健やか

かつ丼注文できる95歳に 医師がすすめる歩き方【テレビ寺子屋】

95歳になっても、かつ丼や天丼を食べられるほど元気でいられるかどうかは「筋肉」にかかっている。そう提唱する医師がすすめるのは、時には早く、時にはゆっくり呼吸をしながら歩く「鎌田式ウォーキング」です。

5月28日に放送されたテレビ寺子屋

5月28日にテレビ静岡で放送されたテレビ寺子屋では、地域医療に携わってきた医師で作家の鎌田實さんが、幸せに生きるために大切な筋肉を維持する方法を話しました。

かつ丼や天丼を食べられる95歳になろう!


医師・作家 鎌田實さん
人生には、いくつもの壁があります。僕は50歳の壁を前に「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」を経験し、パニック障害が起きたりしました。

そしてだんだん老いを感じるようになり、不整脈や不眠症、高血圧の部類に入りかかるなど、70歳の壁のちょっと前に問題が起き始めたのです。

医師・作家 鎌田實さん

そこで「筋肉」に目が行くようになりました。健康のためには鍛えないといけない。

いまは74歳。僕の患者さんにも80歳の壁を元気で越えてもらいたいと思っています。できたら90歳も。

僕の健康づくりのポイントは、95歳になっても日帰り温泉に自分の足で行けるかどうか。それから、食堂に行って、かつ丼や天丼やうな重を注文して食べられるかどうか。

これが人生を豊かにしていく上でとっても大事です。おいしいものを食べた方が勝ち。そのために健康でいる。メタボになっていなければ、ちゃんとおいしいものが食べ続けられるわけです。

筋肉を元気にする方法

それには「筋肉」がものすごく大事で、筋肉があることで精神的にも元気になってくる。前向きになる。チャレンジングホルモンというものが出てくる。壁をぶち壊していくことができるんです。

そこで、鎌田式ウォーキングの「速遅歩き」をご紹介します。

幅広歩行

高齢になると特に女性は歩幅が狭くなり、少し猫背になります。筋力がなくなってくると、あごが出た歩き方になります。

あごが出ないことと、背中がまっすぐになることが大事ですが、それを維持するためには大きな歩幅で歩けるかどうか。自分のいつもの歩き方より5cmくらい多く歩幅を取って、幅広歩行をします。

ピッチ歩行

少し競歩みたいに、ランニングの一歩手前くらいで歩きます。

ゆっくり歩行

3秒で息を吸い込んでお腹を膨らませ、7秒で息を吐き出しお腹をへこませていく。きれいに吐けると、今度は吸うことができる。横隔膜の下に副交感神経が密集しているのですが、肺を動かすことによって副交感神経が刺激されると、血管が広がって血圧が下がり脈拍がゆっくりになり、睡眠がしやすいリラックスした状態になります。

交感神経は戦う神経ですから、いつも働いている状態になっていると睡眠がしにくい状況になる。それを変えてくれるのが、ゆっくり歩行しながらの腹式呼吸。季節を感じながら歩きます。

90歳の壁を越えるために「貯筋」

日本の医学会が合同で宣言を出した「80GO(ハチマルゴー)運動」というものがあります。80歳になっても歩いて外出し、行きたいところに行けることが大事です。筋肉量が減少したり、虚弱になったりしないように。

さらに、「90GO(キュウマルゴー)」。認知症にもならずに、90歳の壁をピンピンひらりと越える。95歳になっても日帰り温泉に行ける自分を作れるかどうかは、いま、歩き方を変えることがとっても大事なのです。

「人生の壁を越える」。人により70歳、80歳、90歳の壁いろいろですが、どんな壁を越えても最後まで自分らしく幸せに生きるために必要なのは「筋肉」です。

「貯金」より「貯筋」。このことをぜひお忘れなく。

鎌田實:1948年東京生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。諏訪中央病院名誉院長。地域医療に携わる傍ら、イラクや東日本の被災地支援にも取り組む。「がんばらない」「大・大往生」など著書多数。

※この記事は5月28日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。

フジテレビ系列で放送中の番組。「子育てってなんだろう」。その答えは1つではありません。テレビ寺子屋では子育てや家庭のあり方について様々なテーマを元に毎回第一線で活躍する講師を招いてお話を聞きます。