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静岡・沼津市に、読める人がほとんどいない「鵰町」という難読地名が存在します。この地名の読み方と由来を調査しました。
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへ漢和辞典でも分からない 沼津の難読地名
今回調査したのは、静岡・沼津市に存在するという難読地名「鵰町」。

まずはその読み方を調べようと、開いたのが「漢和辞典」。読み方がわからないため、部首「周」からひいて、「鵰」が出てくるまで探すという地道な作業の末、該当する漢字を発見しました。
漢和辞典によると、音読みは「チョウ」、訓読みは「きざむ」「える」「かざる」「しぼむ」などと記されています。
そして意味としては「タカ科の猛禽類のうち大型のものの総称」とのこと。

とすると「鵰町」は「ちょうちょう」「きざむちょう」などと読む可能性が浮かび上がります。
しかし、どれもしっくりきません。漢和辞典だけでは、地名の読み方の手がかりをつかむことができませんでした。
沼津駅前で聞き込み調査! 50年住んでも知らない?
漢和辞典での調査が行き詰まったため、次はJR沼津駅前で地元の方への聞き込み調査を実施。実際に地名を見せて読み方を尋ねてみました。
沼津在住の夫婦:
読めないです

周る鳥と書いてなんと読むのか、予想さえ難しい様子です。なかには沼津に50年住んでいるという方もいましたが、「聞いたことない」と首を振りました。
地元の方にとっても、まったく見慣れない地名であることがわかります。
いよいよ鵰町の地へ
聞き込み調査でも手がかりが得られず、いよいよ現地調査へと向かいます。場所はスルガ銀行本店から歩いて3分ほどのところ。そこには静かな住宅街が広がっていました。

現地を歩いていると、「藤井印刷所」を発見。中に人がいたため、思い切って声をかけてみることに。読み方を教えてもらいました。
藤井印刷所・佐藤清子さん:
ここですから当然知ってます。「くまたかちょう」です

なんと、漢字1文字で「くまたか」と読むことが判明! 「くまたか」という読み方は非常に稀な使い方であるため、漢和辞典にも載っていないことがあるそうです。
また読めない人が多いため、印刷所の封筒の住所にふりがなを付けていることも教えてくれました。

10軒だけ! 驚くほどニッチなエリア
「鵰町」のエリアの範囲を聞いてみると、その狭さに驚かされました。
十字路周辺のわずか10軒ほどだけが「鵰町」に該当するというのです。

非常にニッチなエリアであるため、地元の人さえ知らなかったのも納得できます。
藤井印刷所・小池郁子さん:
私は嫁いできた身なので、最初は読めなかったです

さらに驚いたのは郵便にまつわるエピソード。以前は郵便物が「沼津市(空白)町」と、町名部分が空白のままでも届いたこともあったそうです。「鯛町」「鴨町」などと書かれることもあったものの、郵便局の人が気を利かせて届けてくれたのだとか。

職人が住んでいた? 鳥のクマタカ説
難読地名の読み方が分かったところで、続いてはその由来をリサーチするため、沼津市の歴史や文化に関する史料を保管している「沼津市文化財センター」を訪問しました。

担当の金子知世さんに話を聞きました。金子さんが見せてくれたのは、「沼津・三島・清水町 町名の由来」という本です。
沼津市文化財センター・金子知世さん:
こちらの本の中にも記載があるように、はっきりしたことは分かりませんが、「鵰」という字はクマタカとかオオワシという意味のある漢字になります

クマタカとは、日本に生息するタカの一種。そしてクマタカの尾羽は、弓矢の矢の上部に付ける「矢羽(やばね)」作りに使用されていたといいます。
沼津市文化財センター・金子さん:
当初はその矢羽作りに関係した人々が住んでいたのではないかと推察されますが、時代とともに矢羽作りが衰退してしまって町名のみが残ったのではないかという説があります

沼津にはかつて城があったため、武士が住んでいて、武具を作る職人が存在していても不思議ではなかったということです。
土地が高い場所「陸高(くがたか)」説
金子さんによると、地名の由来には別の説もあるといいます。
土地が高い場所を「陸高(くがたか)」と呼ぶことがあり、徐々に訛った結果、「くまたか」になったと考えることもできるそうです。

にむらあつとリポーター:
正直、鵰町に行ったときに陸高な感じはしなかったです
沼津市文化財センター・金子さん:
今と昔では地形もまた変わってきておりますので、その当時の人たちがどのように考えたかの価値観は、現在とは違うのではないかとも考えられます
矢羽作りの職人が住んでいたという説と、土地の高さを表す「陸高(くがたか)」が訛ったという説。どちらも十分に考えられる説であり、歴史のロマンが詰まった難読地名です。
漢字1文字で「くまたか」と読む難読地名は、わずか10軒ほどのエリアに残る、知る人ぞ知る沼津の町名でした。その由来はまだ謎に包まれており、歴史と文化が積み重なった沼津の奥深さを感じさせてくれます。
■店名 沼津市文化財センター
■住所 静岡県沼津市志下530
■展示室見学時間 平日9:00~16:30
■問合せ 055-935-5010
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