土地取り引きの基準となる地価。静岡県内ではコロナ禍から社会経済活動の正常化が進む中で上昇傾向にある一方、地域での格差が広がっています。
3月18日に土地取引の基準となる地価が公示されました。
平均変動率で他の市町を大きく引き離し、最も上昇したのが県内屈指の人気観光地の熱海市です。
変動率は4.7%、2024年も3.6%と県内トップでしたが、それを上回る結果に。
背景には首都圏からの需要があるとみられます。
不動産鑑定士・芝口直樹さん
住宅でも商業でも首都圏からの需要が見込まれる所、住まいでも店舗需要でも他県の人が熱海を理由をもって買いに来ている。セカンドハウスが欲しい、あるいはここで店舗を出したいという人は東京の感覚で買いに来る。それなりの値段で買う
それなりの値段で買う市内中心部の観光客数はコロナ禍前の水準まで回復。
特に駅周辺の利便性の良いエリアではホテル向きの土地の供給が少ない中で地価が大きく上昇したということです。
熱海市民:
マンションは場所によっては買った時より高く売れると聞いたことがある。実際にそういう人がいたので
熱海市民:
自分たちは商売をしているからお客さんが来てくれるから、そういう面では良い
熱海市民:
うちの周りだとホテルが4つできるので、そうすると地価がずいぶん上がるみたい。土地が商売で利益を出してくれればいいけど、そうでないものを持っている人は大変
ほかにも2025年は中心市街地の需要が堅調な静岡市と浜松市、それにJR三島駅に近い長泉町や愛知県方面からも需要のある湖西市が変動率上位となりました。
また、県平均では商業地・工業地の上昇幅が拡大し、16年連続で下落が続いた住宅地が横ばいに転じています。
一方、下落率が目立ったのは東伊豆町や伊豆の国市など伊豆半島。
津波被害のリスクが高い沿岸部や過疎化が進む地域で地価の下落が続いています。
東伊豆町民:
沿岸部に住む人もお嫁さんが山の方へ引っ越したいと。みんな子供のためを思うから。
東伊豆町民:
人口がこれだけ減って、もう土地の売り買いなんてほとんど無い。困るというよりあきらめている。期待していない
不動産鑑定士は今後も地域間での地価の格差は続くと分析しています。
不動産鑑定士・芝口直樹さん
いいところはどんどん地価が上がる雰囲気があるが、過疎地域や沿岸地域が同じように盛り上がるかは、かなり懐疑的
また、今後は建築費や人件費の高騰も地価に影響する可能性があるということです。

県の平均で変動率はプラスということですが、こちらは政令市では区ごと、そのほか市町別で平均変動率を示したものです。
上昇しているのは静岡・浜松の2つの区と9つの市と町でした。
一方で菊川市は変動率が±0%、半数以上の自治体では下落しています。