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新幹線の駅から徒歩約3分のところにある富士市の「植田酒店」。去年創業120年を迎える老舗の酒店は静岡の地酒が充実。店主の知識も豊富です。町の酒店ならではの良さを見直してみましょう。
新富士駅から近いからこその魅力
まず最初の魅力は立地です。東海道新幹線新富士駅の南口を出て、徒歩約3分。平日と土曜日は朝8時から営業しているので、帰省時にここで手土産を購入して新幹線に乗る、という作戦もおすすめです。
もちろん地酒はスーパーや量販店でも手に入ります。しかし、お相手の好みをあれこれ考えたり、どんなお酒なのか知ったうえで選んだお土産は、渡すときにお酒の説明もできて、会話も弾みます。
そこで、お酒の知識を余すところなく教えてくれる店主の存在が2つ目の魅力となります。
4代目店主植田さんおすすめの商品
植田酒店の4代目店主・植田昌宏さんは、仕事熱心で客に対してとても真摯に向き合う姿が印象的な人。先代の頃から店にたずさわってきたので、お酒の知識は豊富です。
植田さんにお土産にも最適な日本酒、焼酎を教えてもらいました。
地酒
■飲みやすく女性に人気
神沢川酒造場(静岡市清水区)の「正雪(しょうせつ)純米吟醸 吟ぎんが」です。
岩手県の“吟ぎんが米”を使い、飲みやすくフルーティ。日本酒を飲みなれていない方にもおすすめ。女性にも人気だそうです。
■静岡ならでは お土産に
「喜久酔(きくよい)」「正雪辛口純米」「白隠正宗」の4合瓶3本セットです。
青島酒造(藤枝市)の喜久酔は、静岡酵母で作られたお酒。水は南アルプスの伏流水を使っています。
正雪辛口純米と高嶋酒造(沼津市)の白隠正宗誉富士純米酒は、「誉富士(ほまれふじ)」という酒米を使ったお酒。誉富士は静岡で初めて生まれたオリジナル品種の酒米です。
別途箱代はかかりますが、贈り物用として丁寧に包装もしてくれます。
焼酎
■飲みやすい焼酎
創業190年、歴史ある焼酎「メローコヅル」を生み出した小正酒造(鹿児島県)の芋焼酎、蔵の師魂(くらのしこん)芋焼酎がおすすめです。
芋焼酎と聞くとちょっと癖がありそうだと思うかも知れません。蔵の師魂の芋焼酎は飲みやすくて、芋焼酎初心者にもおすすめだそうです。
契約農家で栽培された厳選した芋のみを使ったこだわりの芋焼酎です。
最近ではワインの酵母を使った芋焼酎など、蔵の師魂だけでもラインナップが豊富。植田酒店では多くの種類を取り扱っているので、蔵の師魂だけの飲み比べセットもできます。焼酎が好きな方へのプレントに、喜ばれるかもしれません。
■富士山の名をもつ焼酎
沼津の地酒「白隠正宗」の醸造元である高嶋酒造が作った焼酎に「第壱峰(だいいっぽう)米焼酎」があります。
第壱峰とは「富士山」のこと。ラベルにも富士山が描かれています。
日本酒を醸造する工程でできた酒かすを使ってつくられたのがこの第壱峰。厳密には「粕取り焼酎」というそうです。
みりんをお酒として飲む
少し変わったお酒として紹介してくれたのが、藤枝市にある杉井酒造の純米本味醂「飛鳥山」です。
店内入り口にずらりと並んだ赤色のかわいいラベルが印象的。杉井酒造と言えば「杉錦」が知られていますが、よくよく見ると「味醂(みりん)」と書かれています。
植田さんによると江戸時代には、みりんは“甘口のお酒”として飲まれていたそうです。料理に使うだけでなく、このまま飲んでもおいしいそうです。
さらに、バニラアイスにかけると味わいが深まり、カステラにかけるとシフォンケーキのように味わえるそう。想像だけでは見当がつきませんが、ぜひ試してみたい気持ちになりました。
旅のお供に一杯
小瓶の正雪2種類が、鉄道での旅のお供におすすめです。
青いラベルが「純米大吟醸 備前雄町(びぜんおまち)」、白いラベルが「純米吟醸 吟ぎんが」です。
150mlなので、ワンカップより少なめの飲み切りサイズ。そのまま新幹線での移動中の一杯にもおすすめです。通常の180mlのワンカップもあり、こちらは歌川広重の東海道五十三次の中の「薩埵峠(さったとうげ)」が描かれています。
酒店は地元飲食店にとって大切な存在
ところで、今ではスーパーやコンビニでも手軽に購入できるお酒ですが。その昔は酒類販売の規制が厳しく、限られたお店でしか購入できませんでした。
今のようにスーパーやコンビニでお酒類が買えるようになったのは1990年代半ば以降のことなのです。
昔の酒屋さんはどんなものだっかというと、店頭にお客さんが買いに来るというより、家庭にお酒やビール、調味料など配達していました。
そう、テレビアニメ「サザエさん」に出てくる三河屋さんがまさにそれ!
植田さんによると、今では配達の家庭は数軒のみとなり、店頭販売と、地元の飲食店への配達が主な仕事となっています。
注文の多い少ないで、お店の景気がわかるという植田さん。飲食店にとってはお酒の知識をくれるだけでなく、“地域の景気の動向”を知る貴重な情報源でもあります。また、営業中に在庫切れしてしまったお酒を、夜でも電話一本ですぐに配達してくれる、飲食店にとってはなくてはならない存在です。
蔵元とのつながり 特別な酒が手に入る
老舗だけあって、地元のお酒を造っている醸造元との関係も深いそうです。
例えば毎年2月23日の富士山の日に、沼津の高嶋酒造がその日の朝に瓶詰します。この年に一度の限定酒も植田酒店は扱っています。
普段から濃い付き合いのある酒店だけが販売できる限定品。レアな一品が手に入るのも、老舗ならでは、植田酒店ならではです。
いまやどこでもお酒は買えますが、地元の酒店を訪れてみると、お土産はもちろん家で飲む特別な一杯が、見つかるかもしれません。
店名 | 植田酒店 |
住所 | 静岡県富士市宮島508 (東海道新幹線新富士駅から約240m) |
電話番号 | 0545-61-0027 |
営業時間 | 月~土 8:00~19:30 日 10:00~17:00 不定休 ※休業日は植田酒店インスタでお知らせ |