復興をどう進めるか、住民の帰還をどう実現させるのか。
復興検討委員会や住民が参加するワークショップで議論が重ねられてきました。
そして、川の護岸整備を静岡県が担い、道路の改良を熱海市が進めてきました。
しかし、当初の計画通りには進みませんでした。
理由は用地の買収が完了しなかったためで、2026年4月、市は計画の変更を発表しました。
熱海市・齊藤栄 市長:
できる限りの交渉はさせていただきましたが、現時点で得られた85%の用地で(市道を)完成、一応完成させることが地域の皆さまに現実的だろうと判断させてもらった
地域ごとに開かれてきた説明会・意見交換会は、いまも続けられています。
参加した市民からは…。
参加者:
ベストなやり方と思う。土地の収用が完了しなかったので
一方、こんな声も聞かれます。
地域住民:
(復興は)順調ではない。もっと早く
地域住民:
もどかしいなんてもんじゃない。私たちは年寄りなので(Q.意見交換会は?)行っても意見が通らないから行かない。いらいらするだけ
熱海市・齊藤栄 市長:
何がネックになるのか、我々から把握することが第一。そのような声があるのは重く受け止めなければならない
加藤洋司 解説委員:
大きな被害を受けたのは住宅や道路だけではありません。港、豊かな海も被害を受け、その姿を一変させました
伊豆山港の漁師・松本早人さん(51)。
漁業は祖父の代から続いていて3代目です。
この日は地元の人が直接港を訪れて、新鮮なイカを買い求めていました。
5年前の記憶、心に受けた傷は、いまも残ります。
漁師・松本早人さん:
いまだに鮮明に残っていて、家族も自分も、大雨が降ると土石流がまた流れてくるのではないか、災害が起きるのではないかと
川を、斜面を下った土石流は、豊かだった伊豆山の海を一変させました。
漁師・松本早人さん:
茶色く濁って、がれきや泥があり、一日も忘れることはない
県による海底の泥の撤去作業は、いまも続けられています。
漁業者も海藻の植え付けや稚魚・稚貝の放流など、きれいで豊かな海を取り戻す努力を続けてきました。
5年かけてようやく取り戻したのは、透き通った海。
そして港を訪れる人の笑顔です。
漁師・松本早人さん:
災害の前に来ていたダイビングや釣り船の客は戻っていて、この港で、笑顔で皆で楽しく過ごせているのはすごくうれしい。ああいう災害が今後起きないような努力が必要。いつまでも災害のことを思っていては前に進めないのではないか。その2つがある
源氏ゆかりの伊豆山神社をはじめとした史跡と山の恵み、海の恵みが地域の誇りだった熱海市伊豆山。
受け継がれてきたふるさとの早い再生を多くの人が願っています。
熱海市・齊藤栄 市長:
(伊豆山の)被災のエリアにどうやって人や賑わいを取り戻していくか。(令和8年度末に)土木事業が終わったら終わるわけではなく、“創造的復興”を令和9年度以降にやっていきたい
あの日から5年。
まもなく節目となる7月3日を迎えます。
