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「いろんな意味で手抜きした」仕事と子育てを両立できたのは人を頼ったから【テレビ寺子屋】

検察官や弁護士として仕事を続けながら、2人の子供を育てた住田裕子さん。当時の経験を振り返りながら、子育てで大切なことは周りの人を頼り自分一人で頑張りすぎないことだと教えてくれました。

テレビ静岡で10月6日に放送されたテレビ寺子屋では、弁護士の住田裕子さんが、仕事を続けながら子育てをした経験について語りました。

人を頼って仕事と育児を両立

弁護士・住田裕子さん:
仕事をもちながら子育て・孫育てをするのは、そんなに甘いものではありません。子育ての要諦(物事のかなめ)ははっきり言って、自分一人で頑張りすぎないことです。

男女雇用機会均等法の前は、「女の人が仕事をするなんてとんでもない」という時代でした。私は結婚のときも転勤のときも、「夫の邪魔をしないように早く辞めるのがいいよ」と言われました。妊娠と出産予定の報告に行った時も「おめでとう。で、いつ辞めるの?」なんですよね。

今だったらマタハラと言われます。当時はこれが当たり前のようでしたが、私は「いや、やめません。でも、ちょっとお休みさせてください」と仕事を続けました。

第二子のときも同じ職場だったので「産みますよ」と宣言してから産みました。その時は「いいよ、いいよ。ちゃんと仕事してるんだから大丈夫」って、一人目の実績がものを言ったんですね。育休もない時代ですから、産前産後の休暇のみで復帰しなければなりません。家族と相談し、保育園に預けました。

子供との関わりを第一優先

子育て中も法廷の仕事に穴を開けるわけにいきませんし、いろんな方の手を借りました。親、近所の人、保育園で知り合った人、もう本当にいろんな人にお願いしまくりました。もっと言います、「手抜き」しました。

とにかく子供に関わることが一番優先。子供と接する時間をできるだけ確保したかったので、掃除も洗濯もお願いできることはお願いして、いろんな意味で手抜きしたんです。

そのあと私は法務省の民事局へ、そして大臣秘書官に指名されました。女性として全国初、全省庁初のことでした。だんだん子供との時間を確保するのが難しくなり、夫の母にお願いして平日同居という形をとりました。保育園、小学校の間は夫の母がほとんど母替わりをやってくれたのです。

大切にした感謝と謝罪

当時は検事。そして今は弁護士。テレビに出たりして何が一番困るかって言ったら、子供が非行に走ることです。

非行に走らないために大事な二つの「謝」があります。まずは非を認める「ごめんなさい」という謝罪の「謝」。もうひとつは人間関係をうまくする「ありがとう」という感謝の「謝」。この二つの言葉を忘れないようにと思って心掛けてきました。

「ありがとう」、「ごめんなさい」これを親が実践するんです。子供っていうのは親、おじいちゃん、おばあちゃん、一緒に住んでいる人の背中を見て学びます。「学ぶ」は「真似ぶ」、真似するんです。「親の背を見て子どもは育つ」というのはその通りだと思います。

良いことも悪いこともお手本に

そういう意味では、お手本・ロールモデルってすごく大事なんですよね。大人がいいところでお手本に、そしてダメなところも「これはやっちゃいけない、そこを乗り越えればいいんだよ」ってお手本を見せてほしいと思います。

でも、そんなに焦らなくても大丈夫です。子供・孫は「愛」が大事、「いいね!」と存在そのものを受け入れましょう。自分なりの姿で生きていける、それでいいんだよっていうような、そんな生き方ができたらいいですね。

住田裕子:兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、検事に。1988年、女性初の法務大臣秘書官となる。1996年、弁護士に転身。テレビ番組などでも活躍。NPO法人長寿安心会の代表も務める。

※この記事は10月6日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。

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