国民民主党の榛葉賀津也 幹事長は1月23日、テレビ静岡の「ただいま!テレビ」に出演。いわゆる年収103万円の壁やガソリン税暫定税率、さらに参議院議員選挙について党ナンバー2としての見解をたずねた。(#1から続く)
入口鎌伍デスク:
先月、榛葉幹事長にインタビューさせていただいた際に、年収の壁について「満額回答を求めて交渉していく」と話された一方で、「多分、満額回答はすぐには出ないだろう」というようなお話もありました。
将来的には178万円に達するまで妥協しないということを前提に、新年度についていわゆる落としどころを今の時点でもう党内で決めているのか、それとも今後の交渉の過程の中で決めていくのか、いかがでしょうか?
国民民主党・榛葉賀津也 幹事長:
まさに今後の交渉です。自民党の森山幹事長と公明党の西田幹事長と私と3党のナンバー2・幹事長が署名・約束したんですね。「178万円を目指して103万円を引き上げる」と。
123万円では全然178万円に近づいていないですよね。
この2月末には衆議院で予算を通さないと年度内に予算成立しませんから、1月から2月末に向けて、予算案を通すためにはどこかの野党と協力しないと、少数与党だから予算案もその後の法律も通らないので、そこから自民党が真剣にどこまで交渉に応じるかだと思いますね。
入口鎌伍デスク:
国民民主党は女性問題により玉木代表が3月初旬まで役職停止となっていて、実質的に代表不在の状態です。こうした中で落としどころは幹事長や代表代行でもある古川税調会長、浜口政調会長を中心とした執行部で決めるのか、それとも両院議員総会で若手から中堅までの意見を吸い上げて合意形成を図っていくのか、どうでしょうか?
国民民主党・榛葉賀津也 幹事長:
昨日、政調会長同士で協議を再開したんですが、どうも自民党の小野寺政調会長は自分で決めるほどの自信と権限を持たされていないような雰囲気でしたね。
つまり、これはテクニカルな税調とか政調とか現場ではなくて政治決断。
幹事長レベルで最終的には決断して、どこで落とすかということに2月末が近づけば近づくほどそうなってくるんだろうと思います。私は最後の自民党・公明党の幹事長の決断、どれだけ国民に寄り添えるか、それに掛かっていると思います。
ジャーナリスト・鎌田靖 氏:
103万円の壁という国民民主党の問題提起は、特に若い人たちの共感を得て、この提案をしたというのはまず評価すべきだと思うんです。
その上で、178万円をあくまで目指すということですが、これに対する反論・指摘として税収減、試算によると7兆円~8兆円くらいの税収減になるという懸念もあるわけです。
これに対して、国民民主党側も「いや、そうではなくてこうだ」とか「これくらいの税収減になるかもしれないけれど、これだけのメリットがあるから大丈夫」とか具体的な反論をオープンな形で見せて欲しいと思うんですけれど、いかがでしょうか?
国民民主党・榛葉賀津也 幹事長:
1つは財源ある・なしの前にどんなに赤字の会社でも最低賃金を払わなかったらは大変なことになるんですよ、アウトです、経営者として。国民が生きていくための憲法25条の生存権、すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるはずだと。
しかし、いま最低限の暮らしができないほど生活が厳しいんですよ。
だから最低賃金が1055円まで上がり、所得控除は178万円まで上げないと国民は生きていけませんよ。
もう1つは自民党さん、「財源論」「財源論」と言うけれど、30年前に103万円に上げた時に一度も財源論なんて言っていませんよ。
今回の衆議院議員選挙も非課税世帯に10万円給付しますって選挙の時にばらまきしましたね。しかし、その時の財源論は一切言っていないです。
では仮に財源の話をするとして、7兆円の根拠を示してくれと言ったら数字が出てこないんです。説明できないんですよ。
しかも手取りが増えて、景気が良くなって消費が喚起され、経済が大きくなればそれだけ法人税も所得税も消費税もみなさん払うようになるわけですよね。
経済が活性化するってことは、それだけ国や地方に入る税、財源が増えるんですから。その増えることは一切言わずに「財源が、財源が」と。7兆円必要な理由を示してくれと言っても出てこない。
やらない理由を一生懸命探している。しかも、この5年間で財務省は23兆円も税金を取り過ぎているんですよ。
国民はやっと5%賃金が上がって、年金が2.7~2.8%上がった。しかし国は26%も税金を取り過ぎておいて、何が財源ですか?あるんですよ、財源は。
税金を取る側の理論ばかりでやっているから、30年間、日本はずっと元気がなかったんです。
蓮見直樹アナウンサー:
既に取っているものも含めて財源は考えていくべき、と。
ジャーナリスト・鎌田靖 氏:
こういった議論をきちんとしたオープンな形でやり取りして欲しいなと思うんです。
国民民主党・榛葉賀津也 幹事長:
予算委員会でやっていきたいと思います。
蓮見直樹アナウンサー:
一方で、税収の減収については地方自治体のトップからも懸念の声が上がっています。
永井俊樹アナウンサー:
去年11月に行われた全国知事会で宮崎県の河野知事が「行政サービスを維持する必要があるため、地方財政への影響を十分考慮を」と述べたほか、山梨県の長崎知事が「減収の補填はマスト」と訴えました。
また、静岡県の鈴木知事も県内選出の国会議員に対する県政説明会で「財政状況が厳しい中、これ以上の税収の減少は大きな打撃になる」と配慮を求めています。
蓮見直樹アナウンサー:
知事のコメントをご覧になっていかがですか?
国民民主党・榛葉賀津也 幹事長:
地方の財政を預かる知事としては当然でしょうね。
しかし、地方交付金がありますから。地方の財源に穴を開けるなんてことは絶対ないですし、させません。県知事のみなさんも市長・町長さんも当然、財源は我々守りますから、それと同時に取る側の論理ばかりではなくて、そこに暮らす県民がいま苦しいんですから、県民の所得をどう上げるか。
年金や給料を上げると同時に、それでは物価高に追いつかないので取り過ぎた税金を返して県民のみなさんの懐を豊かにする、それをぜひやるべきですね。
何人かの県知事から「実は総務省からこう言ってくれと言われているんです」というのがありましたから。
それぞれ地方分権ですから、地方の県知事さんや市長さんも自信を持って、財源には穴を開けさせない。それと同時に、自分の県や町に住んでいる住民のみなさんの所得を増やす、これもぜひあわせて発信して欲しいと思いますね。
蓮見直樹アナウンサー:
そうした自治体の声ですとか国民の声を聞きながら総合的な判断が求められるわけですけれども、解決に向けて大きなポイント、乗り越えなければいけない“壁”というのは、どういう風に見ていらっしゃいますか?
国民民主党・榛葉賀津也 幹事長:
自民党さんが本当に市民・国民・県民に寄り添えるかどうかではないですか?
この暮れから正月にかけてすべての自民党・公明党の与党のみなさんも故郷に帰るんですね。
このガソリン高や物価高、もう地方の支援者から「国民民主党の言っていることがまともじゃないか」「これ、やれよ」ってみんな言われてくるんですよ。ところが、東京へ来ると財務省を気にするのか、みんなシュンとなっちゃうんですよね。
ここで本当に国民生活を救わなかったらせっかく日本の景気が良くなるかどうかという分水嶺で、またデフレに逆戻りですよ。大変なことになります。
いま政治が本気になって国民を元気にしなかったら、誰が国民を救うんですか?もう声を大にして言いたいね、自民党さん頑張ってよ。