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静岡・伊豆高原のサクラ並木沿いにある「TCJKW WORKSHOP(ワークショップ)」は、オーナー夫婦と両親のあわせて4人の陶芸家が営む工房です。作品を見る楽しみと、自分で作る喜びが同時に味わえる、ちょっと特別な場所。4人の作品や、体験できる陶芸メニューについて紹介します。
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへ陶芸工房・陶芸ギャラリー「TCJKW WORKSHOP」

伊豆高原駅の近くにある国道135号線からサクラ並木の道をのぼると、右手に「TCJKW」と書かれたカラフルな看板が見えます。伊豆高原駅から、車なら約4分で徒歩なら約20分で着きます。
TCJKWワークショップは、陶芸作品のギャラリーだけでなく、陶芸体験もできる場所として観光客や地元の人に人気です。店内には、オーナー夫婦と両親、あわせて4人の陶芸家が作った異なる作風の器やオブジェがずらりと並んでいます。

ギャラリーに置かれている作品は、ほかでは見られない斬新なデザインから、斬新かつ実用性が高い作品までさまざま。
陶芸家である4人全員の作品のテイストがまったく異なるため、まるで小さな美術館に来たような感覚です。

建物はあたたかいレモン色の外観をしており、大通りに面していない静かな場所にあります。初めて訪れた人でも作品がゆったり楽しめる雰囲気です。
お店には旅行者のほか、これから伊豆で2拠点生活を始める人も訪れ、自分だけの特別な食器を作っていくそうです。
4人の陶芸家一家の個性豊かな作品
4人の陶芸家の作品は、実際に購入できます。
ノスタルジックでモダンな岳哉さんの作品
TCJKW ワークショップのオーナー・志村岳哉さんの作品は、昔の陶器のようでありながらモダンなデザインです。

TCJKW ワークショップ・志村岳哉さん:
昔から洋服や家具、インテリアなどの古いものが好きです。昔のものは今のデザインにはない味わいや空気感があり、作品を作るときも、古いものからインスピレーションを受けることが多いです
形や質感に少しアンティーク感を出すように意識しているそうです。
どこか懐かしいけれど新しい志村岳哉さんの作品は、約2万円~3万円で購入できます。
箸置きから始まった智栄さんの作品
オーナーの妻・智栄さんも陶芸家で、オーナーとはまったく異なる作風です。

TCJKW ワークショップ・志村智栄さん:
最初の頃は箸置きを作っていましたが、箸置きを器に貼り付けてみたら、すごく面白くなりました。それからは植物や小さなモチーフの箸置きを陶器に貼り付けて表現することが多くなりました
智栄さんは飲食店の箸置きやマグネットも作り、そのお店で販売しているそうです。
一見ポップですがどこかクラシカルな志村智栄さんの作品は、約500円~1万円で購入できます。
自由な発想の子供の作品
岳哉さんと智栄さんには3人の子供がおり、3人とも学校から帰ると作品を作って、自信作をお店で販売することがあるそうです。「いつの間にこんな作品を作っていたの?」と驚くこともあるのだとか。

元気いっぱいな模様やデザイン、形やバランスにとらわれない自由な発想の作品は、子供時代にしか作ることのできない貴重な作品です。
子供達の作品も、約1000円~3000円で購入できます。
和みのウサギたち 母・恵理子さんの作品
オーナー・岳哉さんの母・志村恵理子さんも陶芸家。現在も精力的に制作活動を続けており、素朴でかわいらしい作品が多いそうです。

ウサギたちの置物は見ているだけで和んでしまう、やわらかいタッチで顔が表現されていました。
志村恵理子さんの作品は、お土産にぴったり。約1000円で購入できるものから約3万円台の一点ものまであります。

お得に手に入るアウトレット作品
お店の外には、いろんな人に手軽に購入して使ってもらいたいと、過去に作った作品などのアウトレット作品が、価格を下げて売られていました。
さまざまな内装の建物にあう作品ばかりで、約500円~3000円で販売しています。

お店ではアルコールやソフトドリンクなどの飲み物も販売しています。
おいしい飲み物を飲みながら作品をじっくり見たり、陶芸体験を楽しんだりできます。

陶芸家・志村観行さんの作品が購入できる
TCJKW ワークショップでは、オーナーの父である陶芸家・志村観行(しむら のりゆき)さんが過去に制作した作品を購入できます。
志村観行さんは伊東市生まれの陶芸家で、伊豆高原に「海座工房」を開いて創作活動を続けています。

東京で何度も個展を開催し、陶磁器の島・AMAKUSA陶芸展2008、中日国際陶芸展、現代陶芸「めん鉢大賞」などで受賞しています。
力強さと繊細さが交わる独自の世界観に引かれ、ファンはもちろん「家に一点ものの存在感ある作品を置きたい」という人も訪れ、購入するとのこと。

価格帯は小さめの作品で約1万円から、大きな作品になると約5万円のものも。伊豆高原で、都会のギャラリークラスの作品と出会える貴重な場所です。
2種類の陶芸体験に挑戦

TCJKW ワークショップの目玉のひとつ、陶芸体験に挑戦しました。1人から予約可能で、最大で15人前後が一度に体験できます。
陶芸体験のメニューは全3種類あり、その場ですぐ作品を持って帰りたい場合は「絵付け体験」がおすすめ。
・電動ろくろ体験:4400円~(約1時間)
・手びねり体験:4400円~(約1時間)
・絵付け体験:3300円~(約1時間)
※ 各コース作りたい作品によって料金が異なります
手びねり体験と電動ろくろは焼き上げに、最短で約2カ月かかるため、完成時に直接店舗まで取りに行くか、自宅まで着払いで発送してもらいます。
手びねり体験

手びねり体験で、リム皿作りに挑戦しました。
手びねりとは、ろくろを用いず自身の手や指のみで作品を作る技法です。粘土を指で押し、伸ばし、形を整えながら作り上げる「手びねり」は、ろくろとは違ってゆっくりと土に触れられ、自分だけの形を作り上げる楽しさがあります。
リム皿とは、縁(リム)にやや深さのある皿を指し、料理が盛りつけやすく、家庭でも使い勝手が良い人気の皿です。
大小・深さ・形が異なる「型」もたくさん用意されています。型を使えば、より形が整った実用的な作品が作れます。

「全部手で作らないと、手作り感がなくなるのでは?」と思うかもしれません。ですがオーナーいわく、あまりにも独創的な形を作ると、実用性に乏しくなることも。
そのため型を使った作品作りもおすすめしているそうです。できあがった作品は、使用すればするほど愛着がわいて、大切にしたくなるでしょう。

粘土は、球体の塊の状態でスタートします。球体の状態からひたすら手のひらでたたいてたたいて、最後はローラーを使って平らにします。

平らにしたら、型の出番です。粘土を型に沿わせて、余分な箇所を落とします。
きれいに落とすには少々コツがいるため、はじめはオーナーにお手本を見せてもらいました。

ほか2種類の型も、同じように粘土をたたいて平らにし、型に沿わせて余分な箇所を切り落としました。
最後は竹串で模様を描いたり、ハンコを押して文字を付けたりして完成です。
あとは、完成時の作品の色を選んで完了です。焼き上がりが楽しみですね。

数日後、完成したとのことでお店へ直接引き取りに行きました。
模様や文字がつぶれることなく、完璧な仕上がりです。

作った作品は、実生活で使い続けることで体験時の思い出がよみがえります。
TCJKW ワークショップの手びねり体験には、そんな温かい魅力が詰まっていました。

絵付け体験
絵付け体験にも挑戦しました。絵付けは、素焼きの作品に速乾性の水性絵の具で模様や色を付けます。
TCJKW ワークショップでは「招き猫」と「だるま」の2種類が用意されており、好きな方1つを選んで自由に色を塗っていきます。

塗ったらすぐに乾く速乾性の水性塗料を使用するため、作品が完成したらその場で持って帰れるのがうれしいところ。
子供のなかには、「招き猫」に自分の習い事のユニフォームを描く人もいるのだとか。

今回、筆者は「招き猫」を選びました。お手本やお店に置かれている画集などを見ながら、自分が理想とするイメージを思い浮かべます。

絵の具は非常に早く乾くため、重ね塗りが可能です。細かく塗ろうとすると、あっという間に時間が経つでしょう。また塗っている間は、作業に没頭するため無心になれます。

世界に一つだけの作品の完成です。塗ってから数秒ほどで乾くため、完成してすぐに持って帰れます。
電動ろくろ体験や手びねり体験は、作品の海外発送を受け付けていないため、遠方に住む人や外国の人が訪れた際は、絵付け体験をおすすめしているそうです。

陶芸家ファミリーの工房で世界に一つだけの作品を!
伊豆には多くの陶芸体験のお店があります。しかし、複数の陶芸家がおのおのの作品を展示または販売し、ギャラリーも兼ねたお店は少ないのではないかと、オーナーの志村さんは言います。

店名のTCJKWは、オーナー夫妻と子供の名前の頭文字をとって名付けました。オーナー夫妻は、今後も家族でどんどん作品を作り、伊豆高原に訪れた人へ陶芸の素晴らしさや楽しさを知ってもらいたいと語ってくれました。
陶芸体験は、お店へ電話するか公式インスタグラムへのDM、または旅の予約サイト「じゃらん」から申し込めます。また陶芸作品はインスタグラムからでも購入できます。DMでメッセージを送ってみてください。
■店名 TCJKW WORKSHOP
■住所 静岡県伊東市八幡野1298-3
■営業時間 10:00~18:00
■定休 木
■問合せ 050-1115-1457 またはインスタグラムにDM
■駐車場 5台
取材/奥村奈央
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