県警トップに続き地検トップも謝罪です。静岡地検の山田英夫 検事正が11月27日、無罪が確定した袴田巖さんの自宅を訪れ、「犯人視することはない」と伝えるとともに頭を下げ謝罪しました。
無罪確定から1カ月半。
静岡地検のトップ山田英夫 検事正が袴田さんの自宅を訪れました。
静岡地検・山田英夫 検事正:
袴田巖さんが相当の長期間にわたり法的地位が不安定な状況となり、その間、巌さん、そしてひで子さんがとても言葉にできないようなつらいお心持ちで日々を過ごされましたことにつきまして、刑事司法の一翼を担う検察としても大変申し訳なく思っており、そのことについて直接お伝えに参りました。
当然のことでございますが、検察として今回の無罪判決を受け入れ控訴をしないと決めたものである以上、対外的であるか否かを問わず、この事件の犯人が袴田さんであるということを申し上げるつもりはございませんし、犯人視することもないということも直接お伝えしたいと思います。改めまして大変申し訳ございませんでした
袴田ひで子さん:
58年前の事件ですので、私たちはもういまさら検察にどうこういうつもりは毛頭ございません。私も巖も運命だと思っております。無罪が確定しましてね、今は大変喜んでおります。有頂天になっているんです、私たちは。きょうはご苦労様でございました。わざわざおいでいただきまして、ありがとうございました
支援者に発言を促された袴田さんは…
袴田巖さん:
世界をうまく治めるということだね。どこまで折れなきゃしょうがないのかということが、それが問題だ
58年前の事件で一度死刑が確定したものの、やり直しの裁判を経て2024年10月に無罪が確定した袴田さん。
死刑囚の立場からは解放されましたが、長年の拘禁生活の影響は色濃く残っています。
10月21日の静岡県警トップ・津田本部長に続き、静岡地検のトップが謝罪しました。
検察側は無罪判決を受け、畝本検事総長は「判決は到底承服できない。控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容」などという談話を発表していました。
今回の静岡地検・山田検事正の謝罪は検察として方向転換のようにも見えますが、謝罪に同席した弁護団の小川秀世 事務局長は「誠意は感じられた。検事正は『検事総長も同じ気持ちだ』と言っていた」と明かしました。
その上で小川事務局長は「(自分)自身は同じようには理解できず、検事総長の談話について問い質し撤回を求める場面が今後も出てくる」などと話していました。