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自身は立憲・国民に推薦してもらったのに…静岡県知事が衆院選で裏金非公認の萩生田氏・西村氏を応援し波紋

静岡・鈴木知事の定例記者会見(11月8日)

10月27日に投開票が行われた衆議院解散総選挙をめぐる静岡県・鈴木康友 知事の対応が波紋を広げている。応援演説を行った4候補のうち2人が裏金問題を受け、自民党から公認を得られなかった候補だからだ。

県内候補の選挙には関わらないが…

10月8日。

衆議院の解散を翌日に控えたこの日、定例記者会見で選挙戦において特定候補の応援演説に出向くかどうかについて問われた静岡県の鈴木康友 知事は「(浜松)市長の時からそうだが、県内については一切関わらない方針」と答えた上で、「県外(の選挙区)は懇意にしている議員のところへ応援に行ったりはする」と述べた。

それから2週間後の22日。

鈴木知事は衆院選が公示されてから最初の週末となった19日・20日に、計3候補の応援演説を行ったことを明らかにした。

松下政経塾の同期で自民党の国会対策委員長などを務めた逢沢一郎 氏、国会議員時代に議場の席が隣同士だった縁で党派を超えて親交を深め、2015年の浜松市長選の際には激励に駆け付けてくれた菅義偉 元首相、そして経済産業相や新型コロナウイルス対策担当相などを歴任し、自民党・旧安倍派5人衆のひとりとして知られる西村康稔 氏だ。

とりわけ西村氏については、裏金問題をめぐって2024年4月に自民党から党員資格停止1年の処分を受け、今回の選挙では公認を得られなかったが、鈴木知事は「古くからの友人。逆風の中で本人は非常に頑張っている。本人はこの問題についても説明責任を果たしている」と意に介する様子はなかった。

一方、今後の応援演説の予定については「今のところもう無い。今後、依頼があればわからないが、日が限られているので難しいのではないか」と回答。

最終日も裏金非公認候補の元へ

ところが、その後、数日のうちに打診があったのだろうか。

選挙戦最終日となる26日夕刻、鈴木知事はJR八王子駅前でマイクを握っていた。

隣に立っていたのは、こちらも旧安倍派5人衆のひとりで、政治資金収支報告書への不記載額が2728万円に上ったことから党の役職停止1年の処分を受け、政治倫理審査会での説明もしていないため非公認となった萩生田光一 氏だ。

萩生田氏がSNSに掲載した動画を見てみると、鈴木知事は「私は民主党の国会議員だった。相手側にいた。相手側にいた私がこんなに凄い政治家は、こんなにすばらしい政治家はいない。ものすごく説得力があるでしょう?対岸にいた私がずっと見ていて、本当にこの人は日本の政治にとって必要な人なんだと太鼓判を押せる」と熱弁をふるっている。

また、西村氏を応援した際も「私は民主党の国会議員だった。反対側の野党にいた私が、この西村さんはすばらしい政治家だと、抜きん出た政治家だと言うのだから、めちゃくちゃ説得力あるでしょう?」と力説していた。

知事選では立憲と国民が推薦

ただ、鈴木知事と言えば5月に行われた県知事選の際、立憲民主党と国民民主党から推薦を得ていて、自民党の推薦候補と激戦を繰り広げた張本人だ。

選挙戦では松下政経塾の同期で昵懇の間柄にあり、後に立憲民主党の代表に選ばれ、今回の衆院選でも裏金問題を徹底的に批判していた野田佳彦 氏も応援に駆け付け、「360万人の県民に寄り添って、徹底して仕事するのは鈴木康友だと確信しています。静岡に生まれてよかった。静岡で育ってよかった。そう思える故郷・静岡県を作ろうじゃありませんか」と支持拡大を呼び掛けている。

このため、11月8日の定例記者会見では「立憲民主党については源馬(謙太郎)県連代表、国民民主党については榛葉(賀津也)幹事長にしっかり説明し、個人的な付き合いでの応援ということで理解してもらっている。政党を意識して活動したものではない」と釈明。

しかし、中でも裏金問題の“震源地”とも言える旧安倍派で枢要な立場にいた候補2人に対する応援をした点には県にも少なからず批判が寄せられていて、「政治とカネの問題で話題となっていた候補者、特に安倍派の中心的な2人だったので、そうした点が問題になったのではないかと思う。批判の声が出たことには真摯にお詫びしなければならないが、あくまで個人として行動したこととして理解を求めたい」と口にした。

他方で、西村氏と萩生田氏について「裏金うんぬんよりも、2人とも要件を満たして総選挙に出馬しているし、そうした中で個人的なつながり、お世話になってきたということで個人として応援した」と、あくまでも自身の行動に問題はなかったとの認識を示している。

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