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衆議院解散総選挙で躍進を遂げた国民民主党。いわゆる「年収103万円の壁」で注目される中、1月下旬に召集される通常国会や夏の参議院議員選挙などに向け、どのような姿勢や覚悟で臨むのか榛葉賀津也 幹事長(参議院静岡選挙区選出)に聞きました。
“103万円の壁”に着目したきっかけは?
2024年10月の衆議院解散総選挙で議席数を大きく伸ばした国民民主党。躍進を遂げた最大の要因がいわゆる“年収103万円の壁”の見直しです。
国民民主党・榛葉賀津也 幹事長:
103万円の壁は最初、大学生がメールで「バイトをしたいけれど、これ以上バイトできない。何とかしてほしい」ということから始まって「これやろうよ」と。よく国民民主党は先輩方から「若者や働き手の政策ばかりやっている」ということでお叱り受けていることが多かったんですけれども、逆に現役世代の給料や手取りが上がらないと年金が上がらないという、難しい言葉で言えば“マクロ経済スライド”。簡単に言えば、現役の給料が上がれば年金もスライドして上がるというのが、皆さん段々はたと気がついていただいて
与党が過半数割れしたこともあり、12月11日には自民・公明との3党間で103万円の壁の引き上げとガソリンの暫定税率廃止について合意書を交わしました。
国民民主党・榛葉賀津也 幹事長:(2024年12月11月)
幹事長レベルでこの2つをピン留めしたことは、私は評価したい
平行線をたどる与党との議論
しかし…
自民党・宮沢洋一 税調会長:(2024年12月13日)
国民民主党からは「自分たちの考えるレベルとかなり相違がある」と
国民民主党・古川元久 税調会長:(2024年12月13日)
これではちょっと話にならない
2025年度の税制改正に向けて与党が提示した所得税の控除額は国民民主党が主張する178万円に遠く及ばない123万円。
国民民主党・古川元久 税調会長:(2024年12月13日)
与党がどういうボールを打つのか見ているんですけれど、(ゴルフに例えると)グリーンにたどり着くことなく途中で日が暮れて「ここで終わり」となりそうな提案ですねと
自民党・宮沢洋一 税調会長:(2024年12月13日)
グリーンに近づいていないという話だが、グリーンがどこにあるか分からないので「グリーンの在りかくらいちゃんと教えてほしい」と申し上げております
翌週、再び3党による税制協議が開かれましたが…
国民民主党・古川元久 税調会長:(2024年12月17日)
これ以上、協議はできません
与党側から新たな提案がないことに国民民主党が激怒。
国民民主党・古川元久 税調会長:(2024年12月17日)
幹事長のレベルではああいう合意をしても、やる気がないと判断せざるを得ないなと
自民党・宮沢洋一 税調会長:(2024年12月17日)
誠心誠意対応してきたつもりだが、もちろん協議でありますから考えていることの全部をお伝えしているわけではありません。そうした意味で、さらにお互い妥協する点があるかどうかということを時間がないが、短時間のうちに相談したいと思っている
協議の決裂が決定的な中で石破首相は…
石破茂 首相:(2024年12月17日)
いろいろな齟齬もあるのかもしれないが、我々として引き続き協議をお願いしたいと思っていますし、対応には誠意をもって臨みたいと思っております
与党の姿勢を注視する国民民主党
こうした中、与党は12月20日にまとめた2025年度の税制改正大綱に引き上げ額を123万円として明記した一方、年収の壁をめぐる3党の協議再開が決定。
自民党・森山裕 幹事長:(2024年12月20日)
国民(民主党)が途中で退席した経過もありましたので、それでは3党合意が実現できないことになりますので
国民民主党は少しでも178万円に近づく形に持っていきたい考えです。
国民民主党・榛葉賀津也 幹事長:
自民党も公明党も補正予算さえ通ればいいのではなくて、本丸は2025年度の本予算ですから。税制改正に向き合う与党の姿勢、どれだけ我々の、つまりは国民の要望している減税を呑むのか。対応によって本予算の我々の立ち位置や戦略戦術はガラッと変わると思います
問われる野党の在りよう
一方、少数与党の今だからこそ野党の在りようが問われているとも話します。
国民民主党・榛葉賀津也 幹事長:
野党の振る舞い、野党の所作、ただ自民党をやっつけるためだけの野党なのか、つまりは日本の政治を混乱させるためだけの野党なのか、しっかり国民に向き合って、国民の生活をより良くする具体策を持った野党なのか。予算委員長が野党になり、憲法審査会の会長が野党になり、国民が野党の立ち振る舞いを極めて厳しくウォッチすると思いますね。野党というのはたまに暴投を投げて「取ってみろ!」と言って、「取れねぇじゃねぇか!」と言うことがあるんですけれど、我々はしっかり取れるボール(を投げ)、でも(与党からすると)「このボールを取るとしんどいな」、でも「取れば国が良くなるな」と。今までの政治を変えるチャンスだと思うんですね
参院選は“バブル”が起きづらいが…
2025年は3年に1回の参院選イヤー。衆院選の結果がまぐれと言われないためにも結果にこだわる覚悟です。
国民民主党・榛葉賀津也 幹事長:
(掲げた政策を)常に満額に近づける努力をこれからずっと続けてやっていくと同時に新しい政策をまた提案して、1つ1つ国民に政局ではなくて政策実現のワクワク感ドキドキ感を感じてもらいながら、この勢いを継続もしくはさらに大きくしていって、参議院選挙でも勝ちたいと思っています。衆議院(議員選挙)ほどバブルが起きづらいんです、参議院っていうのが。全県(選挙)ですし、全国(比例)ですし。ただ、やはり全国比例を今の倍増はしたいと思っています。いま3人ですから、これを6人・7人・8人と、全国比例はだいたい1人当選する100万票ですから、前回(2022年)約316万票、それで3人通りました。今の支持率ですとこれは上回れると思っているので、2桁に近づけるように我々頑張っていきたい