ようかんパンのアップ
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60年以上愛されるご当地パン「ようかんぱん」の正体を追え! 【富士・富士製パン】

静岡・富士市に半世紀以上も愛され続ける伝説のご当地パンがあります。その名も「ようかんぱん」。見た目はドーナツにチョコレートがかかっているように見えますが、その正体は?

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「このパン知っていますか?」富士市民に聞いてみた

富士市で長年愛されているご当地パンなら、富士市民がよく知っているかもしれません。

まずは富士市中央公園で情報収集を始めました。

フリップを見せながら情報収集するにむらリポーター
地元の人たちから情報収集するにむらあつとリポーター

チョコレートでコーティングされたようなドーナツ型のパンの写真を見せながら、どんなパンなのか聞いてみます。

富士市在住の人:
「ようかんぱん」です。まわりは“ようかん”で、中はクリームが入っています

ようかんパンの説明をしてくれる市民

チョコレートのように見えたコーティングの正体は、なんと和菓子のようかんだったのです。

「スーパーでも売っていて、息子がすごく好き」と答えた人は、「富士製パン」で作られているという貴重な情報も教えてくれました。

65年の歴史を誇る「ようかんぱん」との対面

聞き込み調査で得た情報をもとに、いざ富士製パンの工場へ。

富士市中央公園から港大通りを南に車で3分。

門をくぐってすぐに、「ようかんぱん」の旗が目に飛び込んできました。

直売所外観
直売所には「ようかんぱん」の旗が

さらに建物の壁には、公式ホームページのURL「youkanpan.com」と大きく表示されており、まさに「ようかんぱん」一色です。

工場に隣接する直売所で、富士製パンの加藤秀治社長に「ようかんぱん」の実物を見せてもらいました。

ようかんぱんを見せる加藤社長
左)富士製パン・加藤秀治社長 右)にむらリポーター

富士製パン 社長・加藤秀治さん
このようかんぱんは、中にはつぶあん、表面にはようかん、そしてバニラクリームと和洋三甘味がそろった菓子パンです

ついに対面した「ようかんぱん(一般小売価格334円) 」は、黒くツヤツヤ光っていました。ふっくらしていて真ん中の白いクリームにもそそられます。

その味はいかに?

ようかんぱん 袋入り
ようかんぱん(一般小売価格334円)

社長直伝「ようかんぱん」の食べ方

和の甘み「つぶあん」「ようかん」、そして洋の甘み「バニラクリーム」が一つになった「和洋三甘味」のようかんぱんは、いったいどんな味なのでしょうか。食べてみましょう!

富士製パン・加藤社長
和洋三甘味なので、中のつぶあんと、ようかんと、バニラクリームも一緒に食べてください

社長直伝の食べ方に従い、期待を込めてガブっと一口かじりつきます。

ガブっとかじりつくにむらリポーター

三つの味を同時に口の中に入れると、絶妙なハーモニーが広がりました。

甘さが強いパンかと思いきや、全体的にすっきりとした上品な仕上がりです。

それぞれの味がバラバラになることなく、見事に溶け合い、混然一体となったおいしさ。まさに「和洋三甘味」。

ようかんぱんの断面
三つの味が見事に融合

断面を見てみましょう。表面にようかん、中につぶあん、そして真ん中のドーナツ状くぼみにはバニラクリーム。

このバニラクリームはほんのりバター風味。まるで「あんバター」を食べているかのような感覚です。

「ようかんぱん」誕生のきっかけ

加藤社長によると「ようかんぱん」が誕生したのは1960年頃のこと。

商品棚に並んだようかんぱん
高度経済成長期の初期に生まれた「ようかんぱん」

当時は食材も豊富とは言えず、あんぱん・クリームパン・ジャムパンが主流でした。

そんな時代に富士製パンが考案したのが、「貴重なチョコレートの代わりにようかんをつける」という画期的なアイデアだったそうです。

確かに色は似ていますが、ずいぶん大胆な発想ですね。

「ようかんぱん」はこう作る!

ようかんぱんの製造工程も独特です。

まずはあんぱんと同様に生地で粒あんを包みます。これを発酵させた後に登場するのが、特殊な道具です。

パンの中央に木の杭を刺す

富士製パン・加藤社長
発酵させた後、「ぼっちょ」という木の杭をセンターに押し込んで、パンの生地を1枚残したまま、そのまま焼きます

ドーナツのように完全に穴を開けるのではなく、底が残った状態で焼き上げるのがポイント。

焼きあがったパンから木の杭を外す
パンの底は残った状態で焼きあがります

ドーナツのように貫通しているわけではなく、袋状の穴なのです。

焼き上がったパンが冷めた後、自家製の液体ようかんをコーティング。

ようかんが固まったら、最後にバニラクリームを絞り入れて完成します。

ようかんでコーティングする
手作業で手間がかかります

65年前に考案されたというこの革新的な「ようかんぱん」。その一つ一つにかけられた手間ひまこそが、長きにわたって愛され続ける理由なのでしょう。

新たな看板商品「食ぱん ふじ雲」の魅力

65年間愛され続ける「ようかんぱん」に加え、富士製パンは新たな看板商品も開発しました。

それが「食ぱん ふじ雲(一般小売価格1200円) 」です。

食ぱん ふじ雲(一般小売価格 1200円 )

富士製パン・加藤社長
シンプルで深みのある、ふわっと豊かな香りのパン。トーストしておいしいパンを作りたくて「ふじ雲」を開発しました

トーストすると最高の食感になるという「食ぱん ふじ雲」。

実際にトーストを試食してみると、何もつけていないのに「サクッ」という心地よい音とともに、発酵バターの豊かな香りが口いっぱいに広がります。

ふじ雲を食べるにむらリポーター
いい音がします

にむらリポーターも、思わず笑みがこぼれてしまうほどのおいしさです。

「食ぱん ふじ雲」は低温で長時間発酵させることにより、深い風味が生まれているとのこと。

製法にもこだわり、何度も試作を重ねて完成した、まさに逸品でした。

焼きあがったトースト
新たな看板商品 ふじ雲

新たに登場した「食ぱん ふじ雲」は、ようかんぱんの伝統を守りながらも、新しい挑戦を続ける富士製パンの姿勢を象徴していました。

■店名 富士製パン直売所
■住所 静岡県富士市蓼原1178-3
■営業日時 木・金 11:30~15:30
      第1・3土 9:30~14:00
■定休 月・火・水・日 第2・4土
■問合わせ 0545-51-2128

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