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静岡・菊川市、駅から南へ延びる「菊川駅南新町商店街」を歩くとキリン、パンダ、ゾウと、次々にゆる~い動物のモニュメントが姿を現します。商店や民家の敷地に点在する“ゆる動物”。いったいなぜ、この商店街に20体以上もの動物たちが生息しているのでしょうか。
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへ商店街に生息する“ゆる動物”たち
JR菊川駅から南へ延びる「菊川駅南新町商店街」をぶらりと散策しました。
商店街を歩いていると、視界に飛び込んできたのが黄色い大きなキリンの姿。靴店の店先です。

その姿は公園や幼稚園にありそうな、かわいくて、ゆるいデザイン。「カモヤ」という店名だったので、カモならわかるのですが、なぜキリンなのでしょうか。
すると今度は前方に、巨大なキリンが見えます。公園でしょうか。巨大キリンを目指して歩いて行きます。
と思ったら道を挟んで反対側の薬局の駐車場にバンビが寝そべっているではないですか。

すぐ近くにも、白と茶色のイヌっぽい生き物がいました。胸元にはライオンのようなたてがみがあり、なんとも“ゆるい”感じです。
“アニマル通り”と呼びたくなる、動物たちのお出迎え。突然商店街が謎の通りに見えてきました。

公園では群れで生息していた!
巨大なキリンがいるエリアに到着すると、キリンの足元には「きりりん」と書かれていて、どうやら名前まで付いています。
さらにきりりん周辺には他の動物も集まっています。目がまん丸過ぎるパンダ。パンダの目、こんなでしたっけ?

耳が垂れ下がり、真っ白でやや首長の動物はウサギでしょうか。青いアイシャドウが目力を増しています。
ウマかロバは寂しげな目をしていて、背中には乗れそうな“くら”付き。
ちょっと毛色の違うピエロは、口が時計になっており、周辺の地図を抱えているデザインでした。

なんだか不気味さを感じるほど、商店街のあちこちに動物たちが点在していました。
商店街の組合長へ直撃取材
真相を探るべく組合長がいるという、先ほど小さなキリンがいた店「カモヤ靴鞄店」に向かうことにしました。
店の前に掲げられた、商店街の看板を見ると、なんとキリンのマークが描かれています。すべての謎の源がここにあるのかもしれないと直感しました。

カモヤの店主で、商店街の組合長を務める菅沼猛さんに、謎の動物たちの真相を直撃しました。
菊川駅南新町商店街 組合長・菅沼猛さん:
区画整理があったので、1993年(平成5年)に組合を作りました。そのときに、なにか店頭にモニュメントを作ろうという話になって、各店に動物を置きました。うちは小キリンだけど、大きいキリンは「きりりん」という名前を、募集して付けました

約30年前、商店街を一新する区画整理の機会に「なにか名物を」と、各店舗に動物のモニュメントを置いたのがはじまりだったのです。
動物の割り当ては希望制で、人気はやはりキリン。菅沼さんがキリンを勝ち取り、店頭に小キリンのモニュメントを構えることになりました。大きなゴリラを選んだ書店もあったそうで、商店街全体で20体以上の動物モニュメントが並ぶことになったのです。

お金がかかっていた
モニュメントの製作費用も相当なものだったといいます。
菊川駅南新町商店街・菅沼さん:
作ったときはね、結構お金かかってるんですよ。「きりりん」と「ピエロ」は特注で、あわせて850万ぐらいです
大きな「きりりん」は500万円、ピエロは350万円だったというから驚きです。

「幼稚園児くらいまでは喜んでくれる」と菅沼さんは話しますが、大人でも注目せずにはいられないほど、動物たちはインパクトがあります。
最近は動物が公園に集合する“裏事情”
ところで、各店にいたはずの動物の一部が、なぜ公園に“集まって”いるのでしょうか。そこには現代ならではの裏事情がありました。
菊川駅南新町商店街・菅沼さん:
30年ぐらい経つから廃業しちゃった方がいます。公園にあったゾウさんはクリーニング屋さんの前にあったものです。パンダも移設です。やっぱり高齢化が進んじゃってね

廃業したお店の前に置かれていたゾウ、パンダ、首の長いウサギ。これらがすべて公園に集められていたのです。
30年という歳月の中で商店街の顔ぶれが変わり、行き場を失った動物たちが1箇所に集まった結果、あの不思議な“アニマルゾーン”が誕生していたのでした。
菅沼さん自身のカモヤも後継者がいないため、店頭の小キリンもいずれ公園に加わる可能性があるとのことでした。
新しい店に受け継がれる動物も
真相が分かったところで改めて商店街を進むと、これまでの動物たちとは明らかに違う金色のカメを発見。新しい美容室の前です。
話を聞くと、もとは商店街の動物モニュメントのひとつで、色は緑でした。お店を出す際に大家さんから「好きに塗っていいよ」と言ってもらい、金色に塗り直したそうです。

表面をよく見ると、下から元の緑色がのぞいています。
公園に集まる動物がいる一方、世代交代に成功し、商店街の一員として受け継がれた動物もいるんですね。

菊川駅南新町商店街と約30年ともに歩んできた“ゆる動物”たち。高齢化や廃業という時代の波を受けながらも、動物たちは姿を変えながら商店街に残り続けています。
次に菊川を訪れた際は、ぜひ動物たちの表情をひとつひとつ確かめながら歩いてみてください。
■スポット名 菊川駅南新町商店街
■住所 静岡県菊川市堀之内・半済
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