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社会にはさまざまなルールがありますが、なぜそのようなルールが存在しているのか考えたことはありますか。弁護士の住田裕子さんは、自分の損得ではなく、他人のため社会のためとレベルアップした考え方があると語ります。
テレビ静岡で10月20日に放送されたテレビ寺子屋では、弁護士の住田裕子さんが、法教育の目指す社会について語りました。
なぜ法律を守らなきゃいけないの?
弁護士・住田裕子さん:
法律と聞くと、「守らなきゃいけないもの」という固いイメージがあるかもしれませんが、実際は私たちの生活のすごく身近なものもいろいろあって、安全に幸せに暮らすために必要なものなのです。
カンニングしてはいけない、人のものを盗んではいけない、人をいじめてはいけない。当たり前のことなんですけども、なぜそれをしてはいけないか? 法教育で目指す、良い悪いの道徳的な判断力には次の発達段階があります。
「良し悪し」6段階の判断軸
【罰せられるからやらない】
幼いころよく言われませんでしたか?「おまわりさんに捕まっちゃうから」、もしくは「地獄に落ちるから」とか。制裁があるから、罰せられるからやっちゃいけない。これ一番初歩レベルの話ですが、これで良いか悪いか決めてる人が少なくありません。
【損得で行動を決める】
「カンニングしたらいい点が取れるけれど、見つかったら逆に0点になる。それはちょっと割に合わないな」といった損得勘定で考える。「そんなことしない方がいいよって言われたからやめる」、これもあまりレベルが高くない考え方です。
【良い人だと思われたい】
3つ目になると少しレベルが上がってきます。「そんなことしたら悪い人だと思われるからやらない」、良い人だと思われたいから自分で自分の行動を決めるのです。
【社会制度を守るため】
ルールの必要性を学ぶための例として子供たちによく話すのが「信号なくて大丈夫ですか?」ということです。信号がなかったら、交差点で自動車がぶつかり大変ですよね。ルールがあるからこそ、みんなで社会をつくっていけるんだと気づく。「社会を守る」という考え方です。
【公平・平等・人権のため】
みんな平等に、大切に守られて生きていけるような社会、そのためにルールを守る。大多数がこうだけど、少数のそれについていけない人がいたら、その人を補助するものをつけてあげる。そして一人ひとりが社会で生きていくために、それぞれのルールを守るんだという考え方です。
【自分の価値観になる】
最後は「自分の価値観」になる。褒めてもらうためにやるのではなくて、その行動をしたときに「ああよかった。これですっきりする」と自分自身が思える。そういう気持ちが内在化することが大事です。これこそが、法教育の目指しているところではないでしょうか。
みんなで補い合える社会に
どうしてこのルールがあるのか、元を考えてみることは大事だと思います。一人ひとりが社会の一員だと認識して、自分ファーストではなく、みんなと一緒にやっていく。公助互助共助なんですね。
自分の持っているもの持ってないもの、デコボコたくさんありますけど、みんなで補い合えるような助け合えるような、そんな社会になることが目標、目指したいところです。
住田裕子:兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、検事に。1988年、女性初の法務大臣秘書官となる。1996年、弁護士に転身。テレビ番組などでも活躍。NPO法人長寿安心会の代表も務める。
※この記事は10月20日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。
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