2026年の春闘では大手企業で満額回答が相次ぐ一方、中小企業との格差が広がっています。「自分の会社は上がっていない」と感じる人も多い中、今後の見通しは?
3月18日、企業の集中回答日を迎えた2026年の春闘。
トヨタ自動車は最大で月2万1580円、年間一時金7.3カ月分の賃上げを決め、6年連続の満額回答に。
静岡県内でもスズキが総額平均2万500円と要求を上回る回答をし、大手企業では大幅な賃上げが相次ぎました。
帝国データバンクの調査によりますと、約300の県内企業のうち64.3%が賃金改善を見込むと回答し、過去最高に。
さらに、賃金改善が「ない」と答えた企業も初めて10%を下回っています。
確かに広がりつつある賃上げムード。
しかし、街の声を聞いてみると…。
男性:
実感はない。月々の食費と比べると追いついていない
女性:
うらやましい。ニュースでは介護職もだんだん給料が上がると言われているが、全然昔と変わりはない
男性:
大卒の初任給がいいところだと40万円とか30万円後半。今の自分の基本給より高い
男性:
自分たちは無関係かと思いながら5000円でもいいので上がってくれれば
聞こえてきたのは「実感がない」「自分には関係ない」といった声です。
静岡市駿河区にある丸仲鐵工所。
木材を加工する機械の組み立てを主な事業としていて、社員数は約40人です。
半導体関連の市場にも参入したことで業績が伸び、2025年は4.9%の賃上げを実現。
ただ、社長の望月清史さんは「今年は厳しい」と話します。
丸仲鐵工所・望月清史 社長:
材料費がここ数年、上がり続けている。外注加工費も上がる中で、上がった分をそのまま販売価格に転嫁できない。持続的に賃上げをしていくことは難しい
物価高でコストも膨らむ中、商品の値上げで利益を確保したいところですが、値上げで売上が下がらないか不安は消えません。
ただ、社員からは切実な声が上がっています。
社員:
(給料が)上がっているとは思うが、手取りを見てみると社会保険の税金で取られている部分が多い。すごく実感しているかと言われたらそこは微妙なところ
社員:
最近物価がどんどん上がっているので今の給料だとちょっと…。5万円くらいは上がってほしい
原材料の高騰や不透明な世界情勢の中、利益を確保するのはどの企業にとっても簡単なことではありません。
望月社長は商品の価値を高めることが生き残る道とします。
丸仲鐵工所・望月清史 社長:
賃上げの原資は製造業は、いかに付加価値を獲得していけるかに尽きる。社員みんなと一緒に生産性を高めて、技術力を高めて、付加価値の高い製品を開発して売っていくしかない
ただ、経済の専門家は中小企業の持続的な賃上げは難しさがあると指摘します。
静岡経済研究所・恒友仁 専務理事:
教科書的には生産性を上げて自社製品の付加価値を高めることが一番いいが、これは投資にも時間がかかるし、走るまでにも時間がかかるので、なかなか即効性がない。どこも限界があるというところで、なかなか先行きが明るいような賃上げの話ができないというのが実情
また、実質賃金はガソリンの暫定税率の廃止などを受け、1月に12カ月連続マイナスからプラスに転じましたが、光熱費の補助金の終了やエネルギー価格の動向により、夏前にかけ再びマイナスとなる可能性があると指摘します。
静岡経済研究所・恒友仁 専務理事:
インフレ基調になっているので、インフレに勝てるような経済力の下での賃上げが普通にされる環境になるまでは我々はまだまだ実感がある賃上げは体験できない
過去最高水準といわれる賃上げの流れのもとで実感できない生活の向上。
国際情勢が落ち着き、政府の成長戦略が軌道に乗るまでは中小企業の賃上げは当面、手探りが続きそうです。
