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静岡・三島市には「ゴム焼きそば」という耳慣れないソウルフードがあると言います。今回はその正体不明のご当地グルメを調査。独特な食感や、途絶えかけた味の復活秘話まで、ゴム焼きそばに迫ります。
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへ知っている人が見つからない“謎のグルメ”
三島の「ゴム焼きそば」を知っていますか?
三島駅前で、行き交う人々に声をかけてみました。市外から来た人たちばかりですが、誰も知っている人はいません。

謎めいた「ゴム焼きそば」とは一体何なのでしょうか。
情報を求めて駅前の三島観光案内所を訪ねると、ようやく「楽寿園の中にお店がある」という情報を得ることができました。

楽寿園で「ゴム焼きそば」発見
楽寿園は三島駅南口からすぐのところにある動物園や庭園がある施設で、市民の憩いの場です。
園内には絵にかいたような回転木馬が。レトロな遊園地の雰囲気が漂います。

さらに進んでいくと、お休み処「桜」という無料の休憩施設があります。
その中に、観光案内所で教えてもらった食事処「ブレーメン」が入っています。

店内の券売機メニューを見ると、一番上に「三島ゴム焼きそば」の文字。
“なつかしの”とは書かれていますが、写真の見た目はごく普通の焼きそば。買ってみましょう!

ゴムのような不思議な食感に驚き
注文した「三島ゴム焼きそば(500円 肉入り+100円)」ができました。やはり実物も見た目は「普通の焼きそば」そのものです。

ブレーメン・大野晴美さん:
お好みでソースをかけながら召し上がってください
箸で持ち上げると、麺の重量感を感じます。さぁ、気になる“お味”は?

一口食べてみるとビックリ! まるでゴムのような強い弾力です。
テレビ静岡・大森万梨乃アナウンサー:
富士宮焼きそばともまた違う食感です。麺が違います
味は普通の焼きそばそのものですが、この食感は他では味わえない特別なものです。

幻のソウルフードを復活させた熱意
三島では、この手の「焼きそば」が当たり前なのでしょうか。
ブレーメンの大野晴美さんによると、三島広小路駅前にあった「一福(いちふく)」というお店がゴム焼きそばを出していたとのこと。しかし、数年前に閉店してしまったそうです。

ブレーメン・大野晴美さん:
社長がその味のファンだったので、再現させていただいたようです
このゴム焼きそばは、三島広小路駅前のお店「一福」を知る人しか知らない、超ピンポイントなソウルフード。どうりで街の人に聞いても知らなかったわけです。
学生たちが勝手呼んでいた名前
ゴム焼きそばを復活させた、ブレーメンのオーナー・成川敬裕さんと、三島広小路駅でご対面。詳しく話を聞きました。

ブレーメン オーナー・成川敬裕さん:
この辺に住んでる方は、もう本当にゴム焼きそばで育ったみたいな人たちが多いんです。学生の頃、よく食べに行きました
実は一福は「ゴム焼きそば」と銘打っていたわけではありません。成川さんたち学生が「まるでゴムのような食感」だと、勝手に「ゴム焼きそば」と呼んでいたのです。

お店を営んでいた夫婦は「ゴム焼きそば」などと言うと怒ったとか。
ブレーメン オーナー・成川敬裕さん:
裏の「通称」として呼んでいたんです
しかし愛されてきたここだけのソウルフード「ゴム焼きそば」は、一福の閉店で失われてしまうことに。
復活させようと、成川さんは動き出しました。

まず、店主の住まいを探しました。しかし探し当てた後も一筋縄ではいきません。
すでに店主が仕入れていた製麺所はなくなっていました。
それでも製麺所の麺のレシピを手に入れると、なんとか独特の食感の麺の再現にこぎつけました。

再現率はどのぐらいでしょうか?
ブレーメン オーナー・成川敬裕さん:
100%と言いたいですけど、お客さんからの意見をもらいながら、時には心が折れながら改良を重ねて、今のところ80%くらいですね。製麺所さんも頑張ってくれて、ここまで実現できました
受け継がれた味
失われかけた味をよみがえらせた成川さんの執念。頭が下がります。
かつて「一福」でしか味わえなかったピンポイントなソウルフード「ゴム焼きそば」。
その味は、一人のファンの情熱で継承されました。

独特の食感と懐かしい味わいは、三島の新たなご当地グルメとして、再び多くの人々に愛されていくことでしょう。
■店名 ブレーメン
■住所 静岡県三島市一番町19-3 楽寿園内
■営業時間 10:00〜16:00
■定休 月
■問合せ 055-975-2570
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