1966年に当時の静岡県清水市で味噌製造会社の専務一家4人が殺害された強盗殺人放火事件で一度は死刑が確定した袴田巖さんが、やり直しの裁判を経て無罪となったことを受け、検察と静岡県警は捜査の在り方を検証した結果を12月26日に公表しました。
これに対し、袴田さんの弁護団の事務局長を務める小川秀世 弁護士が個人として会見を開き、「裁判所から指摘された事項だけでなく、公判で議論にならなかったことも含めて検証すべきで非常に問題がある」と非難しました。
袴田巖さんの再審をめぐっては、静岡地裁が判決の中で「捜査機関による証拠のねつ造」を認定しています。
これを受け、検察と県警はそれぞれ当時の捜査について検証を行い、県警は12月26日に取り調べについて「不適正であったと言わざるを得ない」とした上で、犯行着衣のねつ造については「警察官がねつ造を行ったことをうかがわせる具体的な事実や証言を得ることはできなかったが、ねつ造が行われなかったことを明らかにする具体的な事実や証言を得ることもできなかった」とする結果を公表し、検察も「検察官の取り調べも袴田さんを犯人であると決めつけたかのような発言をしながら自白を求めるなど、供述に真摯に耳を傾けたものとはいえなかった」と一定の不備を認めました。
こうした中、弁護団の事務局長を務める小川弁護士は「裁判所から指摘された事項だけでなく、公判で議論にならなかったことも含めて検証すべきで非常に問題がある」と非難し、「大部分はわからないままになっている。その点について触れず調査もしていない」と述べました。
その上で「裁判所から非難されないと調査をしないのだろうか?」と怒りをあらわにし、「事実、真実を確認しようとした調査なのか疑問があるし、捜査段階の記録がしっかりされていないということに対して触れられていないし反省もない」と非難しています。
また、公判における捜査機関による偽証について「こうしたことをどのように無くすのかを考えなければならないのに何もやっていない」と話し、「全体的に内容が不十分でガッカリするような中身。短期間にやるべきことではない」と不満を口にしました。