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静岡・袋井市にある曹洞宗の寺「秋葉総本殿 可睡斎」で、12月15日に「秋葉の火まつり」が開催されます。「たいまつ道中」に「火渡り」、1年でこの日しか見られない異世界に迷い込んだような火まつりに参加してみませんか。
徳川家康ゆかりのお寺
可睡斎の名前の由来は、徳川家康の幼少期の教育係だった和尚の逸話に基づきます。
浜松城の城主となった家康に謁見した和尚が、話の途中で居眠りをしてしまったものの、家康がそれを許したことから、“眠ることを許された”という意味で「可睡」の名が付きました。
しかも家康が武田軍に追われ、逃げ込んで生き延びたと言われる洞穴「出世の六字穴」もあるのが可睡斎。そのため、本堂の一角には徳川家の御霊屋が祭られ、随所に葵の御紋が見られます。
三尺坊大権現とは
秋葉山総本殿は、日本で唯一「三尺坊大権現」の御真体を安置する火防の霊場です。
三尺坊大権現は秋葉大権現とも呼ばれ、火事の多かった江戸に秋葉大権現を祭ったのが、秋葉原の由来と言われています。
廃寺となった秋葉山秋葉寺にあった御真体と仏具を、可睡斎が引き取って祭りました。
三尺坊は1300年前に生まれた僧で、修行の結果、神通力を得て火を自由自在に使えるようになったと言われています。その姿は天狗(てんぐ)のようで、御真殿には天狗やその使いである烏天狗などが奉納されています。
15時間にわたる祭りの全容
秋葉の火まつりは火の用心、無病息災や心願成就を祈るお祭りで、誰でも見学できます。
15日午後3時から始まり、翌朝6時に終わります。白装束の人々、天狗姿の僧侶、たいまつの灯りなど、異世界のような光景が可睡斎で見られます。
とても長時間にわたるので、おすすめの見学時間は開始時刻の午後3時から火渡りが終わるまでです。普段は見られない可睡斎の夜の姿も見られます。
開始は午後3時
読経による祈祷から始まり、みこし渡御とたいまつ道中、火渡り修法と続きます。みこしとたいまつの行列は可睡斎の大駐車場から法堂前へとやってきます。
ほら貝の音が聞こえると、一本歯のげたをはいた鳥頭人身の神・迦樓羅(カルラ)の衣装をまとった人、迦楼羅の笛を吹く一団、大たいまつを担いだ人たち、天狗の装束を着た一団、たいまつを持った一般参加者などが行列をつくってやって来ます。
火渡り
たいまつ道中の後に行われる火渡りは、お清め式を行い護摩をたいて、迦樓羅(カルラ)の装束の僧侶を先頭に一般参加者が素足で炎の上を渡ります。
深夜0時の法話
深夜0時からは御真殿で法話が始まります。祈願者の家内安全・火災消除などを願う御札、お供えが授けられます。
法話は遅い時間なので、火まつり限定の宿坊を利用することができます。
朝も早く、午前6時にみこしを戻す「御輿還御」という儀式が行われ、火まつりが終了します。
三尺坊のお守り
可睡斎には、秋葉山ならではのお守りもあります。一つは開くと三尺坊の姿がある「身代り守」。
三尺坊の顔がお守りになっている「開運厄除招福除災御守」。
そして火の用心の「お守りの木札」です。木札には唱える御真言「オンピラピラケンピラケンノウソワカ」も書かれています。
どうやって参加する?
可睡斎には無料駐車場がありますが、数に限りがあり当日は混み合うので、周辺の有料駐車場をご利用ください。
見学はできますが、法話や御祈祷、儀式への参加、宿坊への宿泊は事前の申し込みが必要です。参加してみたい方は電話でお問い合わせください。宿坊意外は当日の午後2時まで受け付けています。
日常から離れて異世界に迷い込んだかのような可睡斎の火まつりに出かけませんか。一年無事に過ごせた感謝と来年への祈願をしましょう。
■イベント名 秋葉の火まつり
■場所 秋葉山総本殿 可睡斎(静岡県袋井市久能2915-1)
■日時 12月15日(日)15:00~16日(月)06:00
■問合せ 0538-42-2121
取材/麻衣子
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