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子供のためにも母親は心からの笑顔でいたいもの。孤立しがちな現代の母親たちが、どうしたら笑顔を取り戻せるのか、そのヒントを探ります。子供の教育に携わる高濱正伸さんは、笑顔になれる「ニコニコカード」を持つようすすめます。

テレビ静岡で2025年10月12日に放送されたテレビ寺子屋では、思考力などを重視した「花まる学習会」の代表・高濱正伸さんが、「お母さんの笑顔」をテーマに語りました。
子供の成長に必要な「お母さんの笑顔」
「花まる学習会」代表・高濱正伸さん:
「お母さんが笑顔で、安心している」。そのことが子供の成長にとって何より重要であると、最近の研究で証明されています。作り笑いではなく、お母さんが心の底から幸せだと感じて笑っているのを見ると、子供は「僕も幸せ」「私も幸せ」と感じられるのです。

ところが生活の変化とともに、先輩のお母さんや近所のおばちゃんに囲まれて「みんなで子供を育てる」という環境がなくなり、多くのお母さんは孤立してしまいました。
赤ちゃんはかわいいけれど、不安を聞いてくれる人がいない。子育てをしている間に世間から置いていかれているような孤独感を感じる。笑顔になりたくてもなかなかなれないのが、今のお母さんの置かれている状況です。
お母さんたちが心から笑えるようになるには、どうすれば良いのでしょうか。

笑顔を作る「ニコニコカード」を持とう
僕は、自分が笑顔になるための手札、「ニコニコカード」を持ってほしいと思います。例えばどんなものがあるのか。
まず「実の母親」。健やかに笑っているお母さんは、自分の母親が近くに住んでいることも多いと感じています。母親は自分のことを一番わかってくれている存在ですから、気軽に相談ができたり、子供を預かってもらえたりします。孫も娘もどちらも愛してくれているからこそ、安心して甘えられて、大きな助けになります。

次に「仕事」です。一人だけで子育てをしていると余裕がなくなり、つい子供にきつく当たってしまい、そんな自分を責めてしまうことがあります。良くないとわかっているけれど、子供にイラッとすることが止められないんですね。
それが仕事に行くことで頭や気持ちが切り替わり、終わるころには早く子供に会いたいと思える。パートやボランティアなどどんな形でも良いですから、外の空気を吸いに行くことが大切です。

そして「推し」。さまざまな研究からも、誰かや何かを「好き」という気持ちを持っていることは、とても良いことだと言われています。
夢中になれて、楽しさ、嬉しさを感じられるだけでなく、共通の話題を持つ仲間との交流が生まれることで、ストレス解消や不安の軽減にもつながります。これはヨガなどの趣味でもいいと思います。

新時代のつながり方「HUC」
また「HUC(母親アップデートコミュニティ)」という、ネット上のつながりも紹介しておきます。
僕がテレビ番組に出演した際、「一人きりで頑張ろうとせず、つながりを作ってください」と伝えたところ、観覧していたお母さんたちが「じゃあ、今つながりましょう」と始めたのがきっかけです。
この「HUC」には約束があって、それは「誰も否定しない」こと。立場や意見が違ってもお互いを否定せず、受け入れなくてもいいから受け止める。自分のことも否定しない。

ありのままで交流することで、同じような趣味や志の人がつながり、みんなキラキラと輝いています。ネット上のつながりですが、これは「新時代のご近所」だと思いますし、母親が笑顔になれる一つの形だと思います。
こういった「ニコニコカード」を積極的に取りに行って、ニコニコなお母さんでいてください。そして、子供に何か辛いことがあった時に、「大丈夫だよ」「がんばったね」と、抱きしめてあげられる存在であってほしいと思います。

高濱正伸:1959年熊本県生まれ。東京大学大学院修了。1993年思考力などを重視した「花まる学習会」を設立。その後本格的な学習方法を伝授する「スクールFC」を設立。子供の「生き抜く力」を育てることを重視した教育が好評。
※この記事は2025年10月12日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。
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