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「別件捜査という色彩を帯びている可能性が…」 “異例”の勾留決定 どうなる?広末涼子 容疑者の今後 菊地幸夫 弁護士も驚きの展開に

広末涼子 容疑者

病院で看護師に暴行を加えケガをさせた現行犯で逮捕された俳優の広末涼子 容疑者について裁判官は4月10日、検察からの勾留請求を認める決定をした。これについて、多数のテレビ番組に出演歴のある法律の専門家は「びっくりした」と驚きを隠さない。

俳優の広末涼子 容疑者(44)は4月8日未明、静岡県島田市にある病院で看護師の女性を複数回蹴ったほか、ひっかいてケガをさせた現行犯で逮捕された。

事件前の7日午後7時前、広末容疑者は新東名高速道路・上りの粟ヶ岳トンネル(掛川市)で追突事故を起こしていたことがわかっている。

警察が事故現場に駆け付けた際、広末容疑者は落ち着かない様子で大声を出し、立ったり、座ったり、歩いたりと今にも本線上にはみ出しそうな挙動不審な姿が見られたことから、事故の処理を担当していた静岡県警高速道路交通警察隊が管轄する掛川警察署に応援を要請し、警察官が病院に出向いていた。

捜査関係者によると、広末容疑者は病院内で看護師や警察官に悪態をつき、逮捕直後の取り調べでは興奮した様子で着席の指示に従わず暴れだしたほか、体を丸めて会話を拒むなどしていたという。

こうした中、逮捕から2日後の10日、静岡地検浜松支部は引き続き広末容疑者の身柄拘束を求める勾留を請求し、裁判官がこれを認めた。

広末容疑者側は決定を不服として異議を申し立てる準抗告をしたが、11日までに棄却されている。

一方、10日午前には薬の影響で正常な運転ができる状態にはなかったとして、静岡県警が危険運転致傷の疑いで都内にある広末容疑者の自宅を捜索。

ただ、捜査関係者の話では違法薬物などは見つからず、任意で行われた薬物検査の簡易鑑定でも広末容疑者から違法薬物は検出されていない。

菊地幸夫 弁護士

現在も複数のテレビ番組に出演している菊地幸夫 弁護士は、今回の勾留決定について「傷害罪で勾留が付いたので私もびっくりした」と口にし、「ただ単に病院でなかなか自分の診察時間が回ってこないことにイライラして、暴力を振るってしまったというだけだったら、とっくにこの事件は終わって処分保留で釈放されている事件」と話す。

そして、「逮捕容疑の傷害に関しては被害者のケガがさほど重くないので、おそらく不起訴になる可能性が高い。示談が成立していなくても、被疑者側(広末容疑者)が示談に向け努力していて、すでにお金も用意し、いつでも渡せる体制になっていれば不起訴という判断はおかしくないし、可能性は大いにある」との見解を示した。

また、菊地弁護士が注目したのが追突事故に関連した家宅捜索で、「傷害という1つの犯罪を立件し、関連するもので別の捜査をすること自体は珍しくないが、今回のケースは人の命が奪われているわけでもない事案で家宅捜索というのはめずらしい」と驚きを隠さない。

今回の事故でケガをしたのは追突された大型トレーラー側ではなく、広末容疑者が運転する車に同乗していたマネジャーとみられる男性(50代)だったことから処罰感情はないに等しいと考えられ、このため「捜査機関は否定するだろうが、別件捜査という色彩を帯びている可能性があると思う。何か別の容疑の証拠を固めるために危険運転致傷という名前を借りて今回の強制捜査をしているという可能性はどこかにあるのではないかと考えられる」と述べた。

その上で「高速隊が地元の警察に応援を頼んだというのは、事故現場での(広末容疑者の)行動が異常で、場合によっては何か薬物を使っているのではないかということから始まっているのだと思う。その状態が病院に行っても続き、さらに現行犯逮捕され、警察署に移って取り調べが始まっても落ち着かない異常行動が続いていた。警察としては通常のイライラや焦りの精神状態とは違うのではないかとにらんでいる節がある。そこが今回の捜査を長引かせている一番大きな要因」と解説する。

今回の家宅捜索では通院記録や診療明細、薬の処方歴、さらにはパソコンなど仕事や日々のスケジュールがわかるものを差し押さえたと推察し、今後の捜査機関の動きとしては専門家に薬と異常行動との因果関係について意見を求めていくことが考えられるという。

しかし、これまでの経験から「眠くなるので『運転はやめてください』というのはあると思うが、医師から処方される薬が危険運転致死傷罪の薬物に該当するとして立件されるのはほとんど聞いたことが無い」と述べ、「危険運転に関しては、どれだけ薬物が正常な運転ができなかったことに因果関係を持っているかを捜査機関が立証できるかどうか。普通の市販薬であればなかなか難しいと思う」との見立てを語った。

他方、弁護側の今後の動きについては準抗告が棄却された以上、「特別抗告という、もう1つ上という可能性もあるが、憲法違反が対象なので極めてハードルが高い。現実的には勾留の取り消し(を求める)。被害者側との交渉で“宥恕する”“許す”ことを書いた示談の締結になると思う。必要な示談なり、(マネージャーとみられる男性からの)嘆願書・(家族からの)上申書の提出なりに尽力する」と話し、「(広末容疑者が)処方されていた薬が判断能力の低下や異常な行動につながる可能性がないという医学的な意見を適当な医師に出してもらい、検察に提出することが考えられる」と見通す。

広末容疑者の勾留は4月19日までの10日間。

とはいえ、裁判所が認めればさらに10日間の勾留が可能で、菊地弁護士によれば日本においては延長が“緩やか”に認められていることもあり、今回のケースでも「18日~20日間、身柄が拘束される可能性は大いにあると考えておいた方がよい」という。

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