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静岡・菊川市の駅近くの遊歩道を歩いていると、突如としてレンガ造りのレトロな建物が現れます。通りかかった人は「いったい何だろう?」と気になったのでは。その正体を調べました。
「お茶のまち」にルーツがあった
JR菊川駅を出て、グルーンモールと呼ばれる遊歩道を少し歩くと現れるその建物の名前は「菊川赤れんが倉庫」です。
住宅の間にひっそりとたたずみ、ここだけ明治時代にタイムスリップしたかのような雰囲気。
この倉庫が建てられたのは明治33年(1900年)のこと。東海道本線が開通し、菊川駅(当時は堀之内停車場)が開業すると、お茶の生産や輸出を行っていた富士合資会社がこの付近一帯にお茶の再製工場をつくりました。
静岡のお茶の一大生産地として有名な牧之原台地は、島田市、牧之原市、菊川市をまたいで開墾された広大な土地です。
茶葉はここで加工され、清水港や横浜港まで運ばれて、船でアメリカに向けて輸出されていました。
菊川赤れんが倉庫はこの工場群の一部で、現存する唯一の建物です。
なんのための建物だった?
菊川赤れんが倉庫は、主に茶葉をブレンドする場所として使われていました。茶葉のブレンドは「合組(ごうぐみ)」と言われます。
火入れをして乾燥した茶葉をふるい分けた後、数種類の茶葉を混合し、香りや味を消費者の好みに整えます。一定の品質のお茶を作り出すプロによる大切なブレンド作業、それが合組です。
建物の2階から茶葉を落とし、1階で茶師が合組を行っていたと推測されています。
2階部分の床板を外して、その吹き抜け部分から1階に茶葉を落とすことで均一にブレンドしていたと考えられています。
全国にあるレンガ造りの建物の中でも、お茶の作業場は珍しく、2014年に菊川市内初の国指定登録有形文化財に認定されました。
日曜には中に入れます
建物は毎週日曜日に一般開放されています。茶箱や蘭字(お茶を海外に輸出する際に茶箱に貼っていたラベル)が展示されており、お茶のまち菊川のルーツを知ることができます。
赤れんが倉庫では、コンサートや落語の寄席を開いたり、高校生が倉庫の壁面で「プロジェクションマッピング」を上映したりとイベントも盛んです。
レトロかわいい建物で、お茶の歴史を学びに来てみませんか。
■施設名 菊川赤れんが倉庫
■住所 静岡県菊川市堀之内1425
■開館日 日
■時間 10:00~12:00/13:00~15:00)
■入場料 無料
■電話 0537-28-8535
■駐車場 なし
取材/大山智世