クラッカーにヤギチーズが乗っている
食べる

【葵区・山羊のしっぽ農園】大自然が育む極上「ヤギチーズ」 ヤギが耕作放棄地を救う

静岡市の山間部“オクシズ”と呼ばれるエリアにある「山羊のしっぽ農園」。近年増えている耕作放棄地を活用したこの農園では、ヤギを飼育し、県内では珍しいヤギチーズを作っています。どんな農場なのか調査に出かけました。

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ヤギがお出迎えする農園

「山羊のしっぽ農園」の外観
山羊のしっぽ農園(静岡市葵区小布杉)

静岡市葵区小布杉にある「山羊のしっぽ農園」。

静岡市の中山間地、通称「オクシズ」にあり、周囲を山で囲まれた自然豊かな土地です。

山道を進むとヤギの鳴き声が聞こえてきました。

ヤギたちが迎えてくれました

みんなでこっちを見てくれていて、かわいい! 2025年生まれの子ヤギたちです。

ヤギのお世話をしているのは2人の女性。「山羊のしっぽ農園」を運営する、水谷昌子さんと芳賀花子さんです。

2人が作るのは、ヤギのミルクからできる“チーズ”です。

左)水谷昌子さん 右)芳賀花子さん

もともと2人は北海道でチーズ作りをしていましたが、オクシズに移住してきました。

2023年に開業した「山羊のしっぽ農園」では、ヤギの飼育からチーズの製造まで、すべてを「オクシズ」で行っています。

ヤギのミルクで作るチーズ

山羊のしっぽ農園・水谷昌子さん:
子ヤギは全部で12頭、大人も合わせると25頭います

ヤギの世話からチーズづくりまで、農園を切り盛りするのはたった2人。2人だけで行うのは、かなりの重労働です。

ヤギの飼育・チーズの製造をオクシズで行っている

農園の仕事をお手伝い 子ヤギのお引越し

そこで、大森万梨乃アナウンサーが農園の仕事をお手伝いさせてもらうことになりました。

ヤギたちにあいさつをしたら、まずはエサをあげることからスタート。

ヤギにエサをあげる大森アナ

お腹を空かせたヤギたち。思っていたよりも力強いんです。

みんなおいしそうにむしゃむしゃエサを食べていました。

勢いよくエサを食べるヤギたち

続いては、子ヤギにミルクをあげる体験です。

子ヤギたちの勢いがすごい。体は小さくても力は一人前です。

子ヤギのミルクやり

この日は、生後3カ月のメスの子ヤギ「ちぃこ」のお引越しがありました。

大森アナウンサーも一緒に、お引越しのお手伝いをすることに。

大森アナが「ちぃこ」の引っ越しをお手伝い

農園には2025年生まれ、2024年生まれ、2023年生まれのヤギたちの集団がいます。

ちぃこは2025年生まれですが、大きくなったので2024年生まれのヤギたち6頭と合流します。

2024年生まれグループよりは、体が小さい「ちぃこ」。

ちぃこのお引越し

新しい環境にちぃこがなじめるか、先輩ヤギたちがどう受け入れるか、不安を抱えながらも、道を歩いて引っ越し先へ向かいます。

歩いて行ける距離ですが、ちぃこにとっては、大冒険です。歩いていると先輩ヤギが見えてきました。

先輩ヤギがお出迎え

「メェ~」と大きな鳴き声をあげるちぃこ。さぁ、新しい仲間たちとの初対面です。

フェンスの間から首を伸ばして、ちぃこをチェックするヤギ先輩たち。ちぃこも鳴き交わしてコミュニケーションをとっています。

先輩ヤギと対面するちぃこ

ちぃこと比べると先輩たちは体も大きく、がっちりしています。

いい感じなので、柵の中に入れてみると、すんなりすぐに打ち解け、無事に引越し完了です。ちぃこのコミュニケーション能力に拍手!

「ちぃこ」引っ越し完了

耕作放棄地がヤギにぴったり

オクシズの自然に囲まれ、のびのび生きるヤギたちですが、農園をこの場所に構えたのには理由がありました。

山羊のしっぽ農園・水谷昌子さん:
ヤギは傾斜地が結構好きなんです。中山間地と言われているエリアで耕作放棄地がどんどん増えているので、そういったところをヤギの放牧地として活用できればいいと思いました

山羊のしっぽ農園・左)水谷昌子さん 右)芳賀花子さん

この場所は元々お茶畑だったそうです。

今、中山間地で増え続けている「耕作放棄地」。

エサが豊富で、ヤギが好む斜面に多いこうした土地は、放牧地としてうってつけなんです。

飼育されているヤギ

また、土地を活用すれば野生動物が人里へ下りにくくなる効果も期待して、2人はオクシズにヤギ農園を構えたそうです。

地元の恵みを生かしたエサ

子ヤギの世話が終わったら、次は母ヤギの世話です。

ヤギたちには特別なエサが与えられています。

母ヤギ

山羊のしっぽ農園・水谷昌子さん
草だけだと、どうしてもミルクを取る母ヤギには足りないので、島田産のビールかすと地元産のおからを与えています

ヤギのエサも地元産にこだわっていました。

島田産のビールかすと地元産のおからを混ぜたエサ

山羊のしっぽ農園水谷昌子さん
何を食べているかでミルクの味が変わるので、なるべく静岡のものをあげて、静岡の個性を持ったチーズを作っていきたいと思っています

チーズ作りはヤギのエサから始まっているんですね。

早速、母ヤギにエサをあげます。エサが入った容器を引っ張る力が強く、大森アナウンサーも引っぱられながらヤギの元気さを実感しました。

母ヤギにエサをあげる大森アナ

手搾りのミルクでチーズづくり

エサやりが終わったら、いよいよ搾乳。搾乳機などは使わず手で搾ります。

なんと、1回の搾乳でとれるミルクは2L以上。

搾乳は手作業

搾りたてのヤギのミルクは真っ白。

ミルクは色もしっかりチェックしています。異常があるとピンク色になることもあるそうです。

搾りたてのヤギのミルク

母ヤギから丁寧に搾った新鮮なミルクは、温かいうちに加工場へ運ばれます。

そして搾りたてのミルクに乳酸菌などを加え、一晩寝かせると、極上のヤギチーズが完成します。

搾りたてのミルクに乳酸菌などを加える

オクシズが詰まった極上のヤギチーズ

緑豊かなオクシズの自然が育んだ、ぜいたくなフレッシュチーズ。

ヤギのミルクを使ったチーズは、どんな味がするのでしょうか。

ヤギのチーズ

一口食べてビックリ。おいしさが口の中に広がり、臭みやクセが全くありません。牛乳で作るチーズよりもサッパリしています。

山羊のしっぽ農園・水谷昌子さん:
搾りたてのミルクで作るとクセがなく、あっさりしています

ハチミツをかけて食べるとまた違った味わいに。そのおいしさにため息が出ます。

テレビ静岡・大森万梨乃アナウンサー:
めっちゃくちゃおいしい。ハチミツと合わせると超ぜいたくスイーツになりますね

ヤギチーズにはちみつをかけるとぜいたくスイーツに

山羊のしっぽ農園のチーズは静岡市内のワインショップで販売しているほか、市内のレストランで提供されています。農園では販売していないのでご注意ください。

極上のヤギミルクは、ヤギたちが耕作放棄地を有効に使ってくれるおかげ。「山羊のしっぽ農園」は、新たなオクシズグルメを提供すると共に、オクシズの暮らしを守っています。

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