税制改正に向けた自民・公明両党は11月25日、それぞれ税制調査会の総会を開きました。103万円の壁の引き上げに向けた制度設計が進められます。
一方、25日に開かれた全国知事会では103万の壁の見直しによる地方自治体の減収について懸念の声が相次ぎました。
2025年度の税制改正に向けて、自民・公明両党は25日から本格的な議論を始めています。特に103万円の壁の引き上げに向けた制度設計が大きな焦点です。
年収の壁を引き上げた場合、高所得者ほど減税の恩恵が大きくなるとの指摘があり、「非課税枠が適用されない富裕層を増やす」案も検討される見通しです。
自民・公明両党は政策協議と同じように国民民主党との間で調整を進め、税制面でも一致点を見いだしたい考えです。
また、103万円の壁を178万円に引き上げた場合、税収が7兆円から8兆円減る見通しで地方自治体からも心配の声が上がっています。
このため地方税にあたる「住民税」分を分離して議論する案も浮上しています。
こうした中、25日に都内で開かれた全国知事会では103万の壁の見直しによる地方自治体の減収について懸念の声が相次ぎました。
宮崎県・河野俊嗣 知事:
地方財政は極めて厳しい状況にあり、この中でも地方団体が安定的な行政サービスを維持する必要があるため、地方財政の影響を十分考慮をいただきたい。具体的な案がこれから見えてきたら、機動的に知事会としての声を届けていく必要がある
青森県・宮下宗一郎 知事:
経済が回復した上で税収が伸びることがあるのか、労働市場が活性化して人手不足が解消されるのか。実践しながら検証していくべき
山梨県・長崎幸太郎 知事:
減収の補填はマストだと思うが補填の仕方はご留意をいただきたい。103万円の壁の撤廃が恒久的措置だとすれば、補填も恒久的措置でやるべき。これもぜひ訴えていただきたい
知事会は石破首相に地方への配慮を求め意見を伝えるとともに、今後、政策の具体案が示された際には国に迅速に要望していくことを確認しました。