1966年に当時の静岡県清水市で味噌製造会社の専務一家4人が殺害された強盗殺人放火事件で一度は死刑が確定した袴田巖さんが、やり直しの裁判を経て無罪となったことを受け、静岡県警は捜査の在り方などを検証し、取り調べについて「不適正であったと言わざるを得ない」などとする結果を12月26日に公表しました。
一方で、犯行着衣とされた“5点の衣類”のねつ造については「警察官がねつ造を行ったことをうかがわせる具体的な事実や証言を得ることはできなかったが、ねつ造が行われなかったことを明らかにする具体的な事実や証言を得ることもできなかった」としています。
こうした中、県警の津田隆好 本部長が取材に応じ「約2カ月にわたり約20人で事実確認を行ったが、不適正な取り調べや初動捜査の不徹底などがあり大変重く受け止めている。調べてわかった教訓を職員ひとりひとりがしっかり胸に刻んで受け止めると共に今後の適正捜査に向けて職務にまい進していきたい。適正捜査に努めることで本当の意味で静岡県民の安心安全を守る静岡県警察になるよう頑張っていきたい」と述べました。
その上で、「58年前のことなのでこれ以上は確認しかねるが反省点を踏まえて今後しっかりやっていきたい」と話し、静岡地裁が証拠のねつ造を認定したことについては「地裁の判決はそういうことだと認識しているが、それ自体に対してコメントする立場にない」と従来通りの姿勢を貫いています。
また、結果として事件が未解決となったことに関しては「遺族に対して大変申し訳なく思っている」と述べました。